『HOPE IN BLACK』インタビュー
JUONが語る、闇の中に見出した希望と音楽 「こんな経験は人生で一度しかない」
最終的には自分で一歩踏み出すしかない
ーー最新作『HOPE IN BLACK』についてお伺いしたいのですが、まずアルバムタイトルにはどんな思いが込められているのでしょうか。
JUON:読んで字のごとく、「“BLACK=闇”の中にも希望がある」という意味です。デビューしてから今日までの間に、色々なことがあったんですが、中でも母が亡くなったことはかなり大きな出来事で。これ以上、寂しく辛いことってないんじゃないか? という気持ちになって、眼に映る世界全てが灰色というか、真っ暗というか。その状態は未だに続いているんですよね。
でも、母はきっと僕のそんな状態を望んでいないと思うし、いつまでも悲しがっているわけにはいかない、希望を見つけなければ……という思いがあって。もちろん、友達や家族の支えもあったけど、最終的には自分で一歩踏み出すしかない。そんな意味をタイトルに込めました。
ーージャケットデザインもインパクトがあります。真っ黒なようで実は違うっていう。
JUON:今回、TLGFの河原光さんという方にお願いしました。下地に赤や青、紫などを塗ってから、最後に黒く塗りつぶしていて。さらに表面にヤスリをかけて、下地の色みが少しだけ覗くようにしてあるんです。暗闇に包まれていても、そこには様々な色彩が隠れているんだということを表現してくださったんですよね。自分の内面に深く潜り込んでいくような今回の作風に、ぴったりのデザインだなと思いました。
ーー以前のインタビューでは、「曲作りは公園にカセットテープデッキを持って行って、そこでギターを弾きながら行った」とおっしゃっていましたが、今回は?
JUON:今回もカセットを使いましたね。60分テープのカセットに、思いついたアイデアをどんどん録り溜めていって、もう一度聞き直して良さそうな部分をiPhoneのボイスメモに入れながら、「これはAメロにしよう」「こっちはBメロに……」というふうに整理していきました。で、それをPro Toolsで組み立てたデモを、プロデューサーのINAさんに送ってブラッシュアップしてもらうという手順です。
ーー今作も、非常に印象的でかっこいいリフが多いですよね。あとすごくブルージーというか、ブルースが基軸にある曲が多いなと思いました。その辺りは意識しましたか?
JUON:例えばLenny Kravitzの「Are You Gonna Go My Way」のような、いわゆるロックの黄金リフ……特にギターのカッコよさみたいなものは、ちゃんと残したいなと思いましたね。頭の中でいつまでもリピートしてしまうような、そんなフレーズをふんだんに入れたかったので、その辺りはINAさんにもたくさん協力してもらいました。
ーープロデューサーのINAさんとの作業はいかがでしたか?
JUON:INAさんとの付き合いはもう長いのですが、今回はレコーディング中に著書である『君のいない世界:hideと過ごした2486日間の軌跡』を頂いたんです。hideさんの全ての楽曲を手がけたINAさんが、その制作に関するエピソードを詳細に記した本で。「これは今、読まなければ!」と思って1日で読破したんですけど、そうしたら疑似体験というか、自分自身がhideさんになってINAさんと作業しているような、不思議な感覚になったのがとても印象に残っていますね。