Ivy to Fraudulent Game、ワンマンライブで見せた所信表明 “静と動”が交錯する音楽世界へ
今そういうライブができたのは、決して偶然ではない。元々、全国デビューした2016年よりも前からワンマンライブを行っており、口コミでファン層を拡大させていったIvy。そうして積極的に自分たちだけの空間を築くための場数を重ねてきたこと、さらに『回転する』収録曲の半数ちかくを再録曲=すでにライブ慣れしている曲が占めていたことが影響し、培ってきた演奏力がこのタイミングで開花し始めることとなったのではないだろうか。様々なジャンルを呑み込んだIvyのサウンドは一言では表しづらく、キャッチーで分かりやすいものでもなければ、観客を踊らせたりするような種類のものでもない。だからこそ思うところがあるのだろうか、寺口が観客に対してしきりに「もっと自由に」と言っていたこと、そして「俺たちの目の前にいる時は幸せにします。居場所にしていってください」と伝えていたこともまた印象的に残っている。
この日の本編ラストに演奏されたのは「革命」。そしてアンコールラストに届けたのも同じく「革命」。そんなところも含め、まるで所信表明のようなライブだった。
(写真=佐藤広理)
■蜂須賀ちなみ
1992年生まれ。横浜市出身。学生時代に「音楽と人」へ寄稿したことをきっかけに、フリーランスのライターとして活動を開始。「リアルサウンド」「ROCKIN’ON JAPAN」「Skream!」「SPICE」などで執筆中。