森朋之の「本日、フラゲ日!」年末特別編
安室奈美恵、ミスチル、スピッツ、エレカシ、ゆず、キンキ…周年&ベスト盤充実した1年振り返る
安室奈美恵、Mr.Children、KinKi Kidsなど、“周年”の節目を迎えたアーティストが次々とベストアルバムをリリースした2017年。今年最後の「本日、フラゲ日!」は特別編として、新譜ではなく、今年を代表するベストアルバムを紹介したい。名曲・ヒット曲で彩られたビッグアーティストの軌跡をぜひ追体験してほしいと思う。
2018年9月16日をもって引退することを宣言した安室奈美恵の初のオールタイムベストアルバム『Finally』は、発売日前に出荷100万枚を突破、その影響力の強さを改めて証明した。デビューシングル収録曲「ミスターU.S.A.」(1992年)から最新曲「Just You and I」(2017年)まで全シングルを収録。2014年までの楽曲39曲はすべて新録バージョンによる本作は、四半世紀に及びキャリアを網羅すると同時に“最新型の安室奈美恵”を提示する作品だ。“原曲を入れてほしかった”“新しいバージョンが聴けてうれしい”と最後の作品でも賛否両論を巻き起こすところも、常に挑戦を続けてきた彼女らしさの表れと言えるだろう。2018年2月からは5大ドームツアーがスタート。9月16日当日まで、その注目度は高まり続けるはずだ。
デビュー25周年を迎えた2017年5月10日、シングル曲を中心に25曲ずつを収録した配信限定ベストアルバム『Mr.Children 1992-2002 Thanksgiving 25』『Mr.Children 2003-2015 Thanksgiving 25』をリリースしたMr.Childrenは、6月から9月にかけて全国ツアー『Mr.Children DOME&STADIUM TOUR 2017 Thanksgiving 25』(全公演で70万人を動員)を開催するなど、アニバーサリーイヤーにふさわしい大規模な活動を展開。ドラマ『コード・ブルー』シリーズ(フジテレビ系)主題歌「HANABI」の再ヒット、映画『君の膵臓を食べたい』の主題歌「himawari」も広く人気を得るなど、その普遍的な魅力を改めてアピールすることに成功した。10〜20代の音楽ファンの浸透度も高く(ライブには若い人が驚くほど多い)、その人気はまったく衰えそうにない。
デビュー曲「ヒバリのこころ」、代表曲「ロビンソン」「楓」、最新シングル「みなと」などをコンパイルしたスピッツのベスト盤『CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection -30th Anniversary BOX-』がヒット。30周年を記念したアクションは7月から10月にかけて行われた全国ツアー『SPITZ30th ANNIVERSARY TOUR“THIRTY30FIFTY50”』だけで、プロモーションはほとんど皆無。あくまでもライブバンドとしての姿勢を貫くことによって、そのカリスマ性をさらに高めてみせた。2018年1月からは“地球で生まれ育まれた音楽を次の世代へ伝える”ことを目的としたラジオ番組『SPITZ 草野マサムネのロック大陸漫遊記』(TOKYO FM)がスタート。音楽だけに特化した純度の高さこそが、このバンドの魅力だ。