DEZERTが語る、リスナーとの向き合い方「“共感”してほしいわけではなく、“共振”したい」
「ロックバンドって音で相手を震わせるもの」(千秋)
ーー例えば今の時代、サブスクだったりYouTubeの再生回数だったり、この記事で言うとPVがどれくらいだとか、そういう数字を頼りに音楽活動をしている人っていっぱいいるんです。というか、それが不特定多数に向けて物事を発信していく上でのスタンダードになりつつあって。だからSNSで「いいね!」の数を増やすのに夢中になるバンドも多くて。
千秋:今の話聞いてて思ったんですけど……いいですか? まず、俺は心底どうでもいいんですよ、そういうのって。リツイートの数とか。僕がTwitterをやらない理由はそういうことで。リツイートの数が増えて、それで満足できるか? って思う。それで自分の何が満足できるの? っていう。
――自分が発信したものに対するリアクションが、視覚化できるってところじゃないですか?
千秋:そんなんで自分の音楽が届いたとか思えるんですかね? 僕は思えない。だからTwitterとか好きになれない。
SORA:でもそれにハマってる人たちはそう思ってるんじゃない?
千秋:届いたって? リツイート数で? あんなもんRPGみたいなもんじゃん。リアルでもなんでもない。
SORA:でも「バズった」とか言ってる人はたぶんそうだと思うよ。
ーーちなみにSORAくんはTwitterをやってますよね。自分の投稿にリプライがあったり、リツイートされると嬉しいのでは?
SORA:もちろん嬉しいけど、自分が喜びたいからツイートしてるわけじゃないし。
Sacchan:みんな数を頼りにしているだけで、その数に対する付加価値までちゃんと考えられてないよね。幸い僕たちはあんまりネットの再生回数とかに興味がないから、そんなに。
ーーMiyakoくんはどうですか? ネットとかSNSで発信することについて。
Miyako:俺、あんまり好きじゃないです。なんか……普通のことしか言えないから。ライブ終わって「今日もありがとう」って書くとしたら、それを書いたり書かなかったりっていうのだけで変に誤解されるじゃないですか。書かないと「今日のライブ良くなかったのかな?」とか思われたり。もちろんネットでいろんなことを発信していくのは大事だと思いますけど、俺にとっては余計なことを考えてしまうものというか。
Sacchan:でもそういうネットとかSNSを否定してるわけじゃなくて。ただそんなに興味がない、っていうだけで。
千秋:例えばこのインタビューを1000人が読んだとして、そのうちの1人でも聴こうと思ってくれるなら、僕はいくらでも、裸踊りでもなんでもしますよっていう答え方をしてしまいがちだから。だからインタビューではあんまり喋りたくないんですよ。喋らないヤツだって思われたかったんだけど……。
ーー自分のことをよく知ってる相手がインタビュアーだったと(笑)。
千秋:うん(笑)。「この人に話を聞いてもらえれば届くかな」って思える人だったら、僕は全力で素直にインタビューを受けるし。で、そういう俺を見て「あいつトゲがなくなった」とか言う奴は、もう好きにしてくれっていう。だって俺、このツアーの初日で「ありがとう」って言いましたから、お客さんに。初めてですよ、そんなこと言ったの。
ーーそれだけ素直でまっすぐだと。
SORA:あの時の千秋、カッコ良かったよ。
千秋:そういうこと言わなくていいから(笑)。ライブに来てくれて嬉しかったし。だからなんだろう……聴いて欲しいんですよ。このアルバムが絶対良いから。「好きなように聴いて」って感じでもないし、共感してほしいわけでもないし、これ、最近よく俺が使う言葉なんですけど、“共振”したいんですよ。
ーー共感と共振、何がどう違うんでしょうか。
千秋:共感っていうのは分かち合うってことでしょ? でもロックバンドって音で相手を震わせるものじゃないですか。音源では難しいけど、ライブだと出来る。うるさい音出して人を震えさせて、そこに言葉を乗せてーーしかも自分の体重をしっかり乗せた言葉で。そうじゃないと音が震えてる中で出す言葉なんて、全然届かないから。「そんなに届けたかったらアコギ1本でやればいいじゃん」って言う人もいるかもしれないけど、俺は共感されたいわけじゃないから。言葉が届きやすいピアノとアコギで音楽やりたいわけじゃないから。
ーーバンドで誰かと音を震わせたい。つまり、共振。
千秋:うん、それ。それが今、俺が一番やりたいことだから。だから最初の話に戻るけど、次のライブのことで頭がいっぱいなんです。
――ちなみに今「共振」って言葉の意味をググってみたら、「振動する物体が外部の振動と同期して更に大きく振動すること」だと。
千秋:おお、やっぱりいい言葉だ。それ、バンドのテーマにします。
ーーバンドの音が振動して、それが外部の振動、つまりお客さんの心の振動と同期して、さらに大きな振動となる。そういうことですね。
千秋:そのためにメンバーも今、どう震えさせることが出来るかってことに必死になってるんじゃないかなって思います。
ーー青臭いバンドですね。
千秋:青臭いっすよ、うちらは。
Sacchan:え、僕らって青臭いバンドですか?
SORA:どっちでもいいよ、俺は(笑)。
千秋:なんとでも言えばいい(笑)。
ーー最初はひと言も喋らないでおこうって思ってたヤツが、「僕は全力でインタビューを受ける」って言ってましたけど(笑)。
千秋:だから相手によりますよ。
ーーそういうところが青臭い。
Sacchan:はははは、そうかそうか。
ーーこのままだと青臭いバンドってことで終わってしまうので、誰かいい感じのひと言で締めてもらっていいですか?
全員:…………。
ーーじゃあSacchanお願いします。
Sacchan:え、僕ですか? どうすれば締まるんですか?
ーーDEZERTの千秋っぽい締めで。
Sacchan:うーん……「全員死ね!」とか言っとく?(笑)。
一同:ははははははははははは!
千秋:ああ、締まった締まった(笑)。
(取材・文=樋口靖幸)
■リリース情報
『TODAY』
発売:2018年8月8日(水)
【トゥデイ盤 -特殊パッケージ3枚組仕様(CD+2DVD)】¥8,000+税
【通常盤(CD)】¥3,000+税
<CD収録曲>※トゥデイ盤/通常盤共通
01.沈黙
02.おはよう
03.蝶々
04.浴室と矛盾とハンマー
05.蛙とバットと機関銃
06.Hello
07.insomnia
08.オレンジの詩
09.普通じゃない㈽
10.おやすみ
11.TODAY
<DVD収録内容>
DVD Disc1
<DEZERT LIVE TOUR 2017”千秋を救うツアー2” TOUR FINAL>at 中野サンプラザ LIVE映像
01.「おはよう」
02. sister
03.「誤解」
04.「排泄物」
05.「教育」
06.「変態」
07.「おやすみ」
08.「脳みそくん」
09.「ピクトグラムさん」
DVD Disc2
『TODAY』レコーディングドキュメント映像
■ツアー情報
『DEZERT LIVE TOUR 2018 「What is “Today” ? 」』
9月15日(土)仙台darwin
9月16日(日)仙台darwin
9月23日(日)札幌cube garden
9月24日(月・祝)札幌cube garden
※終了分は割愛
チケット
前売:4,000円(税込)
※オールスタンディング ※入場時ドリンク代別途必要
一般発売:2018年5月26日(土)〜
『DEZERT LIVE TOUR 2018 「What is “Today” ? 」TOUR FINAL』
11月18日(日)東京 Zepp DiverCity Tokyo
開場17:00 / 開演18:00
チケット
前売 ¥4,500(税込)
※1Fスタンディング ※入場時ドリンク代別途必要
一般発売日:9月8日(土)〜
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