乃木坂46、相次ぐメンバー卒業の先にも広がる未来への“希望” アンダーライブ北海道シリーズを見て
乃木坂46のアンダーライブ北海道シリーズが、10月2日から5日の4日間にわたってZepp札幌で行われた。近年のアンダーライブはホールが中心だったので、スタンディング形式はShibuya O-EASTで行われたシリーズ化する前のライブ(2014年5月3日)を思い起こさせた。
アンダーライブ全国ツアーでは史上最高といえる人口密度の会場に熱気が立ち込めるなか、「OVERTURE」の後に登場したのは、黒いレザーと網タイツといういでたちの中田花奈。今シリーズのセンターは曲線美を見せつけながらのパフォーマンスで観客からの歓声を誘う。
伊藤万理華、中元日芽香、生駒里奈、川村真洋といったダンス技術の高いメンバーが卒業していくなか、川村は中田に乃木坂のダンスを託した。その想いに応えるようなダンスは、ライブハウスをバーレスク・クラブに変えた。
和田まあや、渡辺みり愛、阪口珠美、佐藤楓が合流し、グループ屈指のセクシーナンバー「欲望のリインカーネーション」を披露。3期生の2人にとっては新境地ながら、阪口は毛先にまで神経が届くような緻密さを見せ、佐藤は手足の長さを活かしてダンスをモノにしていた。
そして、メンバーが全員そろって今回(21枚目シングル)のアンダー曲「三角の空き地」をパフォーマンス。中田による心の渇きを訴えてくるようなダンスは迫力十分だ。ここまでの演出は同曲のMVの設定に近い世界観でもあった。
「不等号」のセンターは北野日奈子と寺田蘭世。オリジナルのセンターである中元の魂を受け継ぐ2人らしく、心を焦がすような表現をブツけていく。「バレッタ」は和風にアレンジされ、和装の樋口日奈が和傘を使いながら妖艶に踊った。
「走れ!Bicycle」はバスケットボールの動きを取り入れた斬新な振り付けで、ユニフォームを着て、ボールをパスしながらのパフォーマンスがメンバーのアイドル性を引き立たせることに成功。本人は年齢を気にしていたが、伊藤かりんのキュートさは発見だった。
「13日の金曜日」は、メンバーそれぞれがクマのぬいぐるみを片手に歌うのだが、伊藤理々杏のぬいぐるみの使い方にアイドル力の高さを感じた。センターの北野がスピーカーの上にクマのぬいぐるみをおいて“気”を放つと、クマが人間サイズに巨大化。最後は北野が「がおー」ポーズを決める。昨年11月から活動を休止していた北野は7月のバースデーライブから本格復帰(フル参加)を果たしていたが、今回のライブで“陽”の部分も復活したように感じた。
今回のライブではセットにおかれているバスケットボールやクマのぬいぐるみが活用されていたのだが、「私、起きる。」でいよいよベッドの出番だ。そのセンターに佐々木琴子を配置した采配は見事的中。彼女のけだるさとウィスパーボイスは曲の雰囲気にマッチしていた。
その後もメンバーの個性を活かしたユニットが続くが、なかでも「逃げ水」のモータウンアレンジを歌った能條愛未、樋口、かりんの3人にはひと際大きな拍手に包まれた。ダイアナ・ロスとThe Supremesを想起させるような衣装に身を包んだ能條の伸びやかな歌声と、樋口&かりんのハーモニーは鳥肌モノだった。