太田省一『ジャニーズとテレビ史』第三十九回:2018年期待のジャニーズ
玉森裕太、小瀧望、中島健人、滝沢秀明……2018年期待のジャニーズメンバーは?
2018年の初回ということで、今年個人的に期待するジャニーズにふれてみたい。
まずは、Kis-My-Ft2の玉森裕太から。この連載でも以前にちょっとふれたが、彼には俳優としてのいっそうの飛躍を期待したい。
そう思うのは、昨年のドラマ『リバース』(TBS系)での彼の演技を見たことが大きい。
この作品、湊かなえ原作のミステリーでありながら、大学の仲間が友人の死を通して人間的に成長していくすぐれた群像劇でもあった。主演の藤原竜也らとともに仲間のひとりを演じた玉森の役柄は高校の社会科教師。友人の自動車事故の現場にあった証拠を自己保身のために隠蔽した過去を後悔する一方、その思いから不祥事を起こした生徒の責任をちゃんと取らせようとして孤立し、逆に追い込まれる。
このときの玉森裕太の演技は出色であった。本来正義感の強い人間であるがゆえに強い自責の念に苛まれながら、過去の過ちに向き合い生き直そうとする難しい役柄を見事に演じていた。特にカメラがとらえるふとした瞬間の沈黙の表情に、こころの苦悩や葛藤が自然とにじみ出て、目を見張らせるものがあった。こちらの視線をすっと惹きつけるその静かな佇まいの魅力は、簡単に身につけようと思っても身につけられないものだ。
2011年の『美男ですね』(TBS系)で初主演、2013年の『信長のシェフ』(テレビ朝日系)で単独初主演を果たすなど、順調に俳優としての実績を重ねている玉森だが、『リバース』は、さらに一皮むけた姿を見せた作品になったと思う。昨年は、さらに『重要参考人探偵』(テレビ朝日系)でも主役を演じ、いま脂がのった状態と言えるだろう。グループとしての活躍ももちろん期待だが、このタイミングで彼が俳優として大きく開花する作品に出会えることを願いたい。
もうひとり、最近テレビを見ていて俳優としての魅力を感じたのがジャニーズWESTの小瀧望である。
現在、小瀧はこの1月から始まったドラマ『もみ消して冬~わが家の問題なかったことに~』(日本テレビ系)に出演している。主役のHey! Say! JUMP・山田涼介扮する北沢秀作が勤務する警視庁の後輩で、犯人説得のプロという役柄だ。山田が憧れの人と言う彼にとっては念願の共演である。
小瀧望は、2016年の嵐・大野智がホテルチェーンの社長役で主演したコメディ『世界一難しい恋』(日本テレビ系)にも出演し、空気が読めず周りからはウザがられながらも常にポジティブな部下役を好演していた。また昨年配信されたジャニーズWEST主演のインターネットドラマ『炎の転校生 REBOEN』(Netflix)も少年漫画原作の奇想天外なコメディだったが、そこで演じたトサカ頭の硬派なヤンキー役もぴったりはまっていた。
今回の『もみ消して冬~わが家の問題なかったことに~』も、山田涼介ら北沢家の人々が一家に降りかかった事件を協力してもみ消そうと悪戦苦闘するコメディである。ここでも初回から小瀧は、優秀で頭脳明晰であるがゆえに早合点して山田を困らせる役柄を絶妙に演じ、笑いを誘ってくれた。
そうしたコメディとの相性の良さは、長身でパッと目を引く容姿とのギャップ効果によるところもあるだろうが、根底には、天性とも思える彼の演技勘の良さ、演じるテンポや間合いの良さがあるからだろう。この3月には黒島結菜とダブル主演を務める映画『プリンシパル~恋する私はヒロインですか?~』の公開も控えている。今年22歳、ジャニーズWESTの最年少メンバーでもある小瀧望が、いよいよ俳優として注目を浴びる年になるのではなかろうか。