韻シスト BASI&TAKUが語る、結成からのブレない核「20年経っても根本的な気持ちは変わらない」

韻シストが語る、結成からのブレない核

 「次の20年は韻シストをジャンルとして確立させる」(BASI)

韻シスト「踊るtonight」MUSIC VIDEO(FULL VERSION)

 ーーそして今回のアルバム『IN-FINITY』は、20年目という節目のアルバムにも関わらず、「俺たちの20年は!」のような押し付けがましさがないのが、非常に韻シストらしいなって。

BASI:自分達でも“20周年記念”とは思ってないし、「韻シスト、8枚目のアルバム」っていう感覚だから、いつものアルバム制作とテンションは変わらない。大切なのは、内容も、演奏も、ラップも、ブラッシュアップしたいということだけで。

ーー韻シストの音楽は常に“オーディナリー”だと思うんですね。今回でいえば「時代」や、前作『Another Day』で言えば「are kore sore」のような、いまのビート感を込めた曲もあるけど、いまの流行をそのままなぞるのではなく、韻シスト流に消化していて。その意味でも、タイムレスな音楽であることは、今回も変わらない。でも一方で「時代」では、日本においてヒップホップバンドのパイオニアであることを、短いラインでレペゼンもする。その“ゆらぎ”も、本当に興味深い作品だと感じて。

BASI:今回は『IN-FINITY』に対する絶対的なビジョンが決まってたんですよね。例えて言えば、幕の内弁当と言うか。ここに肉じゃが欲しいな、やっぱり鮭も欲しいな、唐揚げと青物も乗せて……って。一個一個の料理をしっかり作って、それが纏まったものが『IN-FINITY』っていう絶対的なイメージがあったんですよ。

TAKU:だから「めっちゃ美味いポテサラ出来たんやけど、これが入ると纏まらへんか~」とかもあって(笑)。

ーー言葉で20周年は押し出してないけれども、20周年を感じるのはそういった部分ですよね。料理のバリエーションやその味付けは、これまでの蓄積から生まれてきたものだし、そういった韻シストのいろんな技が、このアルバムに込められてると思います。

TAKU:『IN-FINITY』というタイトルが先に決まっていて、“無限”という意味でも、サウンドも広げようと思ってたし、それが目的でもあって。いままではインスピレーションのままに、セッションや偶然性でサウンドを広げていったんですけど、今回はレゲエの感触のある曲、ロックを感じる曲、ギャグな曲、ヒップホップ好きやな~って思って貰える曲って……それこそ、鮭を作る、唐揚げを作るみたいに、目標に向かって作っていったんです。それは今まであまりやってこなかったことだし、以前は「そんな予定調和は芸術じゃないぜ!」「それがヒップホップだぜ!」みたいなことも思ってて(笑)。でも、バンドがハタチになった時に、「目標に向かってしっかり投げることをやってみたかったし、狙ったところに投げられるように、フォームを見直そかって。

ーーだから、曲ごとのカラーはビビッドで、トラックの空気感とリリックのイメージするものの密着度が高いと思いました。

BASI:それはこのアルバムの特徴だと思いますね。本当にホワイトボードにテーマと内容を書き出して、そこへの意識やサウンドの摺合せを何度も繰り返して。

TAKU:それで曲を選んで、「その曲はいらんな」「これはハマるな」って、企画会議みたいな感じで組み立てていって。

BASI:サッコンにリリックの相談をした時に、「ちょっと待ってな」って言うて、鞄の中からTAKUが作ったアルバムの制作内容を纏めたエクセルを出してきたんですよ。それで、「その曲はこういうテーマとサウンドやから、こう進めよう」ってやり取りをして。いつものサッコンは「分かった」って言うてもホントに分かってんのか怪しかったり、話してる最中に急にどっか行ったりするんですけど(笑)。

TAKU: This is ラッパー(笑)。

BASI:そんなサッコンがちゃんと資料を持ってた時に、「今回は今までとちゃうな……」って(笑)。それぐらい、楽曲ごとの方向性が明確でしたね。

ーー「踊るtonight」のBASIさんのリリックには、大意として“韻シストのライブでリラックスする”というテーマ性があります。一方で、BASIさんのソロ『LOVEBUM』収録の「Fallin’」では、音楽で人生が変わる女性が出てきますね。その意味では“自分たちの音楽で人を変えたい”という気持ちがあるのかな、と感じたんですか。

BASI:ん~。正直、こっちからどうしたいっていう願望はないんですよ。でも、韻シストのライブって、ライブ会場で知らぬ同士が仲良くなったり、繋がっていくのが見えるんですよね。だから僕らのライブを見て楽しんでくれる人のお陰で、そういうフレーズが生まれたり、インスピレーションになってるんだと思う。韻シストのパーティを見たら、なにかオモロイと思ったり、心が軽くなってくれたり、何かを持ち帰ってもらえるかなって。そういう気持ちが出ているんだと思いますね。

ーーなるほど。では、これからの20周年イヤーはどうなるでしょうか。

BASI:夏はフェスやイベントに呼んでいただいてるんで、それを楽しみつつ、10月から始まる『New Album「IN-FINITY」Release Tour 2018』の用意ができればと思います。ワンマンもあるし、ゲストとのツーマンライブだったり、「このアルバムをライブではどう表現するんやろう」っていう部分をリスナーに楽しんでもらいたいですね。

ーーでは、これからの韻シストの20年はどうなるのでしょうか。

BASI:これまでの20年は“ヒップホップバンド”って言う、日本にはほとんどなかったスタイルを認知させる20年だったと思うんです。だから、これからの20年は韻シストを一つのジャンルとして確立させて、その上でどんな音楽、どんなライブが表現できるのか、それを提示したいし、それを楽しみにして欲しい。

TAKU:バンドとしてハタチを迎えたので、大人という意味でも、次の世代に影響を与えられるような存在になりたい。例えば、新しい才能をプロデュースするような動きであったりとか、若い世代とのキャッチボールができたり、パワーがもらえるような動きも楽しそうですね。そういう風にもっと楽しめる20年になっていけたらいいなと思います。

(取材・文=高木 "JET" 晋一郎/写真=伊藤惇)

韻シスト『IN-FINITY』

■リリース情報
『IN-FINITY』
発売:8月1日(水)
価格:¥3,000 (税込)

<収録曲>
1. 時代
2. Don’t worry
3. 踊るtonight
4. GOOD FEEL
5. Bout a hipstory
6. You can do
7. とまらない
8. Old school-lovin’
9. ニコイチ
10. Fresh vibration
11. 景色

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■ライブ情報
『韻シスト New Album「IN-FINITY」Release Tour 2018』
10月5日(金)開場:18:30 / 開演:19:00
会場:KYOTO MUSE
10月12日(金)開場:18:30 / 開演:19:00
会場:福岡 DRUM Be-1
10月13日(土)開場:17:00 / 開演:18:00
会場:広島 CLUB QUATTRO
11月9日(金)開場:18:30 / 開演:19:00
会場:札幌 Sound Lab mole
11月10日(土)開場:18:30 / 開演:19:00
会場:旭川 CASINO DRIVE
11月18日(日)開場:17:30 / 開演:18:00
会場:沖縄 桜坂セントラル
11月23日(金・祝)開場:17:30 / 開演:18:00
会場:名古屋 伏見JAMMIN'
11月24日(土)開場:17:00 / 開演:18:00
会場:東京LIQUIDROOM
11月30日(金)開場:18:00 / 開演:19:00
会場:大阪 梅田CLUB QUATTRO

<前売りチケット>
価格:¥4,000
※東京&大阪のみ¥4,500
※ドリンク代別途必要

最速オフィシャル先行
受付期間:7月27日(金)19:00〜8月16日(木)21:00
受付先はこちら

■関連リンク
韻シスト オフィシャルサイト
韻シスト レーベルオフィシャルサイト

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