『花のち晴れ』に受け継がれた『花男』の伝統 オープニング映像がドラマと主題歌ヒットの鍵に?
TBS系火曜ドラマ『花のち晴れ~花男 Next Season~』(花晴れ)が好評だ。同作は2005年放送『花より男子』、2007年放送『花より男子2(リターンズ)』(花男)に続き、神尾葉子原作漫画をドラマ化したもの。ドラマ単体としても根強い人気を誇る『花男』シリーズの新章が新たにスタートするとあって、放送前から大きな話題を呼んでいた。
現在第2話までが放送されているが、『花男』をリスペクトする様々な仕掛けが心憎い。原作同様、物語の中心舞台が英徳学園であることはもちろん、F4・道明寺司(嵐・松本潤)に強い憧れを抱くC5・神楽木晴(King & Prince・平野紫耀)の自宅での“ホログラム道明寺”の出現や、道明寺と牧野つくし(井上真央)の思い出の場所、恵比寿ガーデンプレイスでヒロイン・江戸川音(杉咲花)と神楽木が待ち合わせ、さらには道明寺邸まで登場。『花男』放送から10年以上経過した今、登場キャラクターも一新された全く別のストーリーが展開されているということを一瞬忘れてしまうような、『花男』の世界観とのシームレスなつながりが作られている。
本編以外にも、そのようなシームレスな感覚を生み出しているのが、ドラマがスタートするとほどなくして流れたオープニング映像と主題歌だ。近年のテレビ番組では、視聴率を確保する対策として、あえてオープニングを設けない番組づくりが増加傾向にあるといわれる(参考:オープニング曲がない番組、なぜ増加?)。しかし、これまでの『花男』シリーズではオープニング映像と主題歌が一つの名物として存在してきたため、近年では珍しくなりつつあるその2つのセットが『花晴れ』においても欠かせなかったのだろう。いわば、『花男』シリーズにおける伝統の一つだ。
今回の『花晴れ』のオープニングは、主要登場人物が直筆で書いた名前と役柄とともに映し出され、カラフルな色彩とそれぞれの笑顔が学園モノ特有の胸キュン感を演出している。まさに『花男』シリーズに相応しいポップな映像だ。主題歌は、C5リーダー・神楽木演じる平野が所属するKing & Princeのデビュー曲「シンデレラガール」。視聴者に強いインパクトを残すサビ始まり、しかも平野のソロからの歌い出しという徹底ぶり。また、やや高めで華やかさのあるユニゾンの歌声が特徴的だ。映像同様、『花男』シリーズ主題歌に相応しい、ポップで甘いラブソングである。『花男』シリーズにおいて、オープニングとそれを飾る主題歌は“ドラマの顔”としての役割を果たし、本編への期待感と作品への愛着を高めてきた。『花晴れ』でも今後放送回を増すごとにその効果が発揮されていくはずだ。
さらに主題歌に注目すると、『花より男子』では「WISH」、『花より男子2(リターンズ)』では「Love so sweet」と、F4リーダー・道明寺演じる松本が所属する嵐がそれぞれ主題歌を担当し、いずれもヒットを記録してきた。それぞれ誰もがすぐに口ずさめるようなメロディ、多くの人に受け入れられる間口の広いラブソングであったことも関係しているだろう。しかし、ドラマを象徴する映像とともに楽曲が比較的長く流れることで、『花男』=嵐の主題歌を強く印象づけてきたのは間違いない。
『花晴れ』のここまでの放送では、終盤にもう一度主題歌が流れるタイミングがあった。その点も踏まえると、「シンデレラガール」は過去の『花男』シリーズ主題歌以上に早い段階で、『花晴れ』=King & Princeの主題歌として視聴者に根づいていく可能性を十分に秘めている。F4からC5へと続く英徳学園の伝統があるように、『花男』シリーズ主題歌ヒットの伝統も嵐からKing & Princeへと続いていくのか。物語の続きとともに気になる点である。
(文=竹上尋子)