HoneyWorksはなぜ10代女子に人気? 映画『プリンシパル』との親和性から考察

ハニワはなぜ10代女子に人気?

 「ハニワ」の通称で知られるクリエイターユニット・HoneyWorks。ニコニコ動画やYouTubeなどの動画投稿サイトで活動し、動画の総再生数は4億回を突破。“キュンキュン系”、“青春系”と呼ばれるポジティブ系ロックを主体とし、ストレートな歌詞で恋模様を題材にした楽曲を作り上げるHoneyWorksの支持層は、主に10代の若い女子たちだ。

 そしてHoneyWorksの新たな試みとして、2014年、第1回「ウタカツ!」オーディションでグランプリに輝いたボーカリストCHiCOとHoneyWorksとのコラボユニット・CHIiCO with HoneyWorksを結成。同ユニットは、3月16日に行う初の日本武道館ワンマンライブ『 i contact 』もソールドアウトするなど、ネットのみならず全国のティーンに絶大な人気を誇っている。今週リリースされたばかりのCHiCO with HoneyWorksの2ndフルアルバム『私を染めるiの歌』は、オリコンデイリーCDアルバムランキング2位(3月1日付)と好調なセールスを記録している。

 そうしたティーンの人気を裏打ちするかのように、3月3日公開の黒島結菜×小瀧 望(ジャニーズWEST)W主演映画『プリンシパル~恋する私はヒロインですか?~』でも、CHiCO with HoneyWorksが挿入歌「ツノルキモチ」を担当。さらに映画にリンクした歌詞と世界観、切ないメロディで耳に残るジャニーズWESTが歌うオープニング主題歌「プリンシパルの君へ」の作詞作曲も、HoneyWorksが手がけている。

 

 いくえみ綾の原作漫画『プリンシパル』を実写化した本作は、恋と友情のはざまで揺れつつも、想いを寄せる相手に「好き」と素直に言えない、不器用な等身大の女子高生を描く。かいつまむと「ごくごく普通のヒロインが、転校先でイケメンたちと仲良くなって……気づけば三角関係に!?」というストーリーなのだが、これは少女漫画における王道中の王道ともいえる展開だろう。そしてなんといっても、そんな女子ウケ抜群の胸キュンな物語に、「ツノルキモチ」の〈君に会いたいよ 近すぎて言えないよ〉というどストレートな歌詞が、見事にマッチしている。

 

 CHiCO with HoneyWorksは前述したとおりボーカリストCHiCOとクリエイタ―チームHoneyWorksとのコラボユニットだ。そのクリエイターチームHoneyWorksの大きな特徴のひとつとして、イラストレーター・ヤマコの存在が挙げられる。通常の音楽アーティストユニットの場合、「イラストレーター」という肩書きのメンバーがいるのはかなり珍しいだろう。しかし、動画投稿サイトを主戦場としてきたHoneyWorksにとって、MVを彩るイラストは、楽曲の世界観をよりキャッチーに伝えるために必要不可欠な存在だ。CHiCO with HoneyWorksでも、ジャケットやアーティスト写真などがイラストレーターのヤマコによって描かれるなど、ビジュアル面でもHoneyWorksのプロデュースを受けている。

 それはミュージックビデオも同様だ。HoneyWorksプロデュースのもと、綿密に歌詞のストーリーに沿って構成された「ツノルキモチ」のミュージックビデオは本映画のストーリーに合わせた歌詞となっているが、CHiCO with HoneyWorksのYouTube公式チャンネルでは、『ツノルキモチ -M.edit-』として、HoneyWorksプロデュースのオリジナルアニメーション付きのMVが公開されている。歌詞と連動したアニメーションによって、ひとつの物語、ショートムービーのように機能している。その断片的な「物語」が10代女子に絶大な人気を誇っているというわけだ。

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