Far East Dizain、JILUKA、DEVILOOF……独自の進化遂げるV系シーン新進気鋭のバンドたち
ダイナミックな音像とクールさが共存する、Sick.
燃え滾る獰猛さの中に一滴の水を落としたような、そんな冷ややかなクールさを見せるTatsuki Nakanishi.(Vo)のハイトーンボーカルは、メタルともエモとも違う新しい感覚。それでいてどこか懐かしい気もする。聴いていると焦燥感で胸を抉られるような気持ちになるSick.。
洋楽的アプローチによるダイナミックな音像とメッセージ性の強い歌詞は、2000年代以降に登場した、海外スクリーモバンドを彷彿とさせるポスト・ハードコアバンドに近いのかもしれない。しかしながら、どこか頽廃的で情緒を感じさせる美学は紛うことなきV-ROCKイズムだ。
墓場の街から人間界にやってきた、Leetspeak monsters
墓場の街グレイヴタウン出身のモンスター4人組、Leetspeak monsters(リートスピークモンスターズ)。
ダークファンタジーな世界観とゴシックなビジュアルは、ホラー小説/映画をルーツとするイギリスのゴシックロックの源流でもある。“儚さ”や“病み”といった一般的な“ヴィジュアル系っぽさ”はなく、どこかコミカルな雰囲気漂う“Spooky”なキャラクター性に親しみやすさを覚える。D13(Vo/Rap)の小気味良いラップと妙な色気のある歌声がもたらす心地よさは、まるで海外バンドを聴いているような、いや、彼らはモンスターであったか。
ハロウィンミュージックや映画音楽のような、高低差の大きい音づかいを用いたパーティーテイスト溢れる音楽を、ラップコアやエモで訳していくような卓越した音楽センスは、幅広いロックファンへの訴求力も高いだろう。
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いまや日本のロックファンのみならず、世界が羨むほどの“Visual-kei”。それは、ただの洋楽の真似事だけではたどり着けないものであることを、ここに上げたバンドは証明している。良くも悪くも“私服化”したロックが増えた裏では、“戦闘服”というべき世界観を纏ったヴィジュアル系バンドが、元来ロックの持つ狂気性を研ぎ澄ましているのだ。だから、ヴィジュアル系は面白い。
■冬将軍
音楽専門学校での新人開発、音楽事務所で制作ディレクター、A&R、マネジメント、レーベル運営などを経る。ブログ/twitter