乃木坂46 生駒里奈がグループに残した“変わり続ける勇気” 卒業コンサートを振り返る

乃木坂46 生駒里奈がグループに残した“変わり続ける勇気” 卒業コンサートを振り返る

「集団行動が苦手な私が、7年間アイドルグループの中ですごく楽しくやってこれたのは、乃木坂46のこの人たちだから。純粋に大好きだし、乃木坂46が今後活躍するために私は活躍したいって思っちゃうんですよ」(生駒里奈・本編最後のMCにて)

 4月22日、生駒里奈が乃木坂46として迎えた最後のライブ『乃木坂46 生駒里奈 卒業コンサート』は、開演前から終演後の空気まで彼女の人間性が滲み出た、アイドル界でも稀に見る“幸せな卒業公演”だったように思う。

「こういう卒業のやり方があってもいいんじゃないかなと。一つのパターンに絞られずに、自分らしいグループからの卒業をしてもいいんじゃないかって思ったんです」(参考:生駒里奈ブログ「20枚目シングル」

 20thシングル『シンクロニシティ』の表題曲選抜発表にあわせて、彼女はこのようにブログを書いていた。卒業センターを固辞したのは、グループが現在の延長線上で発展していくことや、今後卒業するメンバーのために、形骸化したプランを崩そうという、彼女なりに考えての結論だったのだろう。そうして生駒はいつだってグループを俯瞰し、“向かい風”を受けながら、乃木坂46をここまで牽引してきた。

 そんな生駒が「今までの乃木坂46に感謝を伝えて 未来の乃木坂46に起爆剤を与えられる様な事」(参考:同上)と位置付けていたのがこの日の公演だった。本編はこの発言通り、いつもならライブの最後に最大限の“感謝”を伝える「乃木坂の詩」から始まる。そこから生駒のセンター曲である「おいでシャンプー」と「太陽ノック」へ。「日本武道館ー! いくぞー!」とこれまで以上に全力で叫ぶ彼女の姿は、『真夏の全国ツアー2015』でAKB48との兼任を終え、あらゆる重圧から解放され、一段とパワーアップして戻ってきた夏の神宮球場を思い起こさせた。

 「いつまでたってもやっぱり上手くならないな。そういうのも含めて楽しかったです」とはにかみながらソロで歌い上げた「水玉模様」が終わると、3期生による「トキトキメキメキ」、2期生による「スカウトマン」と、20thシングル『シンクロニシティ』の楽曲が続く。ただの卒業公演で終わらず、しっかりとグループの現在形を提示させるというのも生駒らしい。

 続いて生駒がコンテンポラリーダンスを踊ったあとは、同作収録曲であり、彼女にとっては最後のセンター曲となった1期生楽曲「Against」へ。“表現者としての生駒里奈”は、年月を追うごとにどんどん進化を遂げているが、この楽曲はまさに一番“新しい生駒里奈の表現”を形にした楽曲だ。「水玉模様」をはじめ乃木坂楽曲に多く携わる丸山健志氏がMV監督を、舞台『こちら葛飾区亀有公園前派出所』で共演した福澤侑氏が振り付けを手がけるなど、クリエイティブを大事にしてきたグループと、生駒が積み上げてきたキャリアがあってはじめて成り立った表現でもって、〈僕らは変わらなきゃいけない 永遠なんて信じるな〉と歌うことは、乃木坂46にとっても、ファンにとっても大きな意味がある。

 そして、乃木坂46において生駒しか成し遂げていない、かつて「超えるべき壁」と表現した“AKB48との兼任”も、彼女のキャリアを振り返るうえでは欠かせない。チームBでの公演で初めて披露した「初日」は3期生と、当時渡辺麻友とユニットで歌っていた「てもでもの涙」は同郷出身の鈴木絢音と、『AKB48 37thシングル選抜総選挙夢の現在地~ライバルはどこだ?~』で14位を獲得し、選抜に選ばれた「心のプラカード」は2期生とともにパフォーマンスされた。ライブ当日の夜に放送された『乃木坂工事中』(テレビ東京系)では3期生とヒット祈願に臨むなど、残り少ない時間を自分のためではなく、後に続く後輩のために少しでも役立てようという姿勢も、生駒の人間性を端的に表している場面だった。

 生駒・生田絵梨花・星野みなみがフロントだった時代の愛称“生生星”によるトークを挟みつつ、3人による「ここじゃないどこか」「満月が消えた」が披露されると、「あらかじめ語られるロマンス」「無口なライオン」とユニット曲コーナーへ。MCの内容は他メディアに譲るが、今年星野が20歳を迎え、“生生星”が全員成人したというのはまた感慨深いものがある。

 終盤は「指望遠鏡」「ハウス!」と、ライブをしっかりと盛り上げる楽曲を挟みつつ、彼女の好きな『NARUTO -ナルト-』のエンディングテーマにもなった「月の大きさ」をパフォーマンス。その伏線を回収するかのようにうずまきナルト(CV:竹内順子)からのメッセージが読み上げられ、作者・岸本斉史による似顔絵が贈られると、これまでのプロアイドル・生駒里奈の顔はどこへやら、いちアニメファンに戻り「生きててよかったー!」と号泣する一幕も。

 ほかにも、スタッフやマネージャー、関わってくれたクリエイターや番組スタッフ、バナナマンなどからのメッセージが本編のスクリーンには度々映し出され、開演前にはファンからのメッセージも流れていた。ここまで周囲のスタッフから愛されるのもまた、生駒里奈の“人間力”を表した場面だろう。

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