椎名林檎×宮本浩次、清 竜人×吉澤嘉代子、ミセス×井上苑子……2018年彩った刺激的な男女コラボ曲
さユり×MY FIRST STORYによる「レイメイ」は、作詞:さユり&Hiro(Vo)、作曲:さユり&Sho、編曲:MY FIRST STORYという共作曲。ゆえに、互いの存在により、互いの新しい表情が引き出されている感じがあるのが面白い。さユりがポエトリーリーディングするのも新鮮だし、〈痛む泥濘の中で祈りを描くよ〉といったフレーズはMY FIRST STORYの楽曲にはなかなか登場しないだろう。アニメ『ゴールデンカムイ』(TOKYO MXほか)第二期のオープニングテーマであるこの曲は、ラウドロック調のアッパーチューン。二声が一体になって――というよりは、それぞれが独立した個として存在しており、協奏しているようなイメージだ。これはアニメの主人公2人の投影ともとれるほか、それぞれ“孤独”をテーマにした楽曲を多く歌い、交わらずとも実は共鳴を繰り返してきた、さユりとMY FIRST STORYの関係性を反映しているようにも思える。夜明けを意味する「レイメイ」というタイトルも象徴的だ。
調和するか。競り合うか。一方がプロデューサーにまわるか。それとも共作するか。一口にコラボといえども、やり方は何通りもあるが、“他者の介入により化学反応が発生する”という点はおそらく共通だろう。また、こうして振り返ってみると、映像作品へのタイアップや明確なコンセプトの存在が、男女コラボ楽曲の制作を後押ししているように思えるが、はたしてどうだろうか。刺激的なコラボ楽曲が、来る2019年にも生まれてくることを期待したい。
■蜂須賀ちなみ
1992年生まれ。横浜市出身。学生時代に「音楽と人」へ寄稿したことをきっかけに、フリーランスのライターとして活動を開始。「リアルサウンド」「ROCKIN’ON JAPAN」「Skream!」「SPICE」などで執筆中。