『第6回アイドル楽曲大賞2017』アフタートーク(後編)
Task have Fun、フィロソフィーのダンス、sora tob sakana……2018年期待のインディーズアイドルは?
「『新しい地図』がいま一番面白いアイドル」(岡島)
ーー2018年のインディーズアイドルシーンには、どんなことを期待しますか。
岡島:イベントでガリバーさんが「2017年のトピックス」を挙げていて。その中で一番大きかったのは、りななん(松野莉奈)の逝去だと思いますけど、明るい話題だと『72時間ホンネテレビ』(AbemaTV)も入っていましたよね。あれはどうして入れたんですか?
ガリバー:男性アイドルではありますけど、ジャニーズという大きな枠組みから飛び出して、ネットを中心として活動するって、全く新しいことですよね。AbemaTVという、わりと僕らの現場だったネットに、香取慎吾、稲垣吾郎、草なぎ剛という人たちが降りてきているというのはとてもセンセーショナルで面白かったです。
岡島:それと近い理由で、僕も「新しい地図」がいま一番面白いアイドルだと思っています。“売れる”っていうことはつまり、「芸能界で成功する=芸能人になる」だったり、CMにたくさん出てイメージを売っていくということじゃないですか。一方で、アーティストとしてテレビにはあまり出なくても、ライブの動員数を伸ばして、フェスに出るというルートもある。それらのルールが変わるかどうかはわかりませんが、ようやく一歩を踏み出したのが新しい地図だと思います。彼らがどうなっていくのかが数年後の女性アイドルシーンにも影響を及ぼしてくると思うので、個人的にもかなり注目しています。
ガリバー:僕は、新潟のRYUTistがアルバム部門で5位に『柳都芸妓』が入っていたり、福岡のうさぎのみみっく!!や新体制のLinQ、煌めき☆アンフォレントや天空音パレードの上位ランクインなど、地方アイドル復権の傾向が徐々に感じられた年でもあったかなと思います。今回の上位組だと、Task have Funが一発屋で終わるかどうかにも注目したいです。
宗像:インディーズのランキングは、1位が「3WD」、2位が「前髪」、3位が「ダンス・ファウンダー」と、どれもジャンルがバラバラなのがインディーズっぽくていいですよね。ニッチなところを拾ってくるアイドルがいたから多様性も出てきたわけなので。ただ、そろそろネタが切れるかもという心配もあるので、そんなのは杞憂だと言わんばかりに、音楽的に新しいことをやってくれるアイドルが現れるのを楽しみにしています。
ピロスエ:5ちゃんねる(狼)で、「まだアイドルがやっていない音楽ジャンルはなに?」みたいなスレが立っていて、そこで「ポンチャックはさすがにいないだろう」って書いてあったんだけど、「たこやきレインボーや姫乃たまがやってる」というレスがすぐに返ってきていたのを思い出しましたね。
宗像:本当に、みんなやっているんですよ。ニッチなジャンルって意外と手を出されているから、そこを乗り越えてきてほしいと思います。ピグミー族のポリフォニー(多声音楽)はまだやられてないかも(笑)。シーン全体で言うと、ラストアイドルの影響によって、ライブアイドルシーンがごっそりなくなるくらいのことはあるかもしれない。
あと、ディアステージが、pixivとArc Jewelで再編されたのは大きかったです。他にインディペンデントな組織であるWACKやパーフェクトミュージックも出てきている。アイドルがどこで何を武器に戦うのかを、真剣に考えないとまずいフェーズに入ってきているのかもしれません。アイドル楽曲大賞は、単純な人気投票とならないように絶妙なバランス感覚を探っていきながら、一人ひとりが好きな音楽と出会える環境になっていきたいですね。
ピロスエ:今年は投票数が昨年に比べて3人だけ増えたんですよ。年々、右肩下がりだったので、今年も下がるのかなと思っていたんですけど、少し増えたので横ばいとも言える。投票数がめちゃくちゃ増えたら、欅坂とかが上にくるだけのランキングになって、面白みが少なくなりそうな可能性もあるとはいえ、もう少し増やして行きたいですね。
宗像:あと、『OVERTURE』(徳間書店)からは楽曲大賞のネーミングライツの契約をもらえる体制にしましょう(笑)。2016年は『OVERTURE』から僕に依頼がきたので問題ないと思ってたんですが、2017年は4人の誰にもオファーがなかったので、名前だけ使われている感がある。
ピロスエ:いや、誰かライター参加してればいいって話でもない。あんまりうるさいことは言いたくないですが、紙媒体だったらページ冒頭などに元企画についての説明がちょっとはあってもいいんじゃないの? とは思います。たとえば、同じネット上のファン企画である『ジャニーズ楽曲大賞』では、サイトに「この企画はハロプロ楽曲大賞のオマージュです」とちゃんと明記してくれているし、最近ではaccessファンの人が始めた『access楽曲大賞』でも明記はありました。そういう心遣いがあると一緒に楽しく遊べるのにな、とは思っています。
(取材・文=渡辺彰浩)
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