CHAI、赤い公園、SHISHAMO……ガールズバンドが放つ“視覚的インパクト”

 「サカナクション(の衣装)をやるときに気にすることは、一人ひとりのバランスが整っていて、5人揃ったときにも整っていて欲しい。5人集まったら“サカナクション”って感じがするようにね」(引用:ミュージシャンと衣装(w/スタイリスト:北澤"momo"寿志)/未来の鍵を握る学校 SCHOOL OF LOCK! サカナLOCKS!)。これは、2013年4月18日に放送されたラジオ『未来の鍵を握る学校 SCHOOL OF LOCK!』(TOKYO FM)内のコーナー「サカナLOCKS!」にて、スタイリストの北澤”momo”寿志が口にしていた言葉である。この日は、サカナクションの山口一郎とサカナクションのスタイリストであり、MVのクリエイティブディレクターなども務めている北澤”momo”寿志が、“ミュージシャンと衣装”をテーマにトークを展開していた。

CHAI『わがまマニア』

 また2013年4月25日に放送された同コーナーで、北澤”momo”寿志は「ミュージシャンの衣装をやるときには、ミュージシャンは“商品”だと思うので、表に出て行ったときにどの商品と被るかとか、被らないかとか、そういう事ばっかり考えちゃいます」(引用:ミュージシャンと衣装(引用:w/スタイリスト:北澤"momo"寿志)/未来の鍵を握る学校 SCHOOL OF LOCK! サカナLOCKS!)ともコメント。

 人間は、五感による知覚の割合として、80パーセント以上は視覚情報から得ていると言われている。つまり、ミュージシャンは音だけでなく、ビジュアル面もまた“らしさ”を出す上でとても重要になってくるのだ。そこで今回、音楽面だけでなく衣装でも強烈なインパクトを発しているガールズバンドに注目してみたい。

CHAI

 衣装の印象の強さと言ったら、やはりCHAIだろう。最初に彼女たちを見たときには、衝撃を受けた。彼女たちが発信する音楽も衣装も、今までに出会ったことがない新しいものだったからだ。

 まず彼女たちがステージに登場した瞬間に、真っ先に目がいくのが、全身ピンク(ときどき赤)の衣装である。もちろん彼女らの演奏技術やMCパフォーマンスを含め、サウンド面での個性の強さと圧倒的なセンス感は言うまでもない。しかし、彼女たちが提唱する「NEOかわいい」や「ニュー・エキサイト・オンナバンド」という世界観をより色濃く印象づけるのが、“衣装”ではないだろうか。メンバー4人全員が同じド派手の衣装に身を包み、彼女らにしか生み出せないサウンドを奏でる。視覚からも聴覚からも“個性”が溢れ出てくるのだから、インパクトは2倍……いや何十倍にもなり一度観た者の脳裏にこびりついて離れない。まさに「4人集まったら“CHAI”って感じがする」衣装だ。

赤い公園

 “赤い”公園なのに“真っ白”。これは、彼女たちの姿をはじめて見たときに思ったことだ。なぜ、赤い公園なのに白なのか? と気になって仕方なかった。そして、純白の衣装を纏う彼女たちが、エッジの効きまくったサウンドをアグレッシブに爆音で奏でるのだから、そのギャップに一瞬で心を奪われてしまう。観る者に“バンド名+衣装+音楽=赤と白、そして黒”という強烈な印象を植え付ける。だからこそ、赤い公園というバンドを一発で記憶した。

 なお現在は、白の衣装ではない。なぜ衣装を変えたのかについて、以前インタビューでギターの津野米咲が「赤い公園を7年やってきて、20代半ばにさしかかって、自分たちで自分たちを守るとか、そういうことをもうやめてもいい頃かな? と思いましたね。もう何を着たって大丈夫。(これまでは)白で守ってたんだと思う」(引用:「女子から女へ」「白じゃなくなって良かったこと」――赤い公園、キラーフレーズ連発の奔放トーク)と明かしている。彼女たちにとって白い衣装は、バンドの大切な要素の一つだった。しかし、“赤い公園=白”というイメージを手放しても大丈夫なほど、彼女たちは7年間で音楽界で欠かせない存在へと成長したのだ。

 白というイメージからの脱却に加え、新ボーカリストとして元アイドルネッサンス石野理子が加入した今。赤い公園は私たちにどんな色を見せてくれるのだろうか。

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