乃木坂46 齋藤飛鳥に向けられる期待の眼差し “次世代エース”に至る波乱万丈な歩みを振り返る
そのためか齋藤はいつも誠実に仕事をしている印象がある。乃木坂46 Mail(モバイルメール)では出演する番組や掲載となる媒体のお知らせ、スタッフとのエピソードトークなど、一つひとつの取材に真摯に取り組む姿が伝わって来る。『月刊AKB48グループ新聞』2018年9月号のインタビューでも、選抜と比べて仕事が少ないアンダーの時期が長かった分、今の状況に対するありがたみは人一倍感じていることを明かしている。その一方で、感情の起伏が少ない、ネガティブな性格でもある。今回の『情熱大陸』も、初日の取材で「なんで白石麻衣や西野七瀬への密着ではなく、私なんですか?」と疑問を呈するところから始まったという。(参考:モデルプレス 乃木坂46齋藤飛鳥の40日間に完全密着 「情熱大陸」出演決定)
1期生最年少メンバーとして13歳でグループに加入した齋藤は、今年8月に20歳を迎えた。『乃木坂工事中』の企画「22枚目シングルヒット祈願」では、グループの今後について話す西野と白石が「飛鳥はあと10年はいてほしい」と希望に胸を膨らませ、そのVTRに齋藤が「ちょっと厳しいな」と答える一幕があった。それが本音か、照れ隠しか、本人の意思はわからないにせよ、乃木坂46のエース2人から厚い信頼を寄せられるほど、彼女は今、グループになくてはならない存在であることがわかる。
そして乃木坂46も7年目にして、大きな変革の時を迎えている。先日、12月3日には4期生のお見立て会が、4日には若月佑美の卒業セレモニーが開催された。西野も今年いっぱいでグループを卒業し、来年2月に卒業コンサートが行われる。グループに加入する者とグループを旅立ち新たな一歩を踏み出す者。そして、去ったメンバーの意志を継ぐ者もいる。卒業セレモニーでは、「制服のマネキン」が披露されたが、生駒里奈の卒業後、センターを継いでいるのは齋藤だ。橋本奈々未がセンターを務めた「サヨナラの意味」を継いでいるのも彼女である。
過去最大規模のドーム&スタジアムツアーとなった『真夏の全国ツアー2018』では、初めてセンターに抜擢された2年前の泣き虫だった姿から大きく成長し、先頭を切りながらメンバーを気遣う余裕すら見せた齋藤。兼ねてからの目標であった海外進出に乗り出す乃木坂46にとって、齋藤はその若さから長い目で見ても、グループを牽引できるメンバーである。ミャンマー人の母を持つ齋藤はアジア展開にも意欲的であり、先月には『news zero』(日本テレビ系)に生出演。キャスターの有働由美子を相手に中国の最新技術についてコメントし、その中では“アジアツアー”という目標も飛び出していた。
激動の渦中にある乃木坂46にとって、真のエースとしてグループの核となりつつある齋藤飛鳥。『情熱大陸』の放送で彼女はより多くの人に認知される存在となるだろう。
■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter