キュウソネコカミ、ヤバイTシャツ屋さん、岡崎体育……笑いを越えた先にある“音楽性の核心”に迫る

岡崎体育

 今やSNS世代を代表するヒットミュージシャンの1人といっても過言ではない岡崎体育。「感情のピクセル」「MUSIC VIDEO」といった楽曲やそのMVなどから見えるシニカルさからは、“MVあるある”など世間で受け入れられているコンテンツの“それっぽさ”を的確にとらえ、笑い飛ばしてしまおうという思いが感じられる。

 そんな岡崎体育の楽曲の中でも、近年話題となったのが「キミの冒険」。TVアニメ『ポケットモンスター サン&ムーン』(テレビ東京系)の主題歌にもなったこの楽曲の中で、岡崎体育はある種彼らしくないほどにまっとうなポップソングとしての歌詞表現に挑戦しているのだ。

【公式】アニメ「ポケットモンスターサン&ムーン」プロモーション映像第9弾

 日本のロックシーンやJ-POPシーンへの皮肉ともとれる表現方法を選ぶ一方で、「鴨川等間隔」などの楽曲や一連の『ポケモン』主題歌作品群などではよりシンプルで上質な表現を見せる岡崎体育の根底には、“音楽そのものへのリスペクト”がある。だからこそ、日本のロックシーン・JPOPシーン特有の“それっぽさ”を笑い飛ばしながらも、より広く受け入れられる音楽を極めていけるのだろう。

 最初はコミカルな楽曲で評価されたという共通点はありながらも、バラバラのスタイルを有する3組。その“面白さ”の根底には確固たる信念があり、笑いを越えた先にある“カッコよさ”がリスナーの心をつかんで離さないのだろう。彼らのコミカルな楽曲を耳にした際には“面白い”の向こう側の“カッコよさ”に想いを馳せてみてほしい。

■五十嵐文章(いがらし ふみあき)
音楽ライター。主に邦楽ロックについて関心が強く、「rockinon. com」「UtaTen」などの音楽情報メディアにレビュー/ライブレポート/コラムなどを掲載。noteにて個人の趣味全開のエッセイなども執筆中。ジャニーズでは嵐が好き。
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