米津玄師『Lemon』、なぜロングヒット? 初のDLミリオン突破&歴代最高DL含む快挙から紐解く

米津玄師『Lemon』なぜDLで快挙?

 米津玄師の『Lemon』が、オリコン週間デジタルランキング(単曲)で同ランキング史上初となる累積100万DLを突破し、日本レコード協会より「“史上最速”100万DL達成作品」として認定を受けた(シングルトラック・2018年4月30日付)。

 米津がドラマ主題歌として書き下ろした楽曲「Lemon」は、2月12日より先行配信がスタートし、配信初週でiTunes・レコチョクなど各配信サイトにおいてデイリーランキング1位の21冠を獲得したかと思えば、その勢いのままウィークリーランキング1位獲得で13冠、オリコン週間デジタルランキング(単曲)では初週売上23.6万DLで初の初週20万DL越えを記録。その後同ランキングの11週連続1位を達成し、連続1位獲得週数、累積DL売上数の歴代記録を更新。その勢いは留まることを知らず、5月14日付の最新ランキングでは累計1,005,253DLと史上初の100万DL超え作品となり、上述の記録に認定された。

 同楽曲が達成した記録は、現在のところ以下の通りだ。

<『Lemon』の週間デジタルシングル(単曲)ランキングで達成した主な歴代記録>
※「週間デジタルシングル(単曲)ランキング」は今年度の集計開始となる2017年12月25日付よりスタート
1.最高初週売上:23.6万DL(初登場の2月26日付で達成)
2.最高累積売上:23.6万DL(初登場の2月26日付で達成)※今週5月21日付現在、累積103.3万DLとし記録更新中
3.初の2週連続週間10万DL超え(3月5日付で達成)
4.初の3週連続週間10万DL超え(3月12日付で達成)
5.最高連続1位獲得週数:4週連続(2月26日付〜3月19日付で達成)※以降、4月30日付まで10週連続に更新
6.最高通算1位獲得週数:通算4週(3月19日付で達成)※今週5月21日付現在、通算11週とし記録更新中
7.初のミリオン達成:5月14日付で100.5万DLを記録

 今週の週間売上は2.7万DL(27,285DL)で、累積売上を103.3万DL(1,032,538DL)とし、これで発表開始から22週目となった同ランキングの「歴代最高累積DL売上記録」をさらに更新している。2018年最大のヒットソングとして、名実ともに圧倒的なパワーを見せつけている「Lemon」だが、なぜこの楽曲はここまでヒットしたのだろうか。

 その要因については、筆者も3月の時点でも取り上げているが(参考: 米津玄師、ドラマ『アンナチュラル』主題歌「Lemon」なぜ大反響? )、やはりドラマ『アンナチュラル』(TBS系)との相乗効果が一番に挙げられる。第11回コンフィデンスアワード・ドラマ賞において、作品賞、主演女優賞、助演男優賞、脚本賞の4部門を受賞した同作は、ドラマとしての完成度もさることながら、作品内においても「Lemon」が大々的にフィーチャーされており、第4話、5話ではクライマックスを迎える印象的なシーンで流れ、視聴者にも大きなインパクトを残すなど、演出に欠かせない大事なピースとして機能していたからだ。

 上述の記事を書いている時点では、そんな風に思っていたのだが、どうやらそれだけではないらしい。

 シングル発売後、4月2日付のオリコン週間カラオケランキング(集計期間:3月19日~25日)で初の1位を獲得し、男性ソロアーティストとしては星野源「恋」以来の記録を更新すると、そこから9週間連続で1位を獲得。老若男女が利用するカラオケボックスで、ここまでの数字を残したというのは興味深い。これまで米津は若年層に人気のアーティストではあったが、その知名度がさらに上の世代にまで浸透していることが、如実に反映されている。春は歓送迎会も多い季節柄、カラオケの利用者も必然的に多くなる。入社や転属などでまだ初々しい関係性を深めるため、様々な世代を横断する“最近のみんなが知っている曲”が歌われる機会も増えるが、その項目に当てはまるのが「恋」であり「Lemon」ということなのかもしれない。

 また、盛り上がる場・楽しめる場として機能しているカラオケボックスにおいて、「Lemon」のようなバラードがトップを走り続けるというのも異例だ。この楽曲には、そこまでして歌いたくなる気持ち良さと、世代を繋ぐ普遍的な魅力があるということだろう。

 そんな「Lemon」は、“聴かれる”ことや“歌われる”ことに加え、“見られる”ことにおいても圧倒的なパワーを持っている。アメリカをはじめ世界44カ国で公開されていた、YouTube上での人気音楽をランキング形式にまとめた「YouTubeチャート」の提供が5月14日、日本でもスタートした。同チャートは、いずれも再生数をもとに順位が測定されており、楽曲ランキングをはじめとした複数の音楽チャートを1箇所で見ることができる。

 このチャートにおいて、米津は公開直後から現在にいたるまで、「アーティスト」「ミュージックビデオ」「楽曲」の主要3項目を独占。1位となった「Lemon」だけでなく、「打上花火」「灰色と青 (+菅田将暉 )」「ピースサイン」と、トップ10以内に4曲も関連楽曲が含まれている。音楽チャートも冒頭のDLランキングやYouTubeチャート、Billboard JAPANのCHART insightなど、近年はCDランキング以外にも多岐に渡る指標が設けられるようになったが、米津はこのいずれにおいてもトップを獲得しているということからも、彼のアーティストパワーが日本国内において唯一無二のものとなってきていることがわかる。

 今後もますます、世代を超えてあらゆる層に米津の楽曲が届くことになりそうだ。

(文=中村拓海/アーティスト写真撮影=Jiro Konami)

■リリース情報
『Lemon』
発売中
価格:レモン盤(初回限定):CD+レターセット ¥2,000+税
映像盤(初回限定):CD+DVD ¥1,900+税
通常盤:CD only ¥1,200+税

<配信>
【iTunes】
【レコチョク】
【mora】

<収録内容>
・CD(全形態共通)
1.Lemon
2.クランベリーとパンケーキ
3.Paper Flower

・DVD(「映像盤(初回限定)」のみに収録)
[LIVE I 米津玄師 2018 LIVE / Fogbound 2018.01.10 日本武道館]
砂の惑星 / 春雷 / LOSER / ゴーゴー幽霊船 / 爱丽丝 / ピースサイン / 打上花火 /灰色と青(+菅田将暉)
[Music Video]
春雷 / 灰色と青(+菅田将暉)

『BOOTLEG』
発売中
価格:ブート盤(初回限定):CD+12inchアナログ盤ジャケット+アートイラスト+ポスター+ダミーレコード ¥4,500+税 
映像盤(初回限定): CD+DVD ¥3,700+税
初回仕様限定/通常盤:CD only ¥3,000+税

<配信>
【iTunes】
【レコチョク】
【mora】

<収録曲>
・CD(全形態共通)
01. 飛燕
02. LOSER
03. ピースサイン
04. 砂の惑星 ( + 初音ミク )
05. orion
06. かいじゅうのマーチ
07. Moonlight
08. 春雷
09. fogbound ( + 池田エライザ)
10. ナンバーナイン
11. 爱丽丝
12. Nighthawks
13. 打上花火
14. 灰色と青 ( + 菅田将暉)

・DVD(「映像盤 / 初回限定」のみに収録)
1. LOSER Music Video
2. orion Music Video
3. ピースサイン Music Video
4. ゆめくいしょうじょ Music Video

■ライブ情報
『米津玄師 2018 LIVE』
会場:千葉県 幕張メッセ 国際展示場ホール1~3
日程:2018年10月27日(土) OPEN 16:30 / START 18:00
2018年10月28日(日) OPEN 15:30 / START 17:00
(ライブの正式タイトルは未決定)

■関連リンク
オフィシャルHP

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