GENERATIONS、5年の歳月で育んだ“絶対的な絆” ドキュメンタリー「THE NEXT」レビュー

GENERATIONS、5年の歳月で育まれた絆

「運命共同体だなって、すごく思いますね。人生を共有しているというか。俺らはGENERATIONSとして生きていこうって決めた部分もあるし、そういう絆で絶対的に結ばれているんじゃないかな」

 GENERATIONS from EXILE TRIBE(以下、GENERATIONS)のボーカリスト・片寄涼太は、真っ直ぐな眼差しで自らのグループをそう誇る。その気持ちは、ほかのメンバーも同じだ。佐野玲於は「チームワークが自分たちの売り」、小森隼は「一緒にいて、一緒にご飯食べて、一緒に楽しいことして……という状況や空間が僕らの原動力」、関口メンディーは「GENERATIONSのテーマは青春。みんなで一生懸命、切磋琢磨」と、誰もがGENERATIONSというグループへの深い愛情と固い信頼を口にする。なんて幸福なグループなのだろうか。

 2018年1月1日に発売されたベストアルバム『BEST GENERATION』の「限定BOX」ならびに「豪華版」に収録された映像作品「GENERATIONS A DOCUMENTARY FILM THE NEXT」は、メンバー自身へのインタビューによって、グループ結成から現在まで、5年間の軌跡を辿ったドキュメンタリーだ。CDアルバムの付録として、アーティストのドキュメンタリー映像が付くことは決して珍しいことではない。しかし、本作は、現在公開中の映画『悪と仮面のルール』などで注目を集める気鋭の映像作家・中村哲平が監督を務めており、約1時間というボリュームもさることながら、スタイリッシュな映像と丁寧な編集で、いわゆるおまけ的な付録DVDとは一線を画するクオリティーに仕上がっている。GENERATIONSというグループの本質的な魅力を理解する上で、見逃すことのできない映像作品といえるだろう。

「GENERATIONS A DOCUMENTARY FILM NEXT」ティザー映像

 インタビューは、メンバーが本気でアーティストを志したきっかけについての質問から始まる。オーディション、親の影響、EXILEへの憧れ、総合エンタテインメント・スクール「EXPG STUDIO」での出会い……動機はそれぞれ異なっており、GENERATIONSというグループがいわゆる友人同士から始まったのではないことがよく理解できる。実際、グループの結成までには紆余曲折があった。

 ボーカルの片寄涼太と数原龍友は、2010年、「VOCAL BATTLE AUDITION 2」に参加してファイナリストまで残るものの、ともに落選。EXILE HIROが若手アーティストによる新グループを立ち上げようと企画したことから、その候補生となる。リーダーの白濱亜嵐は、劇団EXILE風組から候補生となった。小森隼、佐野玲於、関口メンディーの3人は、「EXPG」内のオーディションで選ばれた。この6人に、現在は劇団EXILEの活動に専念している町田啓太を加えたメンバーで、全国津々浦々を行脚してパフォーマンスを行う「夢者修行」を開始するも、途中で白濱亜嵐が怪我をしたことにより、現メンバーの中務裕太らがサポートを行うことになる。数原龍友が「結果だけ見れば、完全に敗者だった」と振り返るように、当時の彼らは華々しいデビューを約束されたグループではなかった。

 しかし、メンバー同士で切磋琢磨しながら数々のストリートライブをともに乗り越えることで、グループは次第にまとまり、各々の役割分担も定まっていく。佐野玲於が、「みんなそれぞれの畑で育ってきたので、やり方も違えば、ダンスへのアプローチも違った」と言っていた状態から、お互いの個性を認め合い、その魅力を最大化するためにはどうするべきかをメンバー自らが考えるまでに、結束は強まっていく。そして、各々が抱いていた夢は、いつしかメンバー全員が共有する信念となり、グループを突き動かす原動力になった。デビューシングル『BRAVE IT OUT』は、そんな彼らの初期衝動が詰め込まれた、勢いのあるナンバーに仕上がった。デビュー決定時にラゾーナ川崎で披露したパフォーマンスの映像では、当時の彼らのほとばしる情熱をこれでもかと感じることができる。

 そうした過去の映像と対比することで、現在の彼らが語り合う対談コーナーに深い感慨が生まれるのも、本作の大きな特徴だ。メンバー同士がそれぞれの印象や役割について語るとき、その口ぶりは自然と温かなものになっていて、彼らが5年の歳月の中でたしかな信頼関係を築き上げてきたことが伺えるのである。メンバーたちの個性と意見を尊重し、GENERATIONSならではのチームワークを育んできた白濱亜嵐。朝一番でその日の雰囲気を作るムードメイカーの関口メンディー。最年少ながらその鋭い感性でグループに刺激を与える佐野玲於。サポートメンバーから加入し、今では卓越したダンススキルで振り付けの多くを手がける中務裕太。白濱亜嵐とは学生時代からの先輩後輩で、芸人さながらのトークスキルにも定評のある小森隼。ボーカルの数原龍友と片寄涼太は、正反対ともいえる個性を持ちながらお互いに支え合う兄弟のような関係性で、パフォーマー陣からは「彼らの声がないと僕たちは踊れない」と、精神的な支柱としても認められている。出自の異なる7人が本気で力を合わせた結果として、現在のGENERATIONSがあるのだ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる