Far East Dizain、JILUKA、DEVILOOF……独自の進化遂げるV系シーン新進気鋭のバンドたち

ダイナミックな音像とクールさが共存する、Sick.

Sick. - Resonance. (Official Music Video)

 燃え滾る獰猛さの中に一滴の水を落としたような、そんな冷ややかなクールさを見せるTatsuki Nakanishi.(Vo)のハイトーンボーカルは、メタルともエモとも違う新しい感覚。それでいてどこか懐かしい気もする。聴いていると焦燥感で胸を抉られるような気持ちになるSick.。

 洋楽的アプローチによるダイナミックな音像とメッセージ性の強い歌詞は、2000年代以降に登場した、海外スクリーモバンドを彷彿とさせるポスト・ハードコアバンドに近いのかもしれない。しかしながら、どこか頽廃的で情緒を感じさせる美学は紛うことなきV-ROCKイズムだ。

墓場の街から人間界にやってきた、Leetspeak monsters

Leetspeak monsters『Greenman』MV FULL

 墓場の街グレイヴタウン出身のモンスター4人組、Leetspeak monsters(リートスピークモンスターズ)。

 ダークファンタジーな世界観とゴシックなビジュアルは、ホラー小説/映画をルーツとするイギリスのゴシックロックの源流でもある。“儚さ”や“病み”といった一般的な“ヴィジュアル系っぽさ”はなく、どこかコミカルな雰囲気漂う“Spooky”なキャラクター性に親しみやすさを覚える。D13(Vo/Rap)の小気味良いラップと妙な色気のある歌声がもたらす心地よさは、まるで海外バンドを聴いているような、いや、彼らはモンスターであったか。

Leetspeak monsters『Black owl』MV Full

 ハロウィンミュージックや映画音楽のような、高低差の大きい音づかいを用いたパーティーテイスト溢れる音楽を、ラップコアやエモで訳していくような卓越した音楽センスは、幅広いロックファンへの訴求力も高いだろう。

* * *

 いまや日本のロックファンのみならず、世界が羨むほどの“Visual-kei”。それは、ただの洋楽の真似事だけではたどり着けないものであることを、ここに上げたバンドは証明している。良くも悪くも“私服化”したロックが増えた裏では、“戦闘服”というべき世界観を纏ったヴィジュアル系バンドが、元来ロックの持つ狂気性を研ぎ澄ましているのだ。だから、ヴィジュアル系は面白い。

■冬将軍
音楽専門学校での新人開発、音楽事務所で制作ディレクター、A&R、マネジメント、レーベル運営などを経る。ブログtwitter

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