『ラブライブ!』シリーズがサブスク解禁 μ'sとAqoursの楽曲の魅力を改めて考える
Aqours
「青空Jumping Heart」
すべてが始まる前のワクワクとドキドキに満ちあふれた1期OPテーマは、Aqours曲の中のマスターピースのひとつに間違いなく挙げられる傑作。そのワクワクが波となって押し寄せてくるような、楽曲冒頭・頭サビ直前にクレッシェンドしながらインサートしてくるシンセサイザーがまずリスナーをとらえる。それに続く歌声もサウンドも、不安など一切想起させないきらめきにあふれたもので、2期で高海千歌が気づいたように、この曲が歌われた時点で彼女たちの“輝き”が確かに存在していたことがわかる。
「想いよひとつになれ」
1期の挿入歌として用いられたこの曲は、桜内梨子がピアノコンクールに出場するために歌唱自体は8人で行われたナンバー。しかし頭サビ直後のソロをはじめ曲中終始ピアノの音色がともに奏でられ続けており、梨子の存在も確かに感じられる楽曲に。さらに千歌と渡辺曜がわだかまりを乗り越えた直後の披露という本編の展開や、サビで主線に追いかけも絡み合うという構成もあいまって、まさに9人の想いがひとつになったことを象徴しているのだ。また、1stライブでは梨子を演じる逢田梨香子が実際にこの曲の伴奏を演奏。さらに先日開催された4thライブでは彼女も歌唱に加わり念願の9人での披露を達成するなど、その存在はますます大きくなり続けている。
「HAPPY PARTY TRAIN」
ほのかな切なさとそれでも先へと進んでいくという意志表示の込められた、初のツアーとなった2ndライブのタイトルチューンでもある3rdシングル。先へと進む際に繰り返される出会いと別れをメインテーマに据えた楽曲で、全体を通して爽やかな風のように響き続けるストリングスの音色は、楽曲全体に漂う切なさをさらに増幅する役割も果たし、よりいっそうリスナーを惹きつける。しかしただ悲しいだけではなく、特に明るく歌われるBメロなどを中心に、やはり希望に向かって突き進んでいく9人の姿を感じさせる1曲だ。
Aqoursは本年末の『NHK紅白歌合戦』への出場も決定。直後に劇場版『ラブライブ!サンシャイン!!』も公開予定ということもあり、一般的にもさらに注目の的になる機会は増すことが予想される。また、μ'sもアプリゲーム『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバルALL STARS』のリリース(2019年予定)を機に、ゲームを入り口に再び脚光を浴びるはずだ。その際今回のサブスク解禁は、楽曲へのタッチをより容易にする働きをしてくれることだろう。これをきっかけにぜひ今まで以上に多くの人に本作の楽曲に触れてほしいと思うし、その反響を受けてサブスク解禁の流れがさらに続き、“好き”という輝きをより簡単に大きく広げられる時代が来ることを、心から願ってやまない。
■須永兼次(すなが・けんじ)
アニメソング・声優アーティスト関係を中心に活動するフリーライター。大学の卒論でアニソンの歌詞をテーマにするほど、昔からのアニソン好き。現在は『リスアニ!』『月刊ニュータイプ』や『TV Bros.』等に寄稿。