『EDP×SOUND VOLTEX FLOOR ANTHEM 2017』、音楽ゲーム文化における“継承”の重要性

音楽ゲームにおける「継承」の重要性

 どんなカルチャーも、継承がなければ文化としての強度はない。そういった意味で「SOUND VOLTEX FLOOR」は、音楽ゲームが「文化」として成り立つために必要なプラットフォームだ。11月11日に豊洲PITで行なわれた『EDP×SOUND VOLTEX FLOOR ANTHEM 2017 私立ボルテ学園 アルティメットガクエンサイ!』は、その重要性を改めて認識させられるイベントだった。

 これまでもKONAMIの音楽ゲームでは、数多くの公募企画が都度立ち上がり、数々のクリエイターや人気曲を輩出してきた。そのなかでも「SOUND VOLTEX FLOOR」は、単発の企画ではなく、プラットフォームとしてオープンした初めての例だ。今回のような「SOUND VOLTEX FLOOR ANTHEM」など、ライブイベントも立ち上がり、ますます有望株が日の目を見ることのできる環境へと発展してきている。

「学園祭ってやつは、楽しんだやつが一番偉いんだ!」(P*Light)

P*Light

 本編は、「SOUND VOLTEX FLOOR」の出世頭・P*Lightの叫びから開幕。最初の公募採用曲「TRIGGER☆HAPPY」から「Caramel Ribbon」。そして「この曲をボルテで聴けるなんて思ってなかったよ! みんなのおかげです!」という感謝から、人気曲「Poppin' Shower」へと繋がり、最後は彼が尊敬してやまないRyu☆の楽曲をリミックスした「Second Heaven (P*Light Remix)」をドロップした。

Rough sketch

 その後も“B2B(Back to Back)”形式で次々とクリエイターが登場。Rough sketchは「ミツル子Remixちゃん」のイントロから「Twin Rocket」への繋ぎで会場を沸かせ、MAD CHILDは「Voice 2 Voice」のExclusive EDP Ver.を、Yu_Asahinaは「Le ××××」の私立ボルテ学園Editをと、この日限りのリミックスを惜しげもなく投下する。

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 ほかにもsiromaru、Shiron、はるなば、溝口ゆうま、sky_delta、MisoilePunch♪ ~タケノコ添え~、かゆき、Noahと、期待の若手が次から次へと登場し、再び訪れたMAD CHILDのターンでは、駄々子、かなたん、荒巻、藍月なくる、はるの、ORI姫、かなたんと楽曲ごとにボーカリストを変えていく。その後はTAKU1175、VALLEYSTONEと繋いでいき、「FLOOR」はここで一旦ブレイクとなった。

 続いてのゾーンでは、豚乙女やIceonのソロを含めた<幽閉サテライト><少女フラクタル>、<Amateras Records>のTracyに、<COOL&CREATE>の主宰・ビートまりおと<IOSYS>のARM、そしてSOUND HOLICと、『東方Project』関連の同人サークルから人気クリエイターが次々に出演。「チルノのパーフェクトさんすう教室(9周年ver)」(ARM(IOSYS))や「Help me,ERINNNNNN!!」(ビートまりお)、「Grip & Break down !!」(SOUND HOLIC)、「待チ人ハ来ズ。」(豚乙女)といった人気曲を惜しげもなく演奏し、フロアのボルテージを最大限まで高めた。

 2000年代後半以降、『東方Project』関連の同人音楽が大いに盛り上がり、『BEMANIシリーズ』はさらなる拡大を行ってきたが、現在は両者がタッグを組み、CDのリリースや筐体への楽曲収録を積極的に展開している。ゲーム音楽系のトラックメイカーは同人シーンと密接に関わってきた者も多く、互いに支え合っている存在だ。このコーナーは、そんな両者の関係性を改めて提示するものだった。

 前半の最後には、Web連動型音楽配信企画『ひなビタ♪』から誕生した東雲夏陽(CV:日南結里)と東雲心菜(CV:小澤亜李)によるユニット・ここなつが登場。日向美ビタースイーツ♪のライバルとして企画内でも人気のユニットが初めてステージに立ったこともあり、会場の盛り上がりは相当なものだった。

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 バックDJは彼女たちの代表曲「ロンロンへライライライ」を手掛けるヒゲドライバーが務め、同曲のほか、「バイナリスター」「キミヱゴサーチ」、さらに今回のみのアレンジが施された「さよならトリップ~夏陽edition~」を披露。最後には2人の物語においても重要な役割を果たしている「ミライプリズム」でステージを後にした。小澤のブログ(https://ameblo.jp/ari-step/entry-12327561817.html)によると、反響次第ではワンマンの開催も……ということなので、その機会を楽しみにしたい。

 一般参加者やアーティストを巻き込んだエキシビジョンマッチを挟み、後半の幕が上がると、DJブースにはkors kとRyu☆によるユニット・The 4thの姿が。お互いが『beatmaniaIIDX 4th style』の公募企画から参加したことからこの名前が付けられた彼ら。今やレーベル<EDP>を率いるようになったそのキャリアは、音楽ゲームのコンポーザーを目指す若者にとって大きな希望だ。「Virtual Sunrise」や「I'm so Happy」といった人気曲の応酬は、そんな彼らからこの日の客席に潜む次のスターへのエールだったのかもしれない。

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 エールといえば、その後のREDALiCEやC-Showとt+pazoliteによるLite Show Magic、lapix、Hommarju、cosMo@暴走P、かめりあと、ブレイクを果たし、シーンの次を担う若手たちが続々とステージで全力のパフォーマンスを繰り広げたこと、Yooh & BlackYがトリを務めたということもその証左だろう。

 音楽ゲームが多様化した現在も、『BEMANIシリーズ』はまだまだ本家であり、一番であり続ける。だから、一緒に盛り上げたければ、どんどんステージへ上がってきてほしいーー今回のステージからは、そんな強い意志のようなものを感じ取ることができた。

(取材・文=中村拓海/撮影=稲垣謙一)

(c)EXIT TUNES

【EDP Lab -TOUR 2018 Winter-特設ページ】
■ライブ情報
『EDP Lab -TOUR 2018 Winter』
日程/場所:2018年2月11日(日)札幌・KING XMHU
OPEN 14:30 / START 15:30
<LINE UP>
Ryu☆、korsk、かめりあ、lapix and more…

2018年3月4日(日)大阪club joule
OPEN 14:30 / START 15:30
<LINE UP>
Ryu☆、korsk、かめりあ、lapix and more…

2018年3月17日(土)名古屋・X-HALL-ZEN
OPEN 15:00 / START 15:30
<LINE UP>
Ryu☆、korsk、かめりあ、lapix and more…

2018年3月18日(日)名古屋・X-HALL-ZEN
OPEN 13:30 / START 14:00
<LINE UP>
Ryu☆、korsk、かめりあ、lapix and more…

チケット価格:スタンディング(整理番号付)4,320円(税込)
※出演者は変更になる場合がございます。出演者変更に伴うチケットの払い戻しは一切行いませんのでご了承ください。
※入場時別途ドリンク代がかかります。
※3歳以上有料

<EDP特別先行 ※抽選>
受付期間:12月16日(土)10:00〜12月24日(日)23:00
チケット価格:スタンディング(整理番号付)4,320円(税込)
受付URL:https://l-tike.com/st1/edplabtour2018winterticket
受付枚数:一人各公演4枚(整理番号付)

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