JUN SKY WALKER(S)が見せてくれた“未来へのビジョン” 30周年祝した中野サンプラザ公演

JUN SKY WALKER(S)が見せてくれた“未来へのビジョン” 30周年祝した中野サンプラザ公演

 今年でデビュー30周年を迎えたJUN SKY WALKER(S)が、5月19日に東京・中野サンプラザで、『MX ROCK 祭り JUN SKY WALKER(S)『ALL TIME BEST ~全部このままで~1988-2018』』を開催。ソールドアウトとなった集まったファン2200人と共に、30周年を祝った。

 1988年からのカウントアップが映し出され、2018年。30年前のジャケ写を再現したALL TIME BESTアルバムの写真が投影される。1曲目は、いきなり同作の1曲目に収録していた「全部このままで」だ。ダカダカダカッと鳴り響く轟音に続けて宮田和弥の歌声が響くと、会場に爆発するような大歓声が沸き起こった。サビでは、<全部このままで>とファンが大合唱。「いくぞ中野!」というかけ声に続けて演奏した「いつもここにいるよ」では、「オンギター、森純太!」の紹介で、純太がブンブン腕を振り回してギターをかき鳴らす。まるで当時の情景がフラッシュバックしたように、何一つ30年前と変わらないように見える、あの日の4人がここにいた。

「今日はたくさん曲をやるから、途中で座ってもいいぜ。昔なら許さなかったけど、俺たちもけっこういい歳なんで、俺も疲れたら座って歌うかもしれないし(笑)」と、30年という年月をちょっとネタにしながら、一緒に歳を重ねてきたファンを気づかう様子を見せた和弥。6曲目には「2012年に再結成した時に作った、俺たちとお前たちの未来への歌です」と、「NO FUTURE」を披露。骨太のサウンドが響き、ビジョンには<それなりに出世もしたし それなりに金も入った でもこんなに虚しいのは何故だ>と、歌詞が映し出される。

 大人だって辛いときもあれば、泣きたいときもある。でも子どもたちの前では、そんな顔は見せられない。世の中には、若者の気持ちに寄り添った曲はたくさんあるけど、じゃあ、大人は何に救いを求めたらいいの? ジュンスカの「NO FUTURE」は、その問いかけの答えのようだ。隣の中年男性が、目を潤ませながら<My friend 未来を創ろうぜ>と一緒に口ずさんでいる。

 ライブでは、貴重な映像も披露された。1988年11月26日に初めて渋谷公会堂でライブを行った翌日の、ゲリラライブの時の様子だ。ツンツンに髪を立てた和弥、赤と黒のボーダーのニットを着た純太、まだあどけない表情のベース・寺岡呼人、一緒に歌いながら楽しそうにドラムを叩く小林雅之が、ものすごい数のファンにもみくちゃにされながら演奏をしている。その映像を観て、4人は懐かしそうに当時を語り合った。

「この30年、俺たちもみんなもいろいろあったよな。でも、もがいた後には、新しい気持ちが芽生えるもの。ジュンスカも一回解散して再結成して、20周年を迎えたときにできた、もがいたからこそできたこの曲を聴いてください」と、11曲目には、2008年の20周年にリリースしたシングル曲「青春」を披露した。<シャララ…シャララ…>と、会場が一体になった合唱が響くと、軽快なドラムとノイジーなギターが割り込んでくるように場面を展開する。デビュー当時のがむしゃらだった自分たちを“若かった”と揶揄しながら、でもその頃があったから“今”がある、<俺たちの青春は始まったばかり>だと歌う和弥。いい大人が青春なんて、ちゃんちゃらおかしいけれど、でも胸にある熱いものは青春ではないのか? そんな大人の気持ちを無言で代弁するかのように、<シャララ…シャララ…>と声が響き続けた。

 この日は30周年ということもあり、各メンバーがフィーチャーされたコーナーもあった。小林は、自転車でメンバーがかつて住んでいたアパートを巡る動画を披露し、懐かしい思い出を語った。呼人は「エルマーの夢」を演奏する時に、「時間を止めて夢を観る少年のままでいたいと思っても、現実にはそうはできない。この曲の3分間だけは、時間を止めてあの日の自分に会いにいきたい」と語り、どこか少年っぽさのある歌声を聴かせた。また純太は、「学生時代にこの中野サンプラザで、Iron Maiden、UFO、Thin Lizzy、エルビス・コステロなどを観た。ロックンロールの先人たちから影響を受けてバンドを始めて、30年経って今ここに立てています」と、「変身」を歌う。和弥のハーモニカと共に、どこかブルージーな歌声で観客を惹きつけた。

 後半は、まるでヒットメドレー。90年に発表したジュンスカの代名詞「Let’s Go Hibari-hills」の、ファンファーレのようなイントロが響き渡ると、ファンは一斉にジュンスカのロゴの入ったタオルを高々と掲げ、<ワンツー>のかけ声で大歓声が沸き起こった。また、「ジュンスカにはバラードという武器もある」と、名バラード「白いクリスマス」も披露。この時は、ファンがスマホのライトを照らし、会場にはまるで雪が降るように無数の光が輝き、ロマンチックな情景が浮かび上がった。さらに本編の最後には「30年前の曲だけど、リアレンジして今もっとも新しい曲です」と、1987年のインディーズデビュー作『J(S)W』のラストに収録の「言葉につまる」を演奏して、古くからのファンを歓喜させた。

「一回解散して、同じメンバーで集まって30周年を迎えられたのは、本当に嬉しいこと。50周年の時はもう死んでるかもしれないけど(笑)、このメンバーのままずっと転がり続けたい!」

 そう話してアンコールの2曲目に歌ったのは、最新作『ALL TIME BEST〜全部このままで〜1988-2018』に収録の「One-Way」だ。「この曲の主人公は、あなたです。いろんなことがあったから見える景色がある。自分への賛歌として、一緒に歌ってください」と、和弥。まるでデビュー当時のような、シンプルだが凛とした力強いサウンド。泣きのギターソロ、切ないメロディ。30年という時をすべて包み込むような歌が、聴く者の心を撃ち抜いた。

 デビュー当時を知る40代〜50代は、きっと懐かしさを感じつつ、彼らと共に歩むこれからを夢みたに違いない。今改めてジュンスカを知る若い世代にとっては、無邪気なほどの真っ直ぐさと潔いシンプルさに、きっと「こんなバンドがあったのか!」と新鮮な驚きを感じたはずだ。ジュンスカは、まるでタイムマシンだ。30年前の懐かしいあのころに帰りながら、まだまだ決して終わらない未来へのビジョンをいつも見せつけてくれる。

(文=榑林史章/写真=平野タカシ)

JUN SKY WALKER(S)30周年スペシャルサイト

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