Candy or Whip、CHiCO with HoneyWorks、Eve×Sou…最新チャートから考える、Jポップの今

参考:2018年3月12日付週間CDアルバムランキング(2018年2月26日~2018年3月4日・ORICON NEWS)

 映画『グレイテスト・ショーマン』のサントラが1位を獲得。発売からじわじわとランクを上げ、1月17日のリリース以来初の首位となった。

 ミュージカル映画のサントラが1位となった今週のチャートには、実に多様な顔ぶれが並ぶ。『うたの☆プリンスさまっ♪』関連作が2位につけ、JUJU、倖田來未といったキャリアを積んだ歌姫とともに、最後のドームツアーが始まった安室奈美恵のベスト盤もしぶとくランクイン。そんな中で目を引くのが、4位のCandy or Whip『last』、5位のCHiCO with HoneyWorks『私を染めるiの歌』、7位のEve×Sou『蒼』の3枚である。

Candy or Whip『last』

 Candy or Whipは高校生YouTuberのレイターズによるバンド、CHiCO with HoneyWorksは動画サイトにてビジュアルワークまで含めて作品を投稿するHoneyWorksとシンガーのCHiCOによるユニット(3月には日本武道館でのライブも予定されている)、Eve×Souも同じく動画サイトでの活動に出自を持つアーティストのコラボ。……と書いてはみたものの、正直に言うとこれらのアーティストの動向を追えていたわけではない。というより、ほとんど知らなかった、と言った方が正確である。

 ここまで「自分と縁のないアーティスト」がトップ10圏内にずらっと揃っているという状況に直面すると、自分自身の物差しのあり方について考えざるを得ない。反省モードになりつつ、今回のチャートを通して感じたのは以下の3つのことである。

 まず強く思ったのが、「Jポップという大衆音楽幻想」の本格的な崩壊である。「マスメディアによって生み出される誰もが知っているポップソング」という構造を備えていたのが従来のJポップというものだったと思うが、もはやそんなものは世の中に存在しないのかもしれない。もちろん「恋」(星野源)や「前前前世」(RADWIMPS)のようなヒットはあるにせよ、基本的には「それぞれのクラスターで支持される音楽が点在している」というのが日本のポップスの現状であることを改めて実感した。そして若年層が支持するものは「若年層が見ているインターネット(それは「大人の見ているインターネット」とは明確に別物である)」の中から生まれてくるため、他の世代はその予兆すら感じることができず、オリコンチャートに浮上してきた時に初めてその存在と対峙することになる。

 次に指摘すべきは、「若者はCDを買う」という事実。ここにあげた3作ともメインの購買層は比較的若い年代のはずだが、どの作品も週間売り上げで10,000枚を越えている。とかく「若年層は音楽にお金を払わない」とまとめがちだが、価値を感じるパッケージにはしっかりお金を払っている。

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