乃木坂46 西野七瀬、年内卒業へ “自然な成熟を見せる”グループを軸として支えた功績
乃木坂46の西野七瀬が9月20日、公式サイト内のブログでグループからの年内卒業を発表した。
卒業についての明確な理由は示されていないものの、「卒業のことは実は一年以上前から事務所の方とお話をしてきまして、ついに今日皆さんに報告させて頂きました」と熟考した上での決断であることを説明。「私の人生のなかでたぶん一番、華やかで刺激的に生きた時間だったんじゃないかな。と 今、思います」と活動を振り返りながら、「好きだったこの場所から離れるというのは、ちょっと不安もありますが確かに自分で選んだこと。一人になってからも、このお仕事は続けていきたいので、これから先どんなことがあるのかなって楽しみな気持ちが大きいです」と前向きな気持ちを綴っている。
今回の西野の卒業発表について、『「アイドル」の読み方: 混乱する「語り」を問う』の著者であり、乃木坂46に詳しいライターの香月孝史氏に話を聞いた。
「乃木坂46のこれまでの基本的なトーンが表れている卒業発表の仕方だなと感じました。アイドルグループで中心的な役割を務めてきたメンバーの卒業は、イベントなどでの一つのサプライズ的な見せ方になることも少なくありませんが、乃木坂46の場合はことさらに波乱を起こすことよりも、卒業をグループおよび個人のごく自然なステップとして位置づけるように、落ち着いたかたちで発表することがほとんどです。今年の春に卒業した生駒里奈さんや少し前の橋本奈々未さんはマスメディアを通じて発表がなされましたが、やはりそうした基調が守られていたと思います。乃木坂46というグループが何年もかけて培ってきたそういったトーンが、センターに立ちグループを代表してきた今回の西野さんの卒業についても、変わらずに貫かれたという印象を受けました」
西野は1期生メンバーとしてデビュー。8thシングル曲「気づいたら片想い」からセンター常連メンバーの仲間入りを果たし、名曲との呼び声の高い「きっかけ」(2ndアルバム『それぞれの椅子』収録)でのセンター、アニメ映画『心が叫びたがってるんだ』の主題歌「今、話したい誰かがいる」と、第59回日本レコード大賞を受賞した「インフルエンサー」での白石麻衣とのWセンター、自身が主演を務めた映画『あさひなぐ』の主題歌「いつかできるから今日できる」での齋藤飛鳥とのWセンターなど、勢いに乗るグループのイメージを司る中心人物として活躍。ソロでもファッション誌『non-no』の専属モデルやテレビ東京系ドラマ『電影少女 〜VIDEO GIRL AI 2018〜』でのソロ初主演など、多岐に渡る活躍を見せてきた。香月氏は西野のグループにおける存在について「今の乃木坂のイメージを作り上げる軸となった一人」と語る。
「近年の乃木坂46はメンバー個々人も、また全体としても、自然に成熟していく姿をグループの表現として見せています。“自然に成熟していく姿”というのは強いキャラクターづけや強いコンセプト、わかりやすいメッセージ性などとは異なるものなので、大きな特徴や旗印として注目されることは少ないのかもしれません。しかし、乃木坂46が広い支持を得るようになっていったのは、グループ自体が年齢的にもキャリア的にも若い段階を越えて大人としての表現ができるようになって以降のこと。その段階に入った時期に、センターとして、もしくはフロントの中心人物として、グループのイメージの重要な一端を担ってきたのが西野さんでした。“ごく自然な成熟を見せる”ということは、女性アイドルグループの可能性を静かに更新していくことでもあったと思いますし、それは乃木坂46の、さらには西野さんの大きな功績なのではないでしょうか」