A.B.C-Zは聴く人に“今”を生きる元気を与える ダイレクトに体感してほしい本質的な魅力

 10年の歩みの中では、メンバーが負傷する場面もあった。それくらい彼らの舞台は、一瞬の気の緩みも許されない真剣勝負だったのだ。そんな厳しい場面こそ「グループ内でも助け合えるけど、ライブ中だとお客さんにも助けられた。お客さんのおかげで結束力が高まった」と、8月21日放送のラジオ『A.B.C-Z 今夜はJ's 倶楽部』(NHKラジオ第1放送)で、河合郁人が振り返っていた。

 また「自分をちゃんと怒ってくれるメンバーっていますか?」というメールを塚田僚一が読み上げたときには、振り付けを手がけ始めたばかりでまとまらなかった五関晃一に河合から厳しい声が上がったこと、尖っていた塚田が五関と涙が流れるほどのアツい議論をしたこと、キャリアの異なる橋本が加入当時に“振りやアクロバットが違う”と注意されて怖かったこと……など、今だから言える裏話が飛び出す。そして、ひとしきり話したあとに戸塚祥太が落ち着いた口調で「ちなみに今のメールは4番目に読むメールでした。そして今から僕が読むメールが1番目に読むメールでした」とまとめて、笑いを誘うのもA.B.C-Zらしい一幕だった。

 今しかない楽しい流れを止めない。その空気感は、舞台やエンタメショーを得意とするA.B.C-Zならではの余裕だろうか。自由気ままに見えて、あうんの呼吸が取れている安心感。そして、のびのびとお互いの言いたいことを言い合えるのも、ぶつかってもまた一緒に笑えるのも、その瞬間の感情を大事にしているからこそ。だから、A.B.C-Zが歌う楽曲は、聴く人に“今”を生きる元気を与えてくれるのだろう。彼らの本質的な魅力は、ぜひ劇場でダイレクトに体感してほしいが、今夜の『ミュージックステーション』も生放送。ライブならではのA.B.C-Zの凄さが、テレビ画面から伝わることを期待している。

(文=佐藤結衣)

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