楠田亜衣奈は“最高の今”を更新していく 初のアコースティック編成で臨んだ3周年記念ライブ
ステージは、チャフチェスとウィンドチャイムの音に導かれるように、「My yesterdays」でメランコリックな雰囲気へ。ここではドラムに代わりコンガとタンバリンを奏でることで、時の流れを深く遡る様子を演出するかのようだ。また歌詞には、“旅の途中”ですれ違った人に想いを馳せる描写があるのだが、このライブに惜しくも参加できなかったファンもいるだろうからこそ、活動3年目を迎えた感謝の想いを「My yesterdays」に込めたのかもしれない。
「次は元気な曲をやりたいと思います」と宣言した後には、“次の約束”を重ね続けてきた「POWER FOR LIFE」を披露。〈何気ないコトバにもちゃんと 今までが詰まってる〉という歌詞に始まる2番Bメロでは、直前をレイドバックさせることで、この楽曲で一番の聴きどころに昇華した。
ライブ終盤には、「First Sweet Wave」と「トドケ ミライ!」を歌唱。どちらもデビュー作に収録された、この日聴かずには終われない楽曲だろう。「First Sweet Wave」で3年を越えて“コタエあわせ”をするのも束の間、「トドケ ミライ!」では、この先の周年記念ライブすら楽しみにさせられる。そんな“ミライ”への期待感に満ち溢れたまま、この日のステージは幕を下ろした。
ライブ終了後、「First Sweet Wave」をはじめ、楠田の数多くの楽曲で作詞を手掛けている、こだまさおりの顔がふと頭に浮かんだ。楠田は彼女と対談した際、「私には書けない私の気持ちを書いてくれている」と語り、その存在を“エスパー”と評していた(参考:楠田亜衣奈×こだまさおりが語り合う、以心伝心から生まれる作詞術)。この日の「First Sweet Wave」の歌詞は、そのメッセージにもどこか自信のなさが見受けられた3年前と一変し、幸せな“イマ”をそっと謳歌するように聞こえてきた。こだまがもし作詞を通じて、このライブの光景を“予言”したのであれば、彼女はまさしく、本物のエスパーなのかもしれない。
作詞つながりでこの日を振り返ると、特に印象的だったのが「アイ・アム」だ。その終盤には、〈この先もまだ どきどきして/夢の続きを まだまだ見よう/最高の今 更新して/創り続けよう 私のミュージック〉という一節がある。これは、今回の未披露曲「オーマイダーリン」より、〈この先もこの先も 君となら夢見れる〉また〈最高!この瞬間終わらせたりしないから〉という部分とリンクするのだが、注目すべきは“誰が作詞をしているのか”だ。「オーマイダーリン」で作詞を担当したのは、ENA☆と山田高弘の2人。そして肝心の「アイ・アム」は、楠田自身によるものだ。実際に彼女は自分の力で、“最高の今”を更新している。そんな楠田亜衣奈だからこそ、まだまだ“夢の続き”が気になって仕方がない。
(取材・文=青木皓太/写真=中村ユタカ)
■セットリスト
1.Anniversary
2.カレンダーのコイビト
3.アイナンダ!
4.アイ・アム
5.you & ai
6.spring heart
7.My yesterdays
8.POWER FOR LIFE
9.First Sweet Wave
10.トドケ ミライ!
■ライブ情報
楠田亜衣奈 さんくっすんBIRTHDAY 2019
<名古屋公演>
日程:2019年1月26日(土)
会場:ダイアモンドホール
時間:昼の部 14:30開場/15:00開演
夜の部 18:00開場/18:30開演
お問い合わせ:サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
<東京公演>
日程:2019年2月2日(土)
会場:ヒューリックホール東京
時間:昼の部 13:45開場/14:30開演
夜の部 17:15開場/18:00開演
お問い合わせ:ディスクガレージ 050-5533-0888
■関連リンク
楠田亜衣奈 オフィシャルサイト