欅坂46、2期生9人はグループに何をもたらす? 「お見立て会」を見て感じたこと
ライブ中のMCや締めの言葉のかけ声を担当し、2期生のキャプテン的ポジションを担っていたのが、元銀行員の松田。彼女もまた物怖じしないタイプで、武道館の大舞台でも「緊張? していません。余裕だぜ!」と笑顔を見せるほど。その言葉だけでなく、実際のパフォーマンスもしっかりとこなし、一番の即戦力と感じさせる頼もしい存在だ。パフォーマンスの面から言えば、「ダンスが得意」と自己PRするほどの自信を持つ武元の表現力は群を抜いている。またトークや握手会で常にニコニコの笑顔でファンの心を掴んでいたのは、田村。努力したことは、「見られ方の研究」と言うほど、どんなときでも見られることを意識した立ち振る舞いで観客を魅了した。まだ2期生新メンバー全員を発表する前に、『うたコン』(NHK総合)や『2018 FNS歌謡祭』(フジテレビ系)で早くも漢字欅の一員として「アンビバレント」のパフォーマンスに加わっていたのが、この3人。納得の選抜だったということが「お見立て会」でわかった。
そして、将来のエース候補を占う「サイレントマジョリティー」でセンターに抜擢されたのが藤吉。自己PRで「食べるの大好き」と替え歌を披露して面白い一面も見せていたが、人生で一番嬉しかったことは「人間に生まれたこと」、そして笑顔が苦手というクールな佇まいは他の2期生とは一線を画す。藤吉がいなかったら、2期生は乃木坂46との差別化が難しかったのではないだろうか。大槻ケンヂが漢字欅のことを古屋兎丸の漫画『ライチ☆光クラブ』のような世界観とたとえていたが、それは平手を中心にグループ全体に漂うアングラ感を大衆的に昇格させたことを指していると考えられる。平手とはまた違うが、実際のパフォーマンスを見て、藤吉は漢字欅らしさを体現できる一人だと感じた。
2期生はとてもバランスが取れていて、メンバーで一つのグループが成立していると言っても過言ではない。それゆえに、1期生に加わると個性がどうなっていくのか、正直「お見立て会」を見てグループの将来図がわからなくなった部分もある。12月10日放送の『未来の鍵を握る学校 SCHOOL OF LOCK!』(TOKYO FM)で、2期生が加わった漢字欅についてプロデューサーの秋元康は「全くわからない。そこがやっぱり欅坂の面白いところだと思うんですよね。先が読めないじゃないですか。だから、一瞬一瞬が欅坂の今なんですよね。それを目撃し続けるしかない」とコメントしていた。新メンバーが噛み合うも合わないも、それこそが漢字欅の個性であり、そのガチ感を今まで以上に楽しむのが正しい漢字欅の見方なのかも知れない。少なくとも誕生して以来、長濱の例外を除き、初期メンバーだけで活動してきた漢字欅が、2期生という形で初めて新メンバーを迎え入れたのは、それだけでも革命であり、グループとしての大きな一歩に違いない。今と将来を見据えた補強は、確実に面白い方へと向かうだろう。
(文=本 手)
※山崎天の「崎」は「たつさき」が正式表記。