バンド主催フェスにおける共通点は? YON FES、DEAD POP FESTiVALから考える

 一方、メインステージでは、フェスを主催するアーティスト同士の「輪」のようなものが顕在化していた。『HAZIKETEMAZARE FESTIVAL』を主催するHEY-SMITHは『YON FES』にも『DPF』にも出演しているし、『DPF』には『京都大作戦』を主催する10-FEETも出演していた。『DPF』での04 Limited Sazabysのライブ中に、GEN(Ba/Vo)がSiMに『YON FES』への出演オファーをしていたように、おそらく「呼ばれたら呼び返す」的な文化が彼らの中にはあるのだろう。恩を恩で返すような関係性は非常に美しいものだが、そうなると、アーティスト主催フェス同士で何となく出演者が被ってしまうという弊害も招きかねない。その辺りのバランス感覚は今後の課題になっていきそうだ。

 10-FEETによる『京都大作戦』、氣志團による『氣志團万博』、西川貴教による『イナズマロック フェス』などはすでに独自の存在感を確立したような印象があるが、『YON FES』や『DPF』もこの潮流に続くことになるのだろうか。両者とも現時点では来年度の開催をアナウンスしてはいないが、引き続き動向を追っていきたいと思う。

■蜂須賀ちなみ
1992年生まれ。横浜市出身。学生時代に「音楽と人」へ寄稿したことをきっかけに、フリーランスのライターとして活動を開始。「リアルサウンド」「ROCKIN’ON JAPAN」「Skream!」「SPICE」などで執筆中。

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