『ラックライフ 2017-2018 ~Change The World TOUR~ 東京公演』レポート
ラックライフは“あなた”のための音楽であり続けるーーリキッドワンマン公演を振り返る
「終盤戦!」の合図でスタートした「リフレイン」。ザラザラとしたサウンド、怒りと葛藤という“負”と、それでも自らが生み出す音を完全肯定すると誓う“正”をないまぜにした声を轟かせるボーカルはそれまでのハートフルな空気を180度変える。赤い照明が場内を照らす、この緊張感。この日一異質な瞬間は、昨年手に入れた大きな武器の一つであるように感じた。そして、後半戦から「ソライロ」「存在証明」と、彼らが届けたい想いの核とも言えるナンバーが続く。
「出会ってくれてありがとう」というこの一言の後に披露した「名前を呼ぶよ」。メジャーデビューに際し、これまで出会った人への感謝を綴った歌は、現在進行形でこの曲に触れた人間のためへと変わっていく。足掛け10年、彼らが歌い続けられたのは、照らし続けてくれる“あなた”のおかげだと、続く「タイムライト」で切々と歌い上げる。そして「あなたのことをずっと、歌い続けるよ」という宣言で幕を明けた「君のこと」。<駆け抜けてくこの日々を繋げて行くのは/きっと神様じゃなく他でもない君と僕で>と象徴的な言葉を真っ直ぐに歌う。生きることは決して平坦ではない、辛く、重い日を超えて、その先に待つ一筋の光を共に掴もうというラックライフの歌は誰よりも優しい。この終盤の一連の流れでは、決して多くを語らず、歌に込めた想いとメッセージで感謝を伝える。言いたいことの全ては曲に詰まっている、彼らなりの恩返しだ。フロアは誰も微動だにしない、じっくりと彼らの言葉、想いを受け止め歓声で応えていく。
長きに渡るライブも次曲でラスト。するとPONは先日飲み会にて「辛いけど頑張って行こう! とかMCで言うバンド、おるやん」と揶揄された挙句「それ、俺や」と即自覚したことをアッケラカンと笑い話し始める。しかし「でも俺はそんじょそこらのバンドと違う、ガチで言っているから!!」と自らのポジティブな言葉に対する自負を、衒いなく告げた。そして「あなたを幸せにするバンドでありたい!」と力強い宣言で「サニーデイ」が始まる。『Life is Beautiful』の象徴とも言える曲で、世界を肯定し続けるために、自分が生きて行くために、そしてその力をもらった人たちへの感謝を届けるために、この日一のエモーショナルを込めて歌い上げた。彼らの想いが届いたのかフロアもこの日一の爆発を見せ、この瞬間を終えた。
鳴りやまないアンコールに導かれ、客電が再び点り、ラフな格好の4人が再びステージに集う。ここで披露されたのは2月28日に発売するニューシングル曲「僕ら」。タイトなビートアンサンブルと柔らかいギターのメロディが描く音、その上を<その傷を連れて未来へ行こう/誰も置いていかないように>という素晴らしい言葉が躍動する。「歌であなたの人生を変える」というラックライフの決意と優しさがこの一瞬に込められている。この新曲は、彼らは今まで以上に“あなた”のためへ歌い続けるという宣誓に聞こえた。そしてラストナンバー「きっと大丈夫。だから一緒に歩いていってほしい」というPONの万感の思いを“心の一曲”「ハルカヒカリ」に込めた。この願いに、フロアはこの日最大の拍手をもって応え、大切な時間に幕を降ろした
2月に『僕ら』のリリース、3月には10周年記念イベント、そしてオーガナイザーを務めるイベント『GOOD LUCK』初となる東京と大阪の2カ月開催と、次なるステージが決定していると嬉しい発表が待っていた。10周年という節目を迎え、これからさらにラックライフの歌と世界は広がり続けていく。しかし、変わらないのは、ラックライフは彼らに触れる“あなた”のための音楽であり続けることだ。
(取材・文=田口俊輔)
■リリース情報
『僕ら』
発売:2月28日(水)
価格:¥2,268(税込)
<収録内容>
・DISC1
01.僕ら
(映画『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE(デッドアップル)』エンディング主題歌)
02.ライターライナー
03.贅沢病
・DISC2(LIVE DVD)
2017.7.8『生きてるだけで丸儲け』ツアー at TSUTAYA O-WEST公演 ライブ映像収録
01.赤い糸
02.風が吹く街
03.ブレイバー
04.君の匂い
05.リフレイン
■関連リンク
ラックライフHP