欅坂46による、セルフイメージのポジティブな“破壊” デビュー2周年ライブを見て

欅坂46による、ポジティブな“破壊”

 また、昨夏の全国ツアー『欅坂46 全国ツアー2017「真っ白なものは汚したくなる」』でもハイライトのひとつになった“マルチセンターシステム”の「東京タワーはどこから見える?」は、ビジョンにその瞬間センターを務めるメンバーが映し出されるなど、より受け手にもわかりやすい演出が追加されていた。以前、振り付けを務めるTAKAHIRO氏へのインタビューをした際に彼が語っていたことは、そのままこの日のライブに当てはまる。

「欅坂46はたぶん平手友梨奈さんが一番目立って見えているだろうけど、実は一人ひとりがすごく大事なポジションを担ってるんですよ。あれは欅坂46全員、今の体制でいうと21人、みんながみんな主の東京タワーだっていうことなんですよ。「東京タワーはどこから見える?」=メンバーそれぞれが、お客さんにとって一番見えるところにいるべき曲だなと思いました」(参照:振付師・ダンサーTAKAHIROが語る、欅坂46の表現が進化し続ける理由「言うならば、振付は器」

 本編ラストの「不協和音」におけるセンター・菅井の絶叫には驚かされたが、そんな余韻を鮮やかに振り払ったのは、小池美波がセンターを、ソロダンスを原田葵が務めたアンコール1曲目の「二人セゾン」。リリース時、同曲で初めて表題曲のフロントメンバーに抜擢された2人の輝く姿には、純粋に胸を打たれるものがあった。さらに、鈴本美愉がセンターに立った「サイレントマジョリティー」は、彼女の持つダンススキルの高さも相まって、よりキレが増していたように思える。

 先述した昨夏の全国ツアー『欅坂46 全国ツアー2017「真っ白なものは汚したくなる」』は、アンコールの「不協和音」で観客の度肝を抜いたことも記憶に新しいが、この日は「太陽は見上げる人を選ばない」で祝祭感を持ったまま締めくくられた。Wアンコールが「ガラスを割れ!」だったのには驚いたが、これもまた欅坂46の二面性を象徴するセットリストなのだろう。

 また、アンコールでは「Overture」のコーラスをファンに歌わせ、以降のライブで使用するという昨年の試みを今年も実施していたことも印象的だった。年を重ねるごとに、「Overture」も、そこに入っているファンの熱量もアップデートされていく。そしてまた、欅坂46もその総合力を向上させていく。

 2017年はアイドルシーンの外側に向け、欅坂46というアイコンを浸透させる一年だった。その名前が知れ渡って以降となる2018年は、本腰を入れてグループの多面性を打ち出していくのだろうか。『2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE』 は、そんな期待を抱かせてくれる公演だった。

(取材・文=中村拓海)

■『欅坂46 2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE』セットリスト
2018年4月6日(金)〜8日(日)武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ
00. Overture
01. ガラスを割れ!
02. 避雷針
03. 君をもう探さない
04. もう森へ帰ろうか?
05. バレエと少年 [上村/尾関/小池/長沢/原田/米谷]
06. 波打ち際を走らないか?[菅井/守屋/渡辺/渡邉]
07. AM1:27 [小池/小林/鈴本/原田]
08. 再生する細胞[今泉]
09. 結局、じゃあねしか言えない[石森/織田/齋藤/佐藤/土生]
10. 100年待てば[長濱]
11. バスルームトラベル[尾関/小池/長濱]
12. 1行だけのエアメール[今泉/小林]
13. ゼンマイ仕掛けの夢[今泉/小林]
14. 月曜日の朝、スカートを切られた
15. エキセントリック
16. 国境のない時代
17. 東京タワーはどこから見える?
18. 危なっかしい計画
19. 風に吹かれても
20. 不協和音
En1. サイレントマジョリティー(6日)
  世界には愛しかない(7日)
  二人セゾン(8日)
En2. 世界には愛しかない(6日)
  二人セゾン(7日)
  サイレントマジョリティー(8日)
23. 太陽は見上げる人を選ばない
WEn. ガラスを割れ!(8日のみ)

 

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