デュア・リパはまさに現代のポップアイコンだ グラミーにもノミネートされた2018年の飛躍と期待

デュア・リパ、2018年の飛躍と期待

 2018年の音楽シーンを振り返ると、女性シンガーの活躍が目立った1年だった。シングル「Boo’d Up」が今年最大のヒットとなったエラ・メイ、その「Boo’d Up」から米アダルトR&Bエアプレイ・チャートで1位を奪い(シングル「Focus」)、第61回グラミー賞で5部門ノミネートされた話題の新人H.E.R、海外の複数のメディアで最新作『Dirty Computer』が年間ベストと称されたジャネル・モネイ、デビューアルバム『Expectations』も絶好調、同グラミー賞で「最優秀新人賞」を含む2部門にノミネートされたビービー・レクサ、SUMMER SONICでのパフォーマンスも話題となったジョルジャ・スミス等々、挙げたらキリがないが、UK出身のシンガーソングライター、デュア・リパの快進撃も忘れてはならないだろう。

 彼女の活躍をざっと挙げてみるとーー全ストリーミングサービスの再生回数は30億回を越え、女性ソロアーティストとしては最年少で(2018年2月時点)YouTube再生回数10億回突破という偉業を達成。2月に行われたUK版グラミー賞『ブリット・アワード 2018』では、「ブリティッシュ女性ソロ・アーティスト賞」「ブリティッシュ・ブレイクスルー・アクト賞」を受賞し(これはストームジーと並んでの最多受賞だ!)、4月にリリースされたカルヴィン・ハリスとのコラボ曲「One Kiss」はUKで8週連続1位を記録、ヨーロッパ諸国でも軒並みチャート1位を獲得するなど、枚挙に暇なしの大活躍だ。5月に行われたUEFAチャンピオンズリーグ(欧州CL)決勝の開会式でのパフォーマンスや、チケットが即完売となった一夜限りの単独来日公演(5月/Zepp Tokyo)でのグルーヴィーで華やかなパフォーマンスも記憶に新しいだろう。極めつけが第61回グラミー賞にて「最優秀新人賞」と「最優秀ダンス・レコーディング賞」(シルク・シティ&デュア・リパ「Electricity」)の2部門でノミネートされたこと。音楽界で最も権威と名誉があるアワードにUK出身の新人シンガーが2部門でノミネートされたのだから、彼女の人気と実力がどれだけ本物かという証明となるだろう。来年2月の授賞式が今から楽しみで仕方ない。

 そんな彼女の人気を受け、今年10月には全英3位を記録したデビュー・アルバム『Dua Lipa』の2枚組コンプリートエディション盤がリリースされた。<ディスク1>には全英チャート1位を記録し、全米チャートでも6位を記録した大ヒットシングル「New Rules」や、これまたグローバルヒットとなった「IDGAF」などオリジナルアルバム収録曲に加え、日本盤ボーナストラックを5曲追加収録。そして<ディスク2>には先述したカルヴィン・ハリスとの全英ナンバーワンヒット「One Kiss」や、全英トップ10ヒットとなったショーン・ポールとの「No Lie」、オランダ出身のDJ/プロデューサー、マーティン・ギャリックスとの「Scared To Be Lonely」、そしてディプロとマーク・ロンソンによる最強DJユニット=シルク・シティとのグラミー賞ノミネート・ナンバー「Electricity」などコラボ曲を5曲も収録(オリジナルアルバム未収録2曲や、「New Rules」のライブバージョンも)。そんな豪華コラボの中でも最大のトピックがアジアが誇る大人気ガールズグループ、BLACKPINKとのコラボ「Kiss and Make Up」だろう。レゲエテイストの音数少ないビートの上で「こんなふうにあなたを失うのはイヤ」「キスして仲直りしよう」と切ない乙女心を歌ったミディアムチューンとなっている。アジアのグループとコラボにはやはり興奮を覚えるし、近い将来日本人アーティストとのコラボも期待したいところだ。

 歌やソングライトの実力のみならず、モデルもこなす美貌に、LGBTカルチャーへのサポートと、同コミュニティからの絶大な支持(シングル「Blow Your Mind (Mwah)」のMVではレインボーフラッグを掲げ、今年9月の上海公演でレインボーフラッグを掲げた観客が強制退場させられたことに対し、彼女はステージ上で涙を流している)など、まさに現代のポップアイコンと呼ぶに相応しいアーティスト、デュア・リパ。最新ニュースとしては、日本発のSF 漫画『銃夢』を原作とし、巨匠ジェームズ・キャメロンが製作・脚本を務めたハリウッド実写映画『アリータ:バトル・エンジェル』(2019年2月公開予定)のオフィシャルシングルにデュアの新曲「Swan Song」が決定しているそうだ(キャメロンと共に『タイタニック』『アバター』など数多くの大作をプロデュースしたジョン・ランドーは、「デュア・リパの“New Rules”のビデオを見た瞬間、彼女こそ本作の楽曲を手がけるのにぴったりのアーティストだと確信した」と語っている)。まさに飛ぶ鳥落とす勢いの大活躍だが、そんな彼女もまだ23歳、これからますます彼女は飛躍するだろうし、その動向に注目し続けていきたい。

(文=川口真紀)

デュア・リパ『Dua Lipa (Complete Edition) 』

■リリース情報
『Dua Lipa (Complete Edition) 』
発売:2018年10月19日(金)
価格:¥2,600(税抜)
Amazon
iTunes
レコチョク

<DISC1>
M-1
Genesis / ジェネシス
M-2
Lost In Your Light (feat. Miguel) / ロスト・イン・ユア・ライト(feat. ミゲル)
M-3
Hotter Than Hell / ホッター・ザン・ヘル
M-4
Be The One / ビー・ザ・ワン
M-5
IDGAF / IDGAF
M-6
Blow Your Mind (Mwah) / ブロウ・ユア・マインド
M-7
Garden / ガーデン
M-8
No Goodbyes / ノー・グッバイズ
M-9
Thinking 'Bout You / シンキング・アバウト・ユー
M-10
New Rules / ニュー・ルールズ
M-11
Begging / ベギング
M-12
Homesick / ホームシック
M-13
Dreams / ドリームス
M-14
Room For 2 / ルーム・フォー・ツー
M-15
New Love / ニュー・ラヴ
M-16
Bad Together / バッド・トゥギャザー
M-17
Last Dance / ラスト・ダンス
M-18
Hotter Than Hell (Miike Snow Remix)(* BONUS TRACK) / ホッター・ザン・ヘル(マイク・スノウ・リミックス)(* BONUS TRACK)
M-19
For Julian(* BONUS TRACK) / フォー・ジュリアン(* BONUS TRACK)
M-20
New Rules (Initial Talk remix)(* BONUS TRACK) / ニュー・ルールズ(イニシャル・トーク・リミックス)(* BONUS TRACK)
M-21
IDGAF (Initial Talk Remix)(* BONUS TRACK) / IDGAF(イニシャル・トーク・リミックス)(* BONUS TRACK)
M-22
IDGAF (Hazers Remix)(* BONUS TRACK) / IDGAF(ヘイザース・リミックス)(* BONUS TRACK)

<DISC2>
M-1
Want To / ウォント・トゥ
M-2
Running / ランニング
M-3
Kiss and Make Up (Dua Lipa & BLACKPINK) / キス・アンド・メイク・アップ (デュア・リパ&ブラックピンク)
M-4
One Kiss (Calvin Harris & Dua Lipa) / ワン・キス (カルヴィン・ハリス&デュア・リパ)
M-5
Electricity (Silk City & Dua Lipa) / エレクトリシティ (シルク・シティ&ディア・リパ)
M-6
Scared To Be Lonely (Martin Garrix & Dua Lipa) / スケアード・トゥ・ビー・ロンリー (マーティン・ギャリックス&デュア・リパ)
M-7
No Lie (Sean Paul & Dua Lipa) / ノー・ライ (ショーン・ポール&デュア・リパ)
M-8
New Rules (Live) / ニュー・ルールズ(ライヴ)

オフィシャルサイト

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる