乃木坂46 久保史緒里は実力で現状を打破してきたーー他者への“愛”溢れる活動を振り返る

 歌や演技で結果を残してきたが、それでも久保にとって最大の武器は愛だった。同期8人が出演した舞台『星の王女さま』を観劇すると涙が止まらなくなり、齋藤飛鳥と対談すると、飛鳥の首の動きや右足の動きの美しさを早口で語り出す。今年3月に放送されたインターネット特別番組『乃木坂46時間テレビ』では、「生田さんの鼻のシワ」や「衣装の濡れ方」といったマニアックな視点で乃木坂46のMVを解説した。もちろんファンに対する愛だって深い。

 その愛は自身にではなく、いつだって他者に向けられていた。アイドルの姿を借りた聖者といってもいい。久保は愛のキャパシティが大きいのだろう。すべての活動に愛を注いできた。

 6月30日、久保が21枚目シングルの活動と『真夏の全国ツアー2018』を休むことが発表された。今後も乃木坂46として活動するための決断だろう。ハイスピードで才能を開花させた久保だが、これから5年、10年と芸能の世界で輝くためにはペースを落とすことも必要だと思う。

 久保は「いま活躍されている先輩方にはそれぞれのストーリーがあるじゃないですか。どこかのタイミングで弾ける方もいるし、少しずつ積み上げていく方もいる。3期生だからといって誰かと同じ道を辿ろうとするのは違うのかもしれない。新しい形ができないかなと思ってるんです」と語っている(『EX大衆』17年10月号より)。彼女が歩む道がどんな形であろうと、見守り続けたい。

■大貫真之介(おおぬき しんのすけ)
フリーの編集・ライター。アイドルを中心に、サブカルチャー全般を多くの雑誌に寄稿。『EX大衆』、『月刊エンタメ』、『日経エンタテインメント!』、『OVERTURE』などで坂道シリーズの記事を執筆。

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