TWICE、Superorganism、Now United……エンタメ業界における多国籍グループの波
ひと昔前は、アジア圏のロック/ポップアーティストがアメリカで成功を収めることは非常にハードルが高いと言われてきた。ここ日本に焦点を当てても、80年代のLOUDNESSのようなケースはあるものの、例えばBillboardチャートのトップ40に入るのは至難の技。インターネットが普及し始めた2000年代に突入してからは、海外と日本との間にあったカルチャーの“時差”がほぼなくなったこともあり、また簡単に他国の音楽に触れることができるようになったため、ひと昔前ほどの壁はなくなりつつある。その結果がBABYMETALの世界的成功であり、隣の国・韓国のBTS(防弾少年団)のBillboard 200(アルバムチャート)での1位獲得という快挙に表れている。
そんな中、ここ最近アジア圏のアーティストが新たな活動スタイルを見せ始めている。そのひとつが、“多国籍化”ではないだろうか。多国籍化とは文字どおり、メンバー全員が同一国のメンバーではなく、複数の国のメンバーを含むことを指し、この活動形態により、さらなるグローバルな展開を目指すというものだ。
この多国籍化、実はもっとも身近なところではK-POPアーティストがすでに積極的に取り入れている。日本でも人気の高いTWICEはそのもっともたる好例で、ご存知のとおり日本や台湾出身メンバーを含む。K-POPグループの多国籍化については本サイトでも過去に紹介しているので、そちらを参考にしてもらいたい(参考:TWICE、PENTAGON、SEVENTEEN……K-POPグループ“多国籍化”の背景は?)。
この多国籍化の波は、ロックシーンにも影響を及ぼしつつある。先日大成功のうちに幕を下ろした日本最大級のロックフェス『FUJI ROCK FESTIVAL '18』にも出演し、早くも来年1月にジャパンツアーが決定したSuperorganismもそういった新機軸を打ち出すバンドのひとつだ。彼らの興味深いところは、インターネットを介して日本、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドのメンバーが集ったこと。曲作りはデータのやりとりで簡単に行うことができるし、実際に顔を合わせることなくアクションを起こせるのは、インターネット世代ならではといったところだろう。
すでに彼らは英『BBC』や米『Rolling Stone』など海外メディアで「今、注目のアーティスト」として紹介され、フランク・オーシャンやエズラ・クーニグ(Vampire Weekend)、宇多田ヒカルからもラブコールが送られる存在に。今後彼らがどこまでの成功を収めるかによっては、ここから後続たちが一気に増える可能性も高い。