AmamiyaMaakoが語る、自身のルーツとDTMの魅力「シーンを引っ張っていけるような存在に」

AmamiyaMaakoが語るDTMの魅力

 タワーレコード新宿店限定でリリースしたシングル『City magic/Hummingbird』が好評、12月29日に同店7階イベントスペースでリリースイベントを開催するAmamiyaMaako。DTMで楽曲を制作し、ギターやピアノの弾き語りではなく、サンプラーやコンピュータを駆使したライブスタイルで今注目を集めている。ちょっとした懐かしさと新しさに満ちた楽曲は、90年代の洋楽R&Bや渋谷系、さらにジャズヒップホップを感じさせる。DTMに魅せられた理由や自身のルーツについて話を聞いた。(榑林史章)

「City magic」は自分らしさを詰め込んだ代表曲 

ーー『City magic/Hummingbird』が、タワレコ新宿店限定でリリース。反響はどうでしたか?

AmamiyaMaako:タワーレコードさんがコーナーを作って展開してくださったんですけど、とても反響が良くてうれしいです。やっぱり最初は心配で、お店に観に行ったんです。そうしたら試聴機で聴いてくれているお客さんがいて、うれしくて思わず声をかけてしまいました。「これ、私なんです!」って(笑)。30代のサラリーマンの方だったんですけど、すごく驚いていました。少しお話をさせていただいたら、私のことは知らなくてたまたま聴いていたらしくて。そのままCDも買ってくれて、そのあとのワンマンライブにもきてくれたんです。

ーー大胆なことをしますね(笑)。

AmamiyaMaako:そういう場面に出くわしたことに感激して、ついやってしまいました(笑)。

ーー『City magic/Hummingbird』は、どういうテーマで作ろうと思ったんですか?

AmamiyaMaako:10代や20代の若い世代の方に聴いてもらって、共感してもらえるシングルにしたいと思いました。そういう曲が、今まではなかったんです。それで楽曲打ち合わせの時に「City magic」の断片をプロデューサーさんが持ってきてくれて、イメージ通りだったので今回、その勢いのまま「City magic」を作っていただきました。若者が夢を追いかけて東京に出てきて、きらびやかな都会に魅了されたり、失敗したり、少し疲れてしまったり……という歌詞の内容です。

ーー歌のバックに流れているシンセのフレーズやビート感は、ちょっと懐かしさがあって。でも途中でラップが入ったりして、曲の構成は今っぽい。新しさと懐かしさが同居した感じの曲ですね。

AmamiyaMaako:サビの4つ打ち感が気に入っています。曲調はまったく違うんですけど、ミックスの時に「音の雰囲気はジャミロクワイ寄りにしてほしい」という無茶な要望をして作っていただきました。あとは、今の時代を分析しつつ、自分のルーツも乗せつつという感じですね。誰々っぽくならないように、自分の色に忠実にするということも考えました。ずっと休みなく2番のサビまで歌っているんですけど、その中にラップが入ったり転調したり、展開があるので、飽きずに最後まで聴いてもらえると思います。それに自己紹介じゃないけど、ちゃんと自分の顔になる曲にしたくて。ラップにしても展開にしても、自分の得意とするものを盛りだくさんに詰め込みました。

ーー代表曲はこれです! と言える曲になった。

AmamiyaMaako:はい。そういう曲になりました。プロデューサーさんとはずっと一緒に制作をしてきて、私の好きな感じとかやりたいことを分かってくださっているので、それをすべて反映してくださった感じです。

AmamiyaMaako / 『City magic』MV

ーーもう1曲の「Hummingbird」は、会社や世の中で疲弊しながら、でも夢に向かっていきたいという男性目線で気持ちを歌っている。これは、ご自身で作詞作曲を。

AmamiyaMaako:これは「City magic」よりも前に作ったんですけど、最初に書きたい歌詞のテーマがあったので歌詞から作りました。いつもはどうしても女性目線の歌になりやすいので、新しいチャレンジとして、男性っぽい目線で力強さのあるものをテーマにして歌詞を書いて、それに合わせて曲調も疾走感のある感じにしました。いつも同じように横揺れするみたいな曲ばかりでは、お客さんも飽きてしまうだろうし、新しいことにチャレンジするように意識していて。それで歌詞には、自分では普段口にしないようなワードもたくさん出てきますし、こういう曲調になりました。個人的には、後ろでずっと流れているジャズっぽいピアノが気に入っています。

ーーこれはジャンル的にはどういうイメージなんですか。

AmamiyaMaako:ジャズヒップホップが好きなので、そういう雰囲気の曲が作れたらなと思っています。私、単純なので、自分が好きだから、きっとみんなもジャズヒップホップが好きなんじゃないかと思って(笑)。流れていたらその場がオシャレになるし、そういうオシャレなものがやりたくて。でもあくまでも歌が主体で、エッセンスとして上手に取り入れることができたらいいなと思って作っています。

「Hummingbird」は、ビートの感じにそれが出ていると思います。リズムのパターンはシンプルなので、生ドラムでやるとロックっぽく聴こえてしまう曲なんですけど、そこをあえてサンプラーを使うことによって、ジャズヒップホップの雰囲気が出せている。音色でガラッとイメージが変わってしまうので、そこにはこだわって、エンジニアさんと何度もやり取りをして仕上げました。

ーージャズヒップホップは、どういうきっかけで聴くように?

AmamiyaMaako:幼少期にR&Bを聴いていた流れで、今そういうのが好きという感じなんですけど……。両親が昔バンドをやっていて、家では朝から何かしらのCDが流れていていたし、休みの日は家族でCDショップに行くという、音楽が身近にある家庭環境だったんです。それで小さいころは、家で流れているジャネット・ジャクソンやTLC、ボビー・ブラウンといったR&Bばかり聴いていました。そういう音楽が自分のベースにあるので、その延長線で普段聴いたり、やっている音楽にも影響が出ているかなって思います。

ーーライブでは登場のSEでBeastie Boysの「Sabotage」が流れ、本編では椎名林檎やくるり、「今夜はブギー・バック」のカバーなども披露していました。Amamiyaさんの楽曲からは、渋谷系やシティポップ、R&B、ジャズヒップホップといった、いろいろな要素を感じます。

AmamiyaMaako:Beastie Boysの「Sabotage」は、単純に格好いいと思ったので(笑)。前回のワンマンの時が、会場が狭くて客席を通ってステージに上がらなくちゃいけないところだったんですね。それで、フードをかぶって格好良く登場したいなと思って「Sabotage」を選曲して。それが好評だったので、今回のワンマンでも「Sabotage」を使いました。イベントや対バンLIVEに出る時は、Tahiti 80の「Heartbeat」をよく使っています。

ーー椎名林檎やくるりなどのJ-ROCKは?

AmamiyaMaako:中高一貫の女子校に通っていたんですけど、部活が軽音部だったんです。邦楽ロックは、その頃にたくさん聴きました。学校は携帯プレーヤーの持ち込みが禁止されていたんですけど、マフラーで隠して聴きながら学校に行っていて。椎名林檎さん、くるりさん、ASIAN KUNG-FU GENERATIONさん、GLAYさんなど、たくさん聴いていました。

渋谷系は、『pop'n music』という音ゲーが好きでよく遊んでいたんですけど、そのゲームに渋谷系の曲がたくさん出てくるので、そこで覚えたというのはあります。あとは、映画『モテキ』が流行った時に、あの映画で渋谷系をすごくフィーチャーしていたので、そこで興味を持って自分なりに掘っていくようになりました。だから自分の中では、渋谷系はまだ新しくて。それよりも幼少期に聴いたR&Bのほうが、ルーツとして根強いのかなって。

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