ましのみ、1stシングルで描いた“夏”の鮮明な情景「ただ浅いだけの恋愛を描いても退屈だと思った」

ましのみが描いた夏の鮮明な情景

曖昧よりも夏が想像できたほうがワクワクできる

ましのみ『どうせ夏ならバテてみない?』(初回限定盤)

ーー今回は特に、タイトルから歌詞の内容が想像できなくて。

ましのみ:あー、それは嬉しいです! 毎回そう感じてほしいなと思っているので。やっぱりタイトルってめちゃくちゃ大事なものだと思っていて、最初に目にするのがまずタイトルじゃないですか。そこで惹きつけられないとなって。「どうせ夏ならバテてみない?」は言葉としてはストレートなタイトルですよね。夏というワードも入っているし、夏にバテるというのもよくあることだし。ここまで踏み切るのは、私の中では勇気が必要だったんです。だけど全部面白おかしくするよりも、夏ならではのベタなところを残しつつ、私なりのできることを入れるところに面白みを感じていて。今回は特に捻るところは捻って、まっすぐなところはまっすぐにというのを意識したかもしれません。

ーーその歌詞も情景を思い浮かべやすいものばかりで、クスッとするところもドキッとするところもあり、単純に読んでいて面白いんですよ。

ましのみ:嬉しい。同世代の女の子に響くようにわかりやすい表現にしようとか、情景描写もちょっとベタベタなぐらいにわかりやすくしても面白いんじゃないかとか思うし、やっぱり曖昧よりも夏が想像できたほうがワクワクできるので、暑さとか匂いとか空気感はすごく意識しました。

ーー「どうせ夏ならバテてみない?」のMVも歌詞に沿って展開していくから、よりわかりやすいんですよね。

ましのみ:今回はMVも新しい監督にお願いしてたんですけど、もともとこの曲ありきでMVもジャケットも同じようなビジュアルにしたくて。砂浜に布団と豆電球がある絵が浮かんで、この違和感やシュール感をどうにか表現したいと思ったんですけど、最初はどうしていいかわからなかったんです。それで監督にチラッとそういうことを話したり曲のコンセプトを伝えたりしたら、持ってきてくださったのがこのMVのアイデア。プールの上に部屋が、畳と布団と電球が存在していて「実現するんだ!」って(笑)。しかも今までのMVの中でも一番歌詞が活きる内容になったので、めちゃくちゃ気に入っています。

ーー歌詞が絵を邪魔しないし、絵も歌詞を邪魔しないし。

ましのみ:歌詞を聴いてほしいなと思っているタイプなので、今回みたいに歌詞の活きるMVというのはありがたいですね。

ーーMVでは実際にプールにも飛び込んでいます。

ましのみ:しかも背面から(笑)。あれは相手役の役者さんも監督も、みんな大変でしたよ。まだ夏になる前に撮ったので、ブルブル震えながら撮ってました(笑)。あと、水の中で歌うのって難しいんですよ。

ーー水の中じゃ音も聴こえにくいですよね?

ましのみ:だからギリで聞こえる状態で歌うんですけど、目を開けてもよく見えないし、しかもどう映っているかもわからないし。「これが体を張るってことなんだ!」って実感しました(笑)。

【ましのみ】どうせ夏ならバテてみない?(ほぼFull.Ver)【MV】

ネガティブなことを考える子も引き上げてくれる曲にしたかった 

ーー「どうせ夏ならバテてみない?」のアッパー感は、続く「海水掛け合いっこ」にも引き継がれています。この曲も「海水を掛け合う」さまと「水掛け論」を掛け合わせた歌詞が本当に面白くて。

ましのみ:あははは(笑)。なんでそうしたのかはあんまり覚えてないんですけど、ストーリーが先だったのかな? 海で水を掛け合っている絵と、そういうキレイな絵の中で行われている「水掛け論はもういいよ」というリアルな恋愛劇を表せたらいいなと。そこに、言葉遊びとして楽しいと思ってもらえたらいいなという気持ちで作りました。

ーー歌詞は最初にストーリーをある程度固めてから、言葉をどんどん紡いでいくんでしょうか?

ましのみ:いや、最後がどうなるかわからない状態で書き始めて、書いているうちに「この人たち、こうなったんだ」っていうのが見えてくるんです。だから「どうせ夏ならバテてみない?」に関しては、書き進めていたら女の子がヒートアップしたんですよ。はじめからヒートアップする前提で書いていなくて、1番で「かまってよ」ぐらいだったのが、2番では「かまえよ! なんでかまわないんだよ!」みたいになって、最後は「でも結果ハッピーじゃない?」っていうエンディングになりました(笑)。「海水掛け合いっこ」も書き進めていったら、ちょっと許したんだなって感じになって。いつも歌詞に出てくる登場人物たちを「どうさせてあげようかな?」ってところで最後は迷うんですけど、今回に関しては夏でワクワクできる曲にしたかったから、マイナスには落とし込みたくなくて。ネガティブなことを考える子も引き上げてくれる曲にしたかったというのもあって、救いのあるエンディングになりました。

ーーじゃあ本当にそこは夏ありきだったと。

ましのみ:そうですね。夏ありきだし、私の考え方も若干聴いてくれる人寄りになっていますね。

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