韻シスト BASI&TAKUが語る、結成からのブレない核「20年経っても根本的な気持ちは変わらない」

韻シストが語る、結成からのブレない核

グループの“分岐点”となった作品

ーー韻シストは2013年リリースの『Awamori four dayz magic...』以降、沖縄でRECをされていますね。

BASI:『Awamori four dayz magic...』は、『BIG FARM』をリリースする直前に、沖縄で泊まり込んで作ったんです。

TAKU:東日本大震災の直後でしたね。震災以前に決まってたイベントに出演するために沖縄に行ったんだけど、イベントが何個か中止になって。それで泊まってた場所が、宿泊もできる音楽スタジオだったんですよね。

BASI:僕らは直接の地震の被害はなかった沖縄にいたんだけど、ニュースでは震災の情報が飛び込んでくる。そして、この状況を音楽にするべきなのかとも思うけど、そんな状況ではないかもしれない……そういう色んな心境がぶつかり合って。しかも、その状況の中で、メンバーもぶつかり合ったんですよね。

TAKU:めっちゃ衝突したっすね。

BASI:めちゃめちゃ衝突した。サウンド面、方向性、この時代に何を歌えばいいか、韻シストは何をするべきなんか……そういう色んな部分で、メンバー同士で本当に衝突して。でもそれによって、5人の方向性や、見るべき方向が決まったし、すごく健全な、そして必要な衝突だったと思う。それで次の日に、やっぱり音楽をやらなあかん、いま音楽が必要じゃなくても、世の中が落ち着いて音楽が必要になった時に、この音楽が届けばいいって、リーダーのSHYOUが言って。それで出来たのが『Awamori four dayz magic...』だったんです。

TAKU:『BIG FARM』と『Awamori four dayz magic...』は分岐点だったと思うし、その後の方向性がここで決まったと思います。

ーーそして、韻シストのとしての動きに加えて、BASIさんはレーベル<BASIC MUSIC>を立ち上げて、2011年の『RAP AMAZING』を皮切りに、これまで5枚のソロアルバムをリリース。韻シストの楽器隊も韻シストBANDとして2012年に『Rest of my life』をリリースしSTUDIO 韻シスト THE ALBUM』といったコラボ盤や、嵐「To my homies」のプロデュースなど、動きが非常に幅広くなっていきますね。

BASI:それも「やるしかない」って気持ちでしたね。

ーーそういった動きも『BIG FARM』で生まれた変化以降だと思うんですが、同時に韻シストは「何も変わってない」とも感じるんですよね。変わらずに「韻シスト」のサウンドを形にしている。そして、それ以降もその動きを地道に続けていたことが、6月になんばHatchで行われた『20th ANNIVERSARY~NeighborFood SPECIAL3DAYS~』に繋がるというのが、すごく美しく思えて。

BASI:「これぐらい頑張ってるから、これぐらいの返りがあるといいな」ってこっちが思ってるバランス以上のものがあったと思いますね。

TAKU:お客さんはもちろん、ミュージシャンや関係者含めて、「みんな、こんな韻シストのことを思ってくれてんねや! こんなに興味持ってくれてたんや!」って。

BASI:分かるわ。こっちの頑張りに対して、返ってくる愛の割合が合ってなくて、戸惑ってしまう(笑)。

ーー愛され圧に負けそうになると。

TAKU:ほんまに。「そんなに思ってくれてんの? 重!!」って(笑)。

BASI:3日間毎日、1000人のお客さんが集まってくれてることとか、楽屋の前にある差し入れや花、出てくださるゲストの思いとかを考えると、もう足が地面からふわっと浮くぐらいの気分だったし、その気分を楽しんでましたね。「こんな最高なことはないよな」っていうありがたさを毎分毎秒を確かめながら、夢見心地でライブしてました。だから「やったった!」というより、音楽の神様ありがとう、ありがとうの最上級の言葉が欲しい、と感じてました。

ーーゲストの充実ぶりからも、韻シストの現在とプロップスの高さを感じますね。

BASI:トピックを挙げればキリがないんですけど、例えばCharaさんはご自身のツアーの真っ只中なのに、そのツアーのセットには入ってない、僕と作った「Intimacy」って曲を、このライブのために仕上げてくれて。本当に愛を感じました。

TAKU:KenKenは仲のいいアーティストであり、友達らしいアプローチをしてくれたし、フジファブリックだったら、僕らの曲をカバーしてくれたり。みんな僕らを祝うために、なにか楽しみを仕込んできてくれた。それから地元(大阪)でみるPUSHIMさんは……」

BASI:スーパーサイヤ人やったな(笑)。

TAKU:もうオーラがとにかくすごかったし、「大阪と私で韻シスト祝っとるやないか!」っていう圧で全部持っていって(笑)。

BASI:凄まじかった。

TAKU:大阪出身の祝い方を見せつけられた(笑)。自分史に残る3日間でしたね。

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