コレサワが語る、聴き手の心を掴む“歌い方” 「私らしい言葉で誰かのことをグッとさせたい」

コレサワが明かす聴き手の心の掴み方

聴き手の心を掴む、歌い方と言葉

ーーランキングの話に戻りますが、第1位は「たばこ」です。この曲はカラオケだけでなく、一般の方やアーティストがカバー動画をSNSなどにアップして、そこからどんどん広まっていきましたね。おそらく今回の企画でもたくさん歌われる曲だと思いますが、歌い方にコツなどはありますか?

コレサワ:昔テレビ番組でつんく♂さんが歌い方を指導しているシーンを見た時に、歌い出す最初や最後に“ん”と添えると可愛い歌声に聞こえるとおっしゃっていたんです。「たばこ」以外の曲でも、そのテクニックを使うことはありますね。やっぱり、サラッと歌ってしまうと曲があっさりと聴こえてしまうので、少しだけ引っかかる部分を作りたいというか。例えば「たばこ」だと、サビの〈「もっとちゃんと僕をみててよ もっとちゃんとって」〉って歌い出す時には“ん”をつけるようにしています。

ーーなるほど。コレサワさん自身は「たばこ」がここまで広まるとは思っていなかったですか?

コレサワ:そうですね。こんなにたくさんの人に届いて、歌ってもらえるとは全然思っていませんでした。知り合いから「失恋の曲がないから作ってみれば」と言われて作った曲だったので。なんで「たばこ」がこんなに好かれているのかは今でも不思議。でも、みんながカバーしたり、好きでいてくれなかったら、ライブで歌う機会ももっと少なかっただろうなって。もしかすると、ストーリー性があるので聴いた時に1本の映画を見たような感覚になってもらえるところが伝わりやすかったのかもしれませんね。

ーーたしかに、聴いていると情景や心情が目に浮かんできますね。

コレサワ:私は人と人の間にある気持ちに興味があるんです。だから“私と君”という関係性を描く曲も多いし、自然と時間軸がはっきりした曲になるんですよね。会話の一部とか、1日の中の一部とか。だから曲もストーリー風になるというか。

ーー意識しているというよりも、自然な流れでそうなる、と。

コレサワ:そうかもしれないですし、関西人って話にオチがないと怒られるんですよ。曲に落としどころがないと聴いてる人がモヤモヤするんじゃないかって、私自身が気になっちゃって。なるべくエンディングを作らないと気が済まないタイプだとは思います。

ーー関西人の血も関係しているのですね。

コレサワ:話し出しとオチ、曲で言えば最初の1行と最後の1行は大事。そこが普通にならないように、ちゃんと私の個性を出せるように心掛けてますね。最初に心を掴めなかったら、スキップボタンでポチっと飛ばされちゃうんじゃないかなって。やっぱり最初から最後までちゃんと聴いてほしいので。

コレサワ「SSW」【MUSIC VIDEO】

ーーそれこそ「SSW」は掴みがバッチリですよね。「すべての元カレに捧げます 聴いてください シンガソングライター!」という叫びから入る出だしには心がグッと掴まれます。

コレサワ:あのセリフはノリで入れてみたんですよ。ああいう入り方をしたらライブで歌いやすいかもっていうイメージがあったので。カラオケでも勢いよく曲に臨めるかもしれないです。

ーーああいう曲を歌っていると、実際に元カレから連絡がくることもあるんですか?

コレサワ:あります。誕生日とかにふっと連絡が来て、「あぁ、覚えててくれたんだ」みたいな。よく「あれって俺のこと?」って歌詞について言われるんですけど、「いや、違うよ」っていうやりとりがあったり(笑)。でも、応援してくれる人の方が多いですね。

ーーコレサワさんの楽曲の中で、個人的に歌ってほしい推し曲はありますか?

コレサワ:「お姉ちゃんにだけ部屋があったことまだ恨んでるのかな」は、ネタソングなんですけど、みんなにもふざけながら歌ってほしいです。ライブではギターを弾かずに歌う曲なんですけど、〈あのおもちゃ川に投げたことまだ恨んでるのかな〉っていう歌詞の部分で客席に向かってガチャガチャのボールに入ったピックとか、れ子ちゃん(コレサワのビジュアルキャラクター)のぬいぐるみとかを投げ込むんです(笑)。そういう曲なので、みんなにもはぁはぁ息を切らしながら歌ってほしい。本当に息継ぎが大変なんですよ、歌が早口なので。同じ盛り上がる曲だったら、「死ぬこと以外かすり傷」も予想以上に上位で嬉しかったです。友達ことを思いながら作った曲で、MVにも友達をイメージした犬のキャラがたくさん出てくるんですよ。だからこの曲は友達と一緒にわーっと楽しく歌ってほしいです。

コレサワ「笑えよ乙女」【Music Video】

ーー「たばこ」を筆頭に、「笑えよ乙女」などのバラード調の楽曲も入ってますね。

コレサワ:今回のアルバムの話になりますが、「パープル」やカラオケには入っていないんですけど「プラネタリウム」とかのバラードは、気を張らずに誰かの耳元で話しかけるように、優しく歌おうと心掛けた曲が多いんです。個人的には今まであまりしたことのない歌い方だったんですけど、曲の雰囲気にもすごい合っていると思うんですよね。「パープル」は本当にいい曲だから女の子にぜひ歌ってほしいなぁ。離れても気持ちは通じ合っているという歌詞は、これから来る卒業シーズンにもぴったりだし、遠距離恋愛をしている方にも聞いてもらいたい。

恋する肌キュンmovie第4弾

ーー歌う時はピッチなどを気にする方ですか?

コレサワ:気にはしますけど、ピッチとかを意識して歌った日の方が失敗することが多いんですよ。少し前のライブで「阪急電車と2DK」を歌った時、阪急電車を思い浮かべながら穏やかな気持ちで歌ったら、今までに感じたことがないくらい、自分の声がどこまでも遠くへ行っちゃうんじゃないかって思える瞬間があって。自然に私の歌声が会場に浸透して、体ごとふわふわ飛んでいきそうな感覚になったのは初めての経験で、その時は本当に感動しました。それをいつでもできればいいなと思うんですけど、そう上手くはいかないんですよね。

ーー先ほど、「パープル」は女の子に歌ってほしいと言いましたが、男の人に歌ってほしい曲はありますか?

コレサワ:えー、なんだろう。男の人の気持ちを歌った曲がほとんどなくて、私の曲で“僕”と言っているのが「たばこ」くらいなんですよ。だから「たばこ」かなー。男の人が歌う「たばこ」はすごい女々しい感じなんですけど、そこがなんか良いなって思えちゃいます。一番カッコ良く歌える曲だと思うので、ぜひ美声を聞かせてください。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる