Da-iCEはダンスでも“NEXT PHASE”へ アリアナ・グランデ公認カヴァー「Into You」MVを分析

 1月25日にリリースされ、オリコンウィークリーチャート4位にランクインしたDa-iCEのアルバム『NEXT PHASE』。このアルバムを携えた全国ツアーも6月からスタートするが、そのパフォーマンスの世界観を占う意味で注目したいのが、先行公開されているアリアナ・グランデの公認カヴァー曲「Into You」のMVだ(※楽曲は初回フラッシュプライス盤(Da-iCE ver.)/MVは初回限定盤A収録)。

Da-iCE「Into You」

 “恋愛”“セクシー”をコンセプトにしたこのMVでは、歌詞に描かれている男女の限りなく密な関係をビジュアルでも表現しており、公開以来話題を呼んでいる。ベッドやシャワールームなどプライベート感あふれるシチュエーション、さらに観る人のすぐ隣にいるかのようにズームアップされたアングルで誘うような表情を見せる5人はなかなかに刺激的。モーテルを舞台にしたアリアナの原曲MVをオマージュしたような、ショッキング・ピンクの照明もその雰囲気作りにひと役買っている。

 そしてここで目を引くのがこの曲のダンス・パフォーマンス。振付を手掛けているのはGAMI(関ジャニ∞やジャニーズWESTのツアーの振付などを担当)で、楽曲やアーティストにもよるだろうが比較的運動量が多く、フロア技なども多用する情熱的でエネルギッシュな振りが特徴的だ。

 この曲ではサビでの腰をグラインドさせる動きやボディラインをなでるような動きに加え、やはり腰の動きを強調したフロア技などがアダルトなムードをかもし出す。パフォーマーの見せ場である間奏部分では、Da-iCEのダンス番長・和田颯がメンバー2人の背中をあん馬のように使い、前方へとジャンプしてくるダイナミックな技を披露。観る人の心にふいに接近してくるようなセクシーかつキレのあるダンスで、曲の持つ世界観をより一層鮮やかなものにしている。

 また5人の、やや丈の短いパンツに白い靴下を合わせたコーディネートにも注目したい。かのマイケル・ジャクソンがトレードマークにしていたこの組み合わせはステップなどの脚の動きがもっとも映えるように計算されたもので、この曲でもあのランニング・マンをはじめとする様々なステップを多用した振りが堪能できる。間奏部分ラストのポージングなどはまさにマイケル・オマージュを感じさせるので、チェックしてみて欲しい。余談だが、間奏部分に入るシンセ・ブラスがマイケルの大ヒット曲「スリラー」のオープニングを思わせる音使いで、振付とともに懐かしくも新鮮な感慨を与えてくれる。

 Da-iCEのダンスといえばサビに歌詞を表現したキャッチーな動き(「もう一度だけ」の“1”を表す指使いや、「パラダイブ」での波をかき分けるような動きなど)を配しているのが印象的だが、初期楽曲では比較的フォーメーション・チェンジが少ないシンプルな構成のものが多かった。近年のアップテンポのナンバーはフォーメーション・チェンジやステップを多用し、より躍動感や奥行きを重視したものへと進化を遂げている。この「Into You」ではそこに歌詞のシチュエーションを想像させるセクシーな仕草や5人の動きのシンクロ感なども加わり、ぐっと曲の世界観を立体的に見せることに成功している。

 ダンス・パフォーマンスの面でもひと皮むけ、次のステップ=NEXT PHASEへと歩みを進めた5人の片鱗をのぞかせる「Into You」。6月からのツアーではアルバムの良質な楽曲たちをともなって、さらなる驚きを提供してくれるに違いない。

■古知屋ジュン
沖縄県出身。歌って踊るアーティストをリスペクトするライター/編集者。『ヘドバン』編集参加のほか、『月刊ローチケHMV』『エキサイトBit』などで音楽/舞台/アートなど幅広い分野について執筆中。

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