RUANN、次代のポップスターの片鱗を見せた一夜 音楽シーンの“今”を感じ取れるステージに

RUANN、次代のポップスターの片鱗を見せた一夜 音楽シーンの“今”を感じ取れるステージに

 8月26日、RUANNが新宿ReNYでライブ『RUANN TOUR 2018 SUMMER “LOVE & HOPE”』を行った。シャンデリアとミラーボールが光る円形の会場には約650人のファンで満員となり、彼女の登場を今か今かと待ち望んでいるムードで充満していた。まだまだ駆け出しの彼女のもとにはすでに幅広い客層が集まっていて、それだけでも彼女の持つ魅力は同世代だけでなく多くの人々を引き寄せるものなのだと物語っている。「YouTubeで知って好きになる」パターンが多いと聞くが、少し前までYouTubeと言えば若年層に大きく偏った文化であったはずである。こうした状況を見るにつけ、なんとなく時代の変化を感じられた開演前であった。

 いよいよ幕が開けようとしていた頃、会場内にマイケル・ジャクソン「Beat It」が流された。それに反応して会場が少し湧く。ボリュームが上がり、同時に歓声も大きくなっていく。突然そのBGMがストップすると、幕が開け、大歓声と共にRUANNとダンサー2人が舞台に登場した。そこでジャクソン5の「I Want You Back」を歌い踊る。途中で1992年の『デンジャラス・ワールド・ツアー』でマイケルが見せたあの伝説の2分間を彷彿とさせる「静止」を見せる。客席は笑いと興奮で溢れかえった。日本の若き少女のその姿に、世界的なスターの面影を重ねた人も多いだろう。

 2曲目に披露したのはファンにも人気の「The Beautiful girl is about u」。この曲で会場のテンションは急上昇。次に、レディー・ガガの「Born This Way」をギター1本でアレンジしてカバーした。名曲をパワフルに歌い上げる。しかも英語の発音が上手いため歌詞の運びもリズムに自然と乗っている。続けてONE OK ROCK「Wherever you are」も同じように弾き語る。会場は静まり返り歌声に聴き入る。5曲目にはTVアニメ『3月のライオン』第2シリーズ第2クールエンディングテーマにも起用されたオリジナル曲「I AM STANDING」を熱唱。歌声をダイレクトに感じ取れるこの前半で、その場にいた誰もが彼女の才能に打ちのめされたことだろう。

 若い人というのは世の中のトレンドに敏感に反応するものだが、彼女のステージほど現在のエンターテインメントシーンをシンプルに表しているものはない。この日披露した全部で14曲のうち5曲がカバーであった。ジャクソン5、レディー・ガガ、ONE OK ROCK、TWICE、DEAN(K-POP)。国の境もジャンルの垣根も越え、世界の音楽を彼女なりに咀嚼し表現していた。若者は常に時代を映し出す鏡のようなものだ。彼女のステージもまた、現在の音楽シーンを凝縮した“今”を感じ取れるものであった。

 そして重要なのが、それが単なるカラオケに止まっていない点である。世界的なヒット曲を彼女なりにアレンジし高らかに歌い上げるその姿に、まだ洗練されてない「剥き出しの才能」と言うべきか、「才能が彼女をステージに立たせている」と言うべきか、ステージに立つべき存在がしっかりとそこに立っているという当たり前のことのようで当たり前でないこの光景こそが、彼女がステージ上で強く示していることなのである。

 MCでは「考えていたことが全部飛んだ」と話して笑いが起きた。そうした等身大な姿も彼女の魅力になっている。「Perfect life」「Pinky World」「GET THE GLORY」と持ち歌を続けざまに披露。歌って踊る、ダイナミックなパフォーマンスで会場を楽しませる。

 彼女はすでにいっぱしのステージワークを身に付けている。観客の雰囲気を掴み取ってその場その場で臨機応変にテンポを速めたり、逆に遅くしてみたり、「しーっ」と観客を静まらせたり、ハンドクラップを誘ってみたり、MC中に上がった声をしっかりと聞き取って答えて上げるなど、ライブ会場の空気を掌握する彼女の技術に観客は心地よく身を委ねていた。

 9月にメジャーデビューすることを改めて報告すると、デビュー曲「LOVE & HOPE」を披露した。未来を前向きに歌ったこの曲は、彼女の目の前に広がる無限の可能性を感じさせてくれるものだった。「今までは自分のために歌っていた。これからはみんなのために歌う」とファンの前で話すと、アンコールでは「I’m just walking without you」と再度「The Beautiful girl is about u」を披露し会場の熱気は最高潮に。サプライズでクリスマスライブの開催が発表され、今回のライブは大盛況のうちに幕を閉じた。

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