楠田亜衣奈は“最高の今”を更新していく 初のアコースティック編成で臨んだ3周年記念ライブ

楠田亜衣奈は“最高の今”を更新していく

 楠田亜衣奈が10月7日、東京・duo MUSIC EXCHANGEにて『楠田亜衣奈 3rd Anniversary Acoustic Live』を開催した。

楠田亜衣奈

 楠田自身、そしてファンであるくっすんサポーター(以下:くすサポ)にとって、10月7日は大切な記念日だ。3年前の同日、彼女はミニアルバム『First Sweet Wave』でソロアーティストとしてデビュー。その発表の場となり、同作を携えた“凱旋ステージ”と呼べる2回のイベントを開催したのが、このduo MUSIC EXCHANGEだ。3年間で制作した楽曲と、この日を待ちわびてきたくすサポを率いて、楠田がこの日、この会場に戻ってきたことは、言い表せないほど感慨深い。そんな今回のライブは、彼女にとって初のアコースティック編成で開催。3年間のアーティスト活動を総括するにふさわしい一夜だった。

 ライブは、記念日にぴったりな「Anniversary」で開幕。〈始まりの場所で 待ってるからね〉という歌詞も、この日のために用意されたように聴こえてくる。今回のステージでは全楽曲を通じて原曲よりも音数を減らし、ゆったりとしたテンポで演奏。彼女の歌声と歌詞に込められたメッセージが、普段よりもストレートに胸に届いてくる印象だった。

 続くMCでは、ファン泣かせな言葉が出てくるものかと思えば、登場時に客席からの拍手がなかったことに「(アコースティックでも)拍手は大事!」と、開演前から緊張気味なくすサポに優しく一言。どうやら特別なステージといえど、彼女とくすサポの関係性はいつも通りなようだ。そこから、大切な人と様々な季節を過ごす喜びを歌う「カレンダーのコイビト」を披露。普段と異なる落ち着いたテイストでも、客席の楽しげな雰囲気を感じられたことには、くすサポがこの3年間で、様々な音楽の“遊び方”を見出してきたことを気付かされた。

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 4曲目「アイ・アム」は、今回のライブを特に象徴する楽曲。前奏と間奏では手元の書籍に目を落とし、「2015年5月9日、『さんくっすん祭り』にてソロデビュー発表」から、これまでの“記念日”を振り返っていく。楽曲の優しいメロディとともに、思い出の1ページを捲っていく様子は非常に微笑ましかった。

 続く「you & ai」は、楠田と公私ともに縁の深い南條愛乃の作詞曲。また、南條の作品を数多く手掛ける井内舞子が作曲を担当しており、ナチュラルな音色が特徴的だ。同じく井内が作曲した「spring heart」では“卒業”をテーマに、楠田が8年前に出会った“女の子”、そして彼女と2年前の4月に見た桜の景色を歌詞にしたと語る。ここでは、楽曲の根底にある無常観や儚さがより引き出されて演奏された。

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