けやき坂46、ラストアイドル、原田珠々華……新時代の胎動を感じた『TIF 2018』を振り返る

『TIF 2018』を振り返る

 3日間を通して、最も印象に残ったのが、初日SKY STAGEでの原田珠々華のステージだった。フジテレビ湾岸スタジオ屋上に設置されたSKY STAGEは、ステージ奥にフジテレビ本社を望み、澄んだ青空や美しい夜景をバックにパフォーマンスすることができる場所。今年2月に解散したアイドルネッサンス。メンバーの8人はそれぞれの道を歩み始めており、原田はソロシンガーとして、この日が初のパフォーマンスとなった。原田の前のアクトを務めたのは、アイドルネッサンス候補生として原田と共に活動していたAIS -All Idol Songs-の7人。「サマーライオン」「Endless Summer」の2曲は、この夏に向けて持ち曲として追加された屈指のサマーチューンだ。また、アイドルネッサンスのカバー曲「夏の決心」をSKY STAGEで披露する姿は、昨年の彼女たちのステージをフラッシュバックさせた。

SKY STAGEの様子

 AISから最高の形でバトンを受け取った原田。アコースティックギターを携え、自身で作詞・作曲したオリジナル5曲でTIFに臨んだが、そこで待ち受けていたのは、まさかの音源トラブルだった。結果、ライブは「Hero」「今年の夏休みは君とデートに行きたい」の2曲を披露するもトラブルは解消されず、MCを挟み、弾き語りの「Fifteen」「あなたへ」を歌った。予定時間を大きく超えた30分に及ぶステージは、遠くに稲光が煌めく伝説に残るライブだったのは間違いない。「Hero」で最初に音飛びが起こり、原田が歌うのをやめた瞬間、自然にファンの手拍子が起こったこと。そして、長いMCの途中、ステージ横で見守るAISのメンバーから「珠々華頑張れー!」という声援が飛んだこと。この2つの出来事は、マイナスをプラスに変える彼女の人柄があってこそ起こったもので、それは力強い歌声や美しいファルセットに負けないくらい、彼女の大きな武器となっていくはずだ。SKY STAGEでのリベンジを誓った原田。けやき坂46や=LOVEと同じように、来年は大きく成長した姿を見せてくれることを楽しみにしたい。

 大トリのHKT48では、グループ加入から4カ月の渡部愛加里が、初めてフル参加となるステージでセンターに立っていた。アイドルシーンでは中堅グループが次々と解散を発表しているが、新しい世代も次々と芽吹いている。シーンの縮図と未来が垣間見える3日間だった。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

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