ONE N' ONLY「I'M SWAG」MVがアジアで話題 新たなファンを獲得した理由を考察

ONE N' ONLYのMVがアジアで話題の理由

 ONE N' ONLY(ワン・アンド・オンリー)が歌う「I'M SWAG」が東南アジアを中心に大きな注目を集めている。まだリリースの予定も発表されていないこの曲。だが、5月7日YouTubeにMVがアップされるやいなや、すさまじい勢いで視聴回数が伸び続け、コメントも絶え間なく書き込まれている。コメント欄にはフィリピン、インドネシア、マレーシアなど海外からの書き込みも見受けられ、「Been waiting for this ever since the trailers/teasers!!」と、アジアを中心に国外にもファンを広げているようだ。また「Guys won a new fan from Argentina」と、この動画をきっかけに新たに彼らのファンを獲得している。

ONE N’ ONLY /「I'M SWAG」Music Video(EBiSSH × SBC)

 MVは、数秒の沈黙とモニターのノイズ画像から始まる。そして画面いっぱいにクローズアップされたまぶたがカッと見開かれた瞬間に、強烈なビートとエネルギーのうねりが画面を通じて流れこんでくる仕掛けだ。3人のボーカルは個性豊かでバランスがよく、ダンスはラフでダイナミックなのに、指先まで神経を行き渡らせた繊細さも感じさせる。まだあどけない少年のようにも、洗練された色気を漂わせる大人の男性のようにも見える7人の表情……彼らは一体何者なのか。

 ONE N' ONLYとは、2組のダンス&ボーカルユニットによる新たなプロジェクト。スターダストプロモーション所属のアーティスト集団“EBiDAN”(恵比寿学園男子部)から生まれた“EBiSSH”(エビッシュ)は、TETTA、REI、NAOYA、KOHKIからなる4人組。デビューシングル『恋はタイミング』がオリコン週間インディーズシングルランキング1位、オリコン週間シングルランキング3位を獲得。続く、2ndシングル『マイ・フレンド / キミでいっぱい』もオリコンデイリーシングルランキング3位と着実に実績を伸ばしている。そして、もう1組のユニットは、永玖、謙信、颯斗による“さとり少年団”(SBC)。2015年に結成し、2年間のストリートライブで経験を積み『ヘルプ ユー』でCDデビューを果たした。5月9日に2ndシングル『WE/GO』をリリースしたばかりで、オリコン週間シングルランキングでは9位を記録した。そんな2組が今年のGWに大阪・東京で2マンライブを開催し、「I'M SWAG」を披露したのだ。

 作詞作曲は韓国出身のJUNE。力強くシンクロ率の高いダンス、思わず身体を揺らしたくなるアンセム感のあるサウンド、ダンスが映えるボリュームのあるトップスに足の細かな動きがわかるタイトなボトムス……など、この曲にも近年アジアを席巻させたPOPミュージックらしい魅力が散りばめられている。

 一方で、7人のパフォーマンスには、“日本の美”のようなものがにじみ出ている。例えば濃いめのメイクは歌舞伎の女形のような妖艶さを引き出し、感情を表すダンスは伝統芸能の舞いのようになまめかしい。もともと抑揚のつけにくい言語と言われている日本語のラップだが、まっすぐな彼らが歌うと何語でもない“心地よい音”として聞こえる瞬間がある。特に、TETTAの歌うBメロはそのなめらかな発音が絹の生地ように耳ざわりがいい。そこに続くEIKUの透明感溢れるハスキーボイスが、絹地に織り込まれた刺繍のように奥行きのある表情を持たせ、REIのよく通る声が金糸のようにメリハリをつけていく……。

 「I'M SWAG」のMVが海外ファンから反応がいいのも、もしかしたら日本人がごく当たり前として見ている美しさに新鮮さを見出しているからかもしれない。日本はこれまでも“カワイイ”や“ジャパニーズクール”など海外からの高評価を得て、改めて日本カルチャーが持つ魅力を再認識してきている。同じように今度は、日本のダンス&ボーカルユニットの新しい可能性が開拓されていくかもしれない。ONE N' ONLYは、日本を代表する“ジャパニーズSWAG”の体現者となれるか。今後の活動に期待が高まる。

(文=佐藤結衣)

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