Da-iCE、全てを賭けた『BET』の充実度 初の試みに満ちた4thアルバムを聞く
「『BET』とは、何かを賭けるという意味があります。僕たちはDa-iCEに全てを賭けていくという、強い決意の想いをこめてこのタイトルに決めました」
デビュー5周年イヤーを迎えているダンス&ボーカルグループDa-iCEが、ロングヒット中のシングル曲「FAKESHOW」などを含む4thアルバム『BET』をリリースするにあたって寄せたのが、上記のメッセージ。今回のアルバムは9月24・25日の幕張メッセ2daysからスタートする全国ツアー『BET』と連動しているほか、作家としてグループ外でも活躍する工藤大輝(リーダー&パフォーマー)をはじめ、メンバー全員が楽曲制作に参加。さまざまなDa-iCE初の試みが含まれており、その気合いの入れようがうかがえる。
しなやかなニュージャックスウィングの「BET」にはじまり、歌メロの“強さ”と作りこんだ流麗なサウンドが耳に残る「FAKESHOW」、ジャジーな「リグレット」、m-floの☆Taku Takahashi(m-flo、Block.fm)が提供したドラムンベースの「Blackjack」、ゴージャスなファンクサウンドが光る「Bodyguard」……。ダンスが映える硬質なEDMの「It's not over」や、大野雄大&花村想太というボーカリスト2人の歌唱力を活かしたバラード「いつか...」といった従来の作品につながる要素も残しつつ“スタイリッシュかつシアトリカルなDa-iCE”を前面に押し出した『BET』。その世界観をわかりやすく伝えるのは、先ごろ公開されたドラマ仕立ての「Flash Back」のMVだろう。衝撃的な展開&“To be continued...”の一言でエンディングを迎えるこのMVは、ツアー『BET』への招待状のような位置付けで制作された作品だ。
パフォーマンス面に目を向けると、会場のキャパがステップアップした昨年頃から雄大、想太ともに発声法が少し変わり、より厚みを増した歌声を聴かせるようになっている。それは「リグレット」におけるソウルフルな歌唱などからも伝わりやすいのではないだろうか。ダンスに関しては「僕らのダンスはジャンル的にはヒップホップというよりもコレオグラフィーなので、みんながどれだけその振りの世界感を共有できるかが大事」(大輝/『ナタリー』Da-iCE 5人が描く夢の続き)とかつて語っていたが、近年はスキルの底上げと並行してパフォーマンスも進化&深化。今作では、サビの〈Baby Baby Smoky Smoky Smoky〉で誰にでも真似できる煙を表す手振りを配してDa-iCEらしいキャッチーさを見せつつも、複雑なフォーメーションチェンジでリスナーの視線を“煙に巻く”「FAKESHOW」(振付はs**t kingzのNOPPO)、Da-iCE作品としては珍しく王道のロックダンスのエッセンスを大胆に盛り込んだ「TOKYO MERRY GO ROUND」(振付は国内外で活躍する人気ダンスクルーGANMI)などでの、エッジや華を増したパフォーマンスも印象深い。