チャーリー・プースは新世代のポップスターに ブレイクまでのキャリアと才能を追う

チャーリー・プースは新世代のポップスターに ブレイクまでのキャリアと才能を追う

 世界中の音楽メディアで“新世代ポップスターはこの人に決まり!”と評されているシンガーソングライター、チャーリー・プース。ブレイクのきっかけは、全米で大ヒットを記録した映画『ワイルド・スピード SKY MISSION(原題:Furious7)』のエンディングシーンで使用されているナンバー「See You Again」でフィーチャーされたこと。YouTubeでのMV視聴数はなんと35億回超え。美しく、ダイナミックな歌声は、瞬く間にして全世界の音楽ファンを魅了したのだ。リリースされたばかりの2ndアルバム『Voicenotes』も世界各国のiTunesで軒並み1位を独占、ここ日本のiTunes総合チャートでも1位を獲得した。ニューヨーク・タイムズ紙の「ベスト・ソング・オブ・2017」に選出された「How Long」、新世代R&Bクイーン、ケラーニをフィーチャーした「Done For Me(feat. Kehlani)」などのヒットチューンを含む本作『Voicenotes』が2018年のポップシーンを代表する1枚になることはまちがいない。それは同時に、ポップマエストロ的なセンスとセクシーなボーカルを併せ持つチャーリーが世界的なポップスターの座を手に入れることを意味している。

 1991年、アメリカ/ニュー・ジャージーで生まれたチャーリー・プースが最初に注目されたのは、バークリー音楽院に在学中、人気ブロガーのペレス・ヒルトンが主催したカバー曲コンテストに参加するため、アデルの「Someone Like You」のカバーをYouTubeにアップしたこと。それが人気TV司会者のエレン・デジェネレスの目に止まり、彼女の番組に出演したことで一気に知名度を上げた彼は、〈アトランティック・レコード〉と契約を結び、2015年にシングル『Marvin Gaye』でメジャーデビュー。マーヴィン・ゲイの名曲のフレーズを取り入れたこの曲は、70〜80年代のソウルミュージック、ブラックミュージックなどをルーツに持つ彼の音楽性をわかりやすく示すと同時に、その優れたソングライティングセンス、ボーカリストとしての魅力を示すことにつながった。

 2016年1月に1stアルバム『Nine Track Mind』を発表。DJフランク Eことジャスティン・フランクスと共作によるクラシカルなバラードナンバー「One Call Away」、セレーナ・ゴメスをフィーチャーしたヒットシングル「We Don’t Talk Anymore」を含む本作は、Billboardの「トップ・カレント・アルバム」チャートで5位を獲得。ここ日本でも音楽ファンの間で話題を集めロングヒットを記録するなど、確実な成果を残した。

 そして、約2年間のインターバルを経て届けられた本作『Voicenotes』は、彼自身のルーツや音楽的志向をさらに色濃く反映させた作品に仕上がっている。浮気を問いただす恋人に謝り、華麗なステップを披露するMVも話題を集めた「How Long」、スムーズなグルーヴが心地よいファンクチューン「Attention」のポップ路線も健在だが、驚くべきは“え、その人たちと組む??”という驚きを禁じ得ないコラボ曲。「If You Leave Me Now」ではBoyz Ⅱ Menをフィーチャー。美しく、重厚なハーモニーを中心にしたこのアカペラナンバーでチャーリーは、滑らかにして豊かな歌声を響かせている。全盛期のBoyz Ⅱ Menを想起させるメロディからも、彼らに対するチャーリーのリスペクトが伝わってくる。

 さらに「Change」では、1968年にデビューした『歴史上最も偉大な100人のシンガー』に選ばれるアメリカの代表的なシンガーソングライター、ジェイムス・テイラーとのコラボが実現。オーガニックなサウンドメイク、ギターと歌を軸にした楽曲は、ポップミュージックがもっとも豊かだった時代への憧憬を感じさせる。20世紀中盤からアメリカで培われてきた音楽をしっかりと血肉化し、現代的なポップソングに結びつけるスタンスは、たとえばブルーノ・マーズの姿とも重なる。やみくもに新しさを求めるのではなく“ポップミュージックのメソッドは80年代までで出尽くした”という事実を認め、温故知新的なスタイルを軸にしながら大衆が求める楽曲を提示する。それこそが現在のアーティストに必要な考え方なのだと、チャーリー・プースは熟知しているのだと思う。ちなみにケラーニをフィーチャーした最新シングル「Done For Me(feat. Kehlani)」はジョージ・マイケルの影響が驚くほどに濃厚。ジョージ・マイケルもまた、ルーツ音楽をアップデートさせる天才だった。

 ルックスの良さ、ソングライティングとサウンドメイクの正確さ、そして、音楽に対する溢れんばかりの愛情がひとつになった『Voicenotes』。このアルバムを聴けば、チャーリー・プースがこれほどまでに評価を得ている理由がわかるはずだ。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

■リリース情報
『Voicenotes』
発売:2018年5月11日(金)
価格:¥2,200(税抜)
M-1
 The Way I Am / ザ・ウェイ・アイ・アム
M-2
 Attention / アテンション
M-3
 LA Girls / LA・ガールズ
M-4
 How Long / ハウ・ロング
M-5
 Done For Me(feat.Kehlani) / ダン・フォー・ミー(feat. ケラーニ)
M-6
 Patient / ペイシェント
M-7
 If You Leave Me Now(feat. Boyz II Men) / イフ・ユー・リーヴ・ミー・ナウ(feat.ボーイズⅡメン)
M-8
 Boy / ボーイ
M-9
 Slow It Down / スロウ・イット・ダウン
M-10
 Change(feat. James Taylor) / チェンジ(feat. ジェイムス・テイラー)
M-11
 Somebody Told Me / サムバディ・トールド・ミー
M-12
 Empty Cups / エンプティ・カップス
M-13
 Through It All / スルー・イット・オール

・配信情報
iTunes
レコチョク

オフィシャルサイト

コラムPick Up!

もっとみる

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

映画部Pick Up!