折坂悠太の物語性とスタンダード性を備えた歌 宇多田ヒカルら賛辞贈る存在感の理由を紐解く
ライブでは合奏(バンド)形態の演奏も披露するが、彼の音楽表現の主軸はガットギターを抱えての弾き語りだ。そこから生まれる彼の歌は、なぜ情感溢れる物語性と時代に流されないスタンダード性を備えているのか? その理由は以下の発言から紐解くことができる。
「シナリオライターを志した時期がありました。僕は一曲の中で完結して、ずっと回り続けるような世界であり宇宙を作りたい。シナリオについて学んだことは、歌詞という限られた文字数のなかで映像や物語を描く上で役立っています。あとは阿久悠さんからも影響を受けました。阿久さんの歌詞には聴き手をざわっとさせる言葉や物語があるけど、言葉数は決して多くない。むしろ言い足りないぐらいの感じが「なになに?」と思わせる。僕の歌詞の言葉が簡素なのは、日本の歌謡曲や童謡、唱歌からの影響です」
「時代に即した、それでいて時代のなかで使い捨てにならない曲を作りたい。唱歌や黒人音楽には悲しい背景が存在する曲もあるけれど、その曲が好きな人のなかでも、そうした背景を知らない人って案外と多いですよね。全てを説明しなくても「歌が輝く」というか。自分もそういう歌を歌いたいんです」
今年1月にリリースした5曲入りEP『ざわめき』では、初めてバンドメンバーや外部のアーティストとの共同作業でレコーディングを行い、サウンドの幅を一層と広げた。さらに今夏は数々の夏フェスに参戦し、その合間にはイベントライブにも精力的に出演した。
そして10月3日、折坂はニューアルバム『平成』をリリースする。あたかも平成元年生まれの彼が、平成最後の年に時代を俯瞰したかのようなアルバムタイトルだ。
「『折坂悠太』っていうのとそんなに変わらなかったというか、セルフタイトルみたいなイメージで名付けました」
すでに彼の公式HPでは同作からの新曲「さびしさ」を披露した『FUJI ROCK FESTIVAL 2018』のライブ映像が公開されている。“注目のシンガーソングライター”の最新にして最高に値する一作の到着を、ぜひ共に期待してほしい。
(文=内田正樹)
■リリース情報『平成』
発売:2018年10月3日(水)
価格:¥2,500(税抜)
『あけぼの』
配信開始:2018年8月16日(木)
iTunes、Applemusic、Spotifyなどで配信中
『たむけ』
配信開始:2018年8月16日(木)
iTunes、Applemusic、Spotifyなどで配信中
■ライブ情報
11月22日(木) 名古屋Live & Lounge Vio
11月24日(土) 心斎橋CONPASS
12月2日(日) SHIBUYA WWW
※各公演ワンマン、特別ゲストあり
・オフィシャル先行予約
オフィシャル先行期間: 8月7日(火)17:00 ~ 8月21日(火)23:59(抽選制)
東京・大阪
名古屋
※PC・モバイル共通
・一般販売
一般発売日: 9月1日(土)