POLYSICS ハヤシ、『ウルトラマンシリーズ』への愛を熱弁 「一貫して曲が素晴らしい!」

POLYSICS ハヤシ、『ウルトラマンシリーズ』への愛を熱弁 「一貫して曲が素晴らしい!」

 『ウルトラマンシリーズ』放送開始から50年を迎えた2016年から、主題歌やサウンドトラック等をコンパイルしたCD(アナログも)が、日本コロムビアから続々とリリースされている。日本中に、いや、海外も含めて、作品を細部まで知り尽くす、ほとんど研究者と言っていいくらいのハードコアなマニアを多数擁する同シリーズだけに、そんなマニアたちをも唸らせるような仕上がりを、一作一作が見せている(特にブックレット、どの作品も異常な情報量)。

 日本ロックシーンでおそらくナンバーワンのその「ハードコアなマニア」であるPOLYSICSのハヤシに、その中の4タイトルについて語っていただく企画をお願いした。詳しい方は読めば膝を打つこと必至、そうでない方も『ウルトラマンシリーズ』に改めて触れてみたくなること必至の、ハヤシ先生の解説をぜひお楽しみいただければと思う。そう、思わず「先生」と付けたくなる熱さだったのでした。(兵庫慎司)【最後にプレゼントページあり】

「主題歌・挿入歌は一貫して曲が素晴らしい」

ーーたくさんリリースされている『ウルトラマンシリーズ』のCDの中から、今回は4アイテムについて語っていただければと。

ハヤシ:じゃあ『ウルトラマン 主題歌・挿入歌 大全集』から。これはね、2016年の『ウルトラマンシリーズ』放送開始から50年を迎えたことを記念して、『ウルトラQ』から始まり、『ウルトラマンオーブ』まで、50年の間に出たウルトラマンシリーズ主題歌・挿入歌を網羅した作品集です。聴きまくって思ったんだけど、やっぱ一貫して曲が素晴らしい。「歌詞なんて意味なくていいじゃん」っていうPOLYSICSだけど(笑)、このウルトラマンシリーズの曲に関しては、ほんっとに歌詞が素晴らしくて! まず、『ウルトラマン』から『ウルトラマンオーブ』までの歌詞は、夢と希望がテーマっていうのが一貫してるんだよね。みんなで力を合わせて明るい未来を切り拓いていこう、ひとりの力は弱いけど、みんなの力を合わせれば、どんな困難も乗り越えられる、みたいなね。これはみんなに言いたい。聴いてほしい。

ーーハヤシくんが何かの歌詞について、こんなに熱く語るの、初めて聞きました(笑)。

ハヤシ:でしょ? 子どもの頃はわかってなかったけど、今回聴きながら観直した時に、ほんとにいい歌詞だなあと思って。その中でも特に好きな歌詞が、『ウルトラマンガイア』(「ウルトラマンガイア!」)なんだよね。(ブックレットの歌詞のページを見せる)

ーー(見る)あ、作詞:康珍化。80年代歌謡曲のヒットメーカー。

ハヤシ:特にここ、<ギリギリまで がんばって ギリギリまで ふんばって ピンチの ピンチの ピンチの連続 そんな時 ウルトラマンがほしい!>っていうね。最初からウルトラマン待ちしてないの。自分たちもいっぱいがんばって、がんばって、がんばって、どうにもならない時に「ウルトラマーン!」って呼ぶみたいな。その視点が衝撃的で、「なんて歌だ!」と思った。あと、『ウルトラマンメビウス』の曲(「ウルトラマンメビウス」)も、すごい良くて! (歌詞を見せる)

ーー(見る)あ、これは作詞:松井五郎。大物揃いだなあ。

ハヤシ:『メビウス』はウルトラマンシリーズ誕生40周年記念作品なのね。だから過去のウルトラマンもいっぱい出てくる、お祭り的なシリーズなんです。でもこの歌詞の<ぶつかりあい 励ましあい 立ちはだかる 闇を越えよう>っていうのは、メビウスのいるGUYS(CREW GUYS)っていうチームが、けっこうぶつかり合うのよ。最初にヒビノ・ミライ(ウルトラマンメビウス)が来た時も全然ウェルカムじゃないし、ウルトラマンメビウスの戦い方にも、GUYSのメンバーがいちゃもんをつけるんですよ。怪獣をやっつけたのに、「街中で戦ってるから、街の被害がすごいことになってんだぞ!」みたいな。それにアイハラ・リュウ役の松方弘樹さんの息子(仁科克基)がすごいキレてて、「ウルトラマン、なんだよおめえ!」とか言い出すんですよ。それで次の回からウルトラマンが、怪獣を遠くの広い平野みたいなところに呼び出して、そこでやっつけるようになるんだよね(笑)。

 あと、第1話でメビウスが現れた時、お父さんに抱っこされた子どもが「あ、あれパパが言ってたウルトラマンでしょ? 来てくれるんだね、こういう時に」って言うシーンがあって……そこがねえ、もう号泣(笑)。ウルトラマンシリーズはいつも新しいことにチャレンジして来たんだけど、最近の作品である『エックス』でさえ、「そういう視点あったの?」みたいな発見が多いのよ。

「セブンが戦ってるシーンがめちゃくちゃ浮かんでくる」

ーーでは次、アナログ盤『ウルトラセブン 50th Anniversary Album』、お願いします。

ハヤシ:これが本当に良い! 『ウルトラセブン』の主題歌のベースライン、こんなにかっこいいんだって。これ、CDだと上の音に注目しがちなんだけど、アナログだと全体的にミッド/ロー寄りの温かい音質になってるのが、本当にに聴き応えがあった! それに劇中歌も全部フルで入っていて、子門真人さんの歌う「ウルトラセブンの歌」(「THE THEME SONG of”ULTRA-7″」)をちゃんと聴いたの初めてだったな。あれ、海外用の『ウルトラセブン』のために作られた英語バージョンなんだよね。あと「ディスコウルトラセブン」っていうのも初めて聴いた。

ーーマニアックな曲まで網羅されているんですね。

ハヤシ:でね、このアナログの何がいいかって、B面にサントラ的な曲が入ってるんです。いちばんアガったのが「セブンの戦い」。この曲をアナログで聴ける日が来るなんて! と。セブンが戦ってて、最初は劣勢なんだけど、途中から優勢になってくるシーンでこれが流れるんだよ。聴いているとセブンが戦ってるシーンがめちゃくちゃ浮かんできます。これ、5回続けて聴いちゃったから、俺(笑)。

 あと「フルートとピアノのための協奏曲」。カバー曲だと思ったら、このために作ってもらったんだってね、冬木透先生(数々のウルトラマンシリーズの音楽を手がけた作曲家)に。「狙われた街」っていういわゆる伝説の回で、ウルトラセブンとメトロン星人がちゃぶ台の前で言い争うシーンで流れてる曲なんですよね。そういうのもファンからすると「これ聴けるんだ?」みたいな喜びがあります。ほんとに大満足の1枚でしたね。

ーーでは次はセブンのボックス、『ウルトラセブン サウンドライブラリー』。

ハヤシ:これがとんでもないものですよ、ほんとに。僕でさえちょっと戸惑いました(笑)。『セブン』のドラマの中の、細かいシーンのバックトラックが全部入ってる。でも、このアイテムは完璧にマニア向けだけど、これを聴いた後にまた作品を観ると、今までBGMとして捉えてたものが、もっと立体化してくる感じがします。この曲を第何話のどこに使ったかが、全部ブックレットに書いてあるから、それをふまえて観直すと「ほんとだ! こんな曲だったか」みたいな発見もある。ファンからすれば、これはすごい贅沢な楽しみ方ですよね。

 ……そうだ、思い出した。「平和」って曲が入ってるんだけど、この曲は後のウルトラマンシリーズでも使われるようになるんです。戦い終わったあとに、土手とかで「はあ、終わったあ……あれ? そういえばあいつどこ行った?」とか言ってたら、郷秀樹さん(帰ってきたウルトラマン(ウルトラマンジャック))が「おーい!」って走って来たりするシーンがあるじゃないですか。そういう場面で流れます。これ以降のウルトラシリーズでは、戦い終わったあとの平和を取り戻した日々を象徴する1曲なんですよね。

ーー『セブン』というのがウルトラマンシリーズの中ではどういう位置付けの作品なのか、解説をお願いしてもいいですか。

ハヤシ:『セブン』は、『ウルトラマン』から始まった「円谷空想特撮ヒーローシリーズ」の第2弾です。『ウルトラマン』はウルトラマンと怪獣の戦いを通して、人間の汚い部分や間違いなどを浮き彫りにしたり、未来への警笛を鳴らすような作品だと思うんだけど、俺は『ウルトラマン』の主人公って、どちらかというと怪獣だと思うんですよ。成田亨さんという現代美術の人が作った、唯一無二なデザインの怪獣。しかも子どもたちも絵で描けるようなキャッチーな怪獣で、それが毎週大暴れする。でも『セブン』では、主役が怪獣じゃなくなって宇宙人が地球を侵略しに来るんですよ。宇宙人は怪獣みたいに大きいものではなく、ちっちゃいミクロなものもいる。その宇宙人が、どう地球を侵略していくのか、それをセブンやウルトラ警備隊がどう倒していくのか。だから、肉弾戦じゃなくて、宇宙人が人間の頭脳を狂わせたり、精神的に追い詰めたりして、地球を侵略していくような話なんです。ほんと一瞬で戦いが終わる回もあるし、怪獣が出ない回もある。ストーリーがものすごく深いから、怪獣が出なくても成立しちゃうんですよ。

ーーなんで当時、『ウルトラセブン』でそういうふうに方向転換したんでしょうね。『ウルトラマン』が当たったのなら、同じ路線で作りそうなもんだけど。

ハヤシ:そこなの! 普通そう考えるじゃないですか? ただ、すごいのが、『ウルトラマン』って、後のシリーズでやってもいいことを、39話のうちに全部やっちゃうんです。たとえば、ウルトラマンの葛藤が描かれるミイラ人間の回(「ミイラの叫び」)や、地球人が怪獣になってしまったジャミラの話(「故郷は地球」)もそうですよね。そんなのは3作品目でやってもいいんじゃないかと俺は思うわけ。でも、「次はこうしよう」「次はああしよう」っていう、マンネリを嫌う円谷プロのクリエイティブチームの発想なんじゃないですかね。

ーーなるほど。

ハヤシ:さっき話した『ウルトラセブン』のメトロン星人の話は、人間の信頼関係を利用して地球を侵略しようとするストーリーなんです。でも最後にナレーターが「でもご安心ください、これは遠い未来のお話ですから。だってみなさんお互い、信頼し合ってませんよね?」みたいにコメントするんです。すごいショッキングな終わり方ですよね。しかも40年後に、その続編を、『ウルトラマンマックス』で放送するんですよ。これはねえ、ぜひセットで観てほしい! 友達がうちに来たら全員に観せるんです。「狙われない街」ってタイトルで、それはどんな話かっていうと、……これは言っちゃうとよくないか、これから観る人もいるだろうし……(と、『狙われない街』の一部始終を語る)。

ーーうわあ!

ハヤシ:すごいでしょ。俺すごいショックで。しかも、「狙われた街」と同じ実相寺昭雄監督が撮ってるの。俺、「うわぁ……」と思ったのと同時に、観続けてよかったなと思った。

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