『NormCore Night Vol.3』レポート
NormCore、初のフルバンド編成で開いた新たな扉 ないとーも駆けつけた3rdワンマン公演レポ
ボーカリストのFümiを中心とした音楽ユニットのNormCoreが、ワンマンライブ『NormCore Night Vol.3』を12月17日に東京・代官山LOOPで開催した。Fümi、Tatsu(バイオリン)、Natsu(クラシックギター)のメンバー全員が東京音楽大学出身で、その出自に見合ったスキルフルなボーカルと演奏、ロックからEDM由来のダンスミュージックまでを包括する柔軟な音楽性によって、独自のシンフォニックサウンドを追求してきた彼ら。今年7月の初ワンマン、9月の『Vol.2』に続く3回目の単独公演では、そこからさらに一歩踏み込み、サポートメンバーを迎えた初のフルバンド編成で、ユニットの新しい可能性を拓いてみせた。
いつものメンバー3人に加えて、エレキギター、ドラムス、キーボードがステージに上がった同ライブ。バンドによる生演奏のダイナミズムは、1曲目に披露した彼らのデビュー曲「それでも僕は生きている」から最大限の効果を発揮し、特に生ドラムが叩き出すリズムの圧は、楽曲が本来持っているドラマティックな魅力を底上げするような迫力だ。続けて歌われたNeru「かなしみのなみにおぼれる」のカバーも、Tatsuのバイオリンが感傷的な響きを加えつつ、サビ部分ではEDMのドロップ的なアプローチも組み込んで、原曲とは一味違った劇的なサウンドに仕立てているのがNormCoreらしい。さらに3曲目では、歌い手/ボカロPとして絶大な人気を得ているEveが2018年に発表した「トーキョーゲットー」をカバー。この辺りのネットシーンのトレンドを踏まえた選曲は、現在もうみくん名義で歌い手として「歌ってみた」動画を精力的にアップするFümiならではと言えるだろう。
The Chainsmokers以降の内省的なEDM要素を取り入れた、大人へのカウンターソング「モハンカイトウ」を挿み、ピアノとNatsuのギターが織り成す優しいイントロを導入に歌われたのは、この日が初披露となった新曲「ずっとかわらない場所」。Fümiが地元への想いを形にしたエモーショナルなバラードで、彼はファルセットを交えながら情熱的に歌っていく。次の「永遠の記憶」もそうだが、ごまかしの効かないバラード系における表現力の高さもFümiの武器のひとつだ。