森朋之の「本日、フラゲ日!」年末特別編
安室奈美恵、ミスチル、スピッツ、エレカシ、ゆず、キンキ…周年&ベスト盤充実した1年振り返る
初のオールタイムベストアルバム『All Time Best Album THE FIGHTING MAN』、1988年の伝説的なライブの模様を収めた映像作品『エレファントカシマシ〜1988/09/10 渋谷公会堂〜』のリリース、3月から12月かけてバンド史上初となる47都道府県ツアー『30th ANNIVERSARY TOUR 2017“THE FIGHTING MAN”』を敢行、さらに『第68回 NHK紅白歌合戦』(NHK総合)への出演が決定するなど、30周年のアニバーサリーを全力で駆け抜けたエレファントカシマシ。生々しい感情をリアルに刻み込んだ楽曲を生み出し続け、さまざまな困難を乗り越えてきたエレカシが、こんなにも華やかに30周年を飾ったことは、一人のファンとしても非常に感慨深い。2018年3月17日に行われる、さいたまスーパーアリーナ公演にも大いに期待したい。
ゆずのデビュー20周年を記念したベストアルバム『YUZU 20th Anniversary ALL TIME BEST ALBUM 「ゆずイロハ1997-2017」』は、テーマ別に選曲された3枚組。エバーグリーンな魅力を備えたデビュー曲「夏色」、オリンピックソングの定番「栄光の架橋」、連続テレビ小説『ごちそうさん』(NHK総合)主題歌「雨のち晴レルヤ」といったヒット曲を網羅、さらに各ディスクにいきものがかり、back number、SEKAI NO OWARIとのコラボレーション楽曲を収録したことも話題になった。ドームツアー『YUZU 20th Anniversary DOME TOUR 2017 ゆずイロハ』の終了後には、アコースティックをコンセプトにした『「謳おう」EP』(5曲入り)、愛をテーマにした『「4LOVE」EP』(8曲入り)を連続リリース。国民的グループとなったゆずは、止まることのない制作意欲とともに未来に向かって進み続けている。
12月6日にCDデビュー20周年を記念したベストアルバム『The BEST』を発表したKinKi Kids。松本隆、山下達郎のコンビによるデビュー曲「硝子の少年」から、久保田利伸のペンによる38thシングル「The Red Light」まで全シングルを収録した本作には、優れたヒットメイカーたちとタッグを組んだ名曲の数々がずらりとラインナップされている。堂本剛が突発性難聴を発症、ライブ活動を休止するアクシデントもあったが、年末のドーム公演で見事に復帰。豊かな表現力、正確なピッチ、シックな手触りを感じさせる声質を併せ持った堂本剛、堂本光一のハーモニーは、さらなる成熟の時期を迎えていると言っていいだろう。
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。