スキマスイッチ×新海誠、水曜日のカンパネラ×ぬQ……クリエイターの作家性が光るアニメMV4選
高橋優「プライド」×中谷奈緒子
アニメーションを担当した中谷奈緒子は、この春に大学院を卒業したばかりの若手監督。同MVには、物質の質感を切り取った実写映像と手描きのアニメーションを融合させた“ネフェクト・アニメーション”という手法が使われている。アニメーションと実写の融合は、シシヤマザキのロトスコープアニメーション(人物の動きをアニメにトレースする手法)にも言えることだが、“ネフェクト・アニメーション”の場合は人物のシルエットや線にアニメーションをデザインしていくような試みが新鮮だ。ビジュアルのインパクトはもちろん、サウンドの疾走感、歌い手やダンサーの感情がよりダイレクトに表現されている。
楽曲の魅力を引き出すのがMVの役割と言えるが、一方でアーティストとアニメーター、双方の実験の場として機能する側面もあるだろう。ファンタジスタ歌磨呂が制作した「Transfer」や、Porter Robinson & Madeonとアニメ制作会社のA-1 Picturesがタッグを組んだ「SHELTER」など、世界的に高い評価を受けるアニメMVも生まれているように、今後もアーティスト×アニメのコラボには熱い視線が注がれていきそうだ。
(文=泉夏音)