乃木坂46、東京ドーム公演で示した“個性と自信” 新たなステージへの「きっかけ」を見た

乃木坂46ドームで示した“個性と自信”

「乃木坂46として東京ドームのステージに立って『自信を持つというのはこういうことか』と実感した。ステージの上に立つには必ず持たないといけないと初期の頃に言われたけど、私には持てなくて。でも、ここでみんなで歌って笑顔で踊ることこそが自信なんだと思えた」(生駒里奈・2日目MCより)

 ライブ終盤、VTRで「乃木坂46の幹となった1曲」と紹介されたあと、ステージには生田絵梨花とピアノだけが佇む。これまでもテレビ番組やライブなどで度々披露されてきた、グループの代表曲「君の名は希望」の生田絵梨花伴奏バージョンだ。バックトラックは一切なく、メンバーの歌声と生田絵梨花のピアノ1本で、東京ドームの観客を一人残らず引き込んだ瞬間に、グループの積み上げてきたすべての経験が報われたような気がした。ことあるごとに「国民的ヒット曲がない」と言われてきた乃木坂46だが、グループがここまでブレイクする以前にリリースされたこの曲は、早すぎた代表曲であると同時に、彼女たちが撒いた鮮やかな花の種だ。グループの成長とともに、誰もが知る名曲へと大きな花を咲かせる、そんなヒットの形があってもいいのではないか。今の彼女たちが歌うこの曲からは、そんな自信すら感じ取ることができた。

「6年前のあの日、泣くことしかできなかった私たちは、こうして自分たちの足でこの場に立っている。それが大きな自信となって、また次の一歩を踏み出します」(齋藤飛鳥・1日目MCより)

 本編最後の「いつかできるから今日できる」の前、メンバーは両日において、自分たちの思いを口にしたのだが、先述の生駒を含め「自信」というワードが頻発した。乃木坂46は、あまり前に出ることが得意ではない、内気なメンバーも多いグループだった。しかし、CDの売上も伸び、テレビ番組やCMへの露出も増え、雑誌の表紙を頻繁に飾り、写真集も次々にヒット。舞台や映画、モデル、バラエティ、ラジオと幅広く活躍するメンバーも増え、それぞれの強みがしっかりと活かせる環境が整ってきたからこそ、ポジティブに自分自身を変化させ、こうして大きなステージへ自信満々に立つことができるようになった。蒔いてきた種はすべて、この舞台へ繋がっている。

 アンコールでは、「おいでシャンプー」や「ロマンスのスタート」などのライブ定番曲や、白石麻衣のシャウトがいつもより力強く響き渡る「ガールズルール」、そしてグループにとって初の全体楽曲であり、『真夏の全国ツアー2017』神宮公演でも大きな役割を担った「設定温度」を披露。楽曲が終わると、メンバーが長い紙をステージ後ろの装置にセットし、ラストの「乃木坂の詩」では、それらが連なって花の蕾の絵になるという仕掛けが用意されていた。この花はおそらく桔梗で、その花言葉は「永遠の愛」「誠実」「清楚」「従順」。ステージに掲げられた紫色の桔梗の花言葉は「気品」だ。「乃木坂の詩」のラストサビでは、その花が満開になる様子がプロジェクションマッピングで映し出された。2日目の最後では、メンバーへのサプライズとして、ファンがペンライトで作った「乃木坂46 アリガトウ」の文字がスタンドに浮かび上がり、こらえきれずに涙を流すメンバーが続出した。ファンがメンバーを連れてきたのではなく、メンバーがファンを連れてきたわけでもない。理想の関係性が、この演出に表れていたように思える。

 キャプテンの桜井は2日目の終盤、冒頭に書いたMCのように、日本だけではなく世界を見据えた発言をした。アジアでの公演も決定するなど、より広いフィールドへ踏み出す彼女たちは、まだまだ歩みを止めることはないし、2日間の公演が即完した今回の東京ドーム公演も、さらにビルドアップした形で見れることを期待したい。

「こうやって色んなメンバーも旅立っていくけど、この前向きな旅立ちが良い“きっかけ”であることを願って、この曲を歌いました。あらためて2人に大きな拍手を!」(桜井玲香・2日目ダブルアンコールMCより)

 そして、乃木坂46の東京ドーム公演を語るにあたって、2日目のダブルアンコールについても触れないわけにはいかない。この日は卒業を発表した中元日芽香と伊藤万理華にとって、最後となる大きなライブの場だった。そんな2日間を誰よりも笑顔で楽しんだ2人だったが、ダブルアンコールの「きっかけ」では、3期生を中心につくられたアーチが自然にできあがり、中元は思わず号泣。両肩を抱く斎藤ちはると生田絵梨花も涙を流しながら、メインから一番遠いステージへと足を運び、最後は2人をWセンターとする形で大サビを歌って全員が目を潤ませるなか、2日間の幕が閉じた。

「『君の名は希望』の<未来はいつだって新たな ときめきと出会いの場>という歌詞が大好きで。まりっかと乃木坂46の未来も、ときめきにあふれる素敵なものになると信じています!」(中元・2日目ダブルアンコールMCより)

「ありきたりかもしれないけれど、皆さんの応援があって、大好きなメンバーやスタッフさんがいてくれたからこそ、私はアイドルとしてステージに立てていたんだと思います。私もひめたんも乃木坂46も、ここから突っ走っていきますので、応援よろしくお願いします!」(伊藤万理華・2日目ダブルアンコールMCより)

 アートやファッション方面で才能を発揮し、個展まで開催するようになった伊藤万理華も、ラジオパーソナリティとしての適性を見出され、レギュラー番組を持つようになった中元も、乃木坂46というグループを個性的な色で輝かせたメンバーだった。中元は引退を発表しているが、伊藤に関しては卒業後の活動もいっそう楽しみだし、グループにいながら未だキャラクターを出せていないメンバーたちも、2人のように個性を伸ばし、どんどん自分の色を付けていくことを願う。それが選抜メンバーたちが語っていた「自信」に繋がることを、この舞台は証明してくれたのだから。

(取材・文=中村拓海/画像提供=(C)乃木坂46LLC)

■セットリスト
・11月7日公演セットリスト
1.制服のマネキン
2.世界で一番 孤独なLover
3.夏のFree&Easy
4.裸足でSummer
5.太陽ノック
6.ぐるぐるカーテン
7.バレッタ
8.三番目の風
9.思い出ファースト
10.他の星から
11.でこぴん
12.あらかじめ語られるロマンス
13.ダンケシェーン
14.ハウス!
15.ここにいる理由
16.あの日 僕は咄嗟に嘘をついた
17.君は僕と会わない方がよかったのかな
18.生まれたままで
19.アンダー
20.My rule
21.命は美しい
22.逃げ水
23.インフルエンサー
24.君の名は希望
25.何度目の青空か
26.いつかできるから今日できる
En1.おいでシャンプー
En2.ロマンスのスタート
En3.ガールズルール
En4.設定温度
En5.乃木坂の詩

・11月8日公演セットリスト
1.制服のマネキン
2.世界で一番 孤独なLover
3.夏のFree&Easy
4.裸足でSummer
5.太陽ノック
6.ぐるぐるカーテン
7.バレッタ
8.三番目の風
9.思い出ファースト
10.他の星から
11.でこぴん
12.あらかじめ語られるロマンス
13.ダンケシェーン
14.ハウス!
15.ここにいる理由
16.あの日 僕は咄嗟に嘘をついた
17.君は僕と会わない方がよかったのかな
18.生まれたままで
19.アンダー
20.My rule
21.命は美しい
22.逃げ水
23.インフルエンサー
24.君の名は希望
25.何度目の青空か
26.いつかできるから今日できる
En1.おいでシャンプー
En2.ロマンスのスタート
En3.ガールズルール
En4.設定温度
En5.乃木坂の詩
WEn.きっかけ

■リリース情報
19thシングル『いつかできるから今日できる』
発売:2017年10月11日(水)
価格:初回仕様限定盤(CD+DVD)Type-A〜D ¥1,528+税
通常盤(CDのみ)¥972+税
予約用URL
※初回仕様限定(CD+DVD)盤 共通封入特典
・「全国握手会参加券orスペシャルプレゼント応募券」1枚
・「乃木坂46メンバー生写真(全45名・全180種のうち1枚ランダム封入)

〈CD収録内容〉
・Type-A
M1:「いつかできるから今日できる」(19th選抜メンバー)
M2:「不眠症」(19th選抜メンバー)
M3:「まあいいか?」(秋元真夏・白石麻衣ユニット)
M4:「いつかできるから今日できる」〜off vocal ver.〜
M5:「不眠症」〜off vocal ver.〜
M6:「まあいいか?」〜off vocal ver.〜

・Type-B
M1:「いつかできるから今日できる」(19th選抜メンバー)
M2:「不眠症」(19th選抜メンバー)
M3:「失恋お掃除人」(梅澤美波・阪口珠美・山下美月・若月佑美ユニット)
M4:「いつかできるから今日できる」〜off vocal ver.〜
M5:「不眠症」〜off vocal ver.〜
M6:「失恋お掃除人」〜off vocal ver.〜

・Type-C
M1:「いつかできるから今日できる」(19th選抜メンバー)
M2:「不眠症」(19th選抜メンバー)
M3:「My rule」(19thアンダーメンバー)
M4:「いつかできるから今日できる」〜off vocal ver.〜
M5:「不眠症」〜off vocal ver.〜
M6:「My rule」〜off vocal ver.〜

・Type-D
M1:「いつかできるから今日できる」(19th選抜メンバー)
M2:「不眠症」(19th選抜メンバー)
M3:「僕の衝動」(三期生メンバー)
M4:「いつかできるから今日できる」〜off vocal ver.〜
M5:「不眠症」〜off vocal ver.〜
M6:「僕の衝動」〜off vocal ver.〜

・通常盤
M1:「いつかできるから今日できる」(19th選抜メンバー)
M2:「不眠症」(19th選抜メンバー)
M3:「新しい花粉 〜ミュージカル「見知らぬ世界」より〜」(生田絵梨花・久保史緒里ユニット)
M4:「いつかできるから今日できる」〜off vocal ver.〜
M5:「不眠症」〜off vocal ver.〜
M6:「新しい花粉 〜ミュージカル「見知らぬ世界」より〜」〜off vocal ver.〜

〈DVD収録内容〉
・Type-A
「いつかできるから今日できる」Music Video
「まあいいか?」Music Video
「あさひなぐプロジェクト」(起)映画『あさひなぐ』メイキング

・Type-B
「いつかできるから今日できる」Music Video
「失恋お掃除人」Music Video
「あさひなぐプロジェクト」(承)映画『あさひなぐ』メイキング

・Type-C
「いつかできるから今日できる」Music Video
「My rule」Music Video
「あさひなぐプロジェクト」(転)舞台『あさひなぐ』メイキング

・Type-D
「いつかできるから今日できる」Music Video
「僕の衝動」Music Video
「あさひなぐプロジェクト」(結)舞台『あさひなぐ』メイキング /「いつかできるから今日できる」ライブ映像(『真夏の全国ツアー2017』より)

■関連リンク
乃木坂46公式WEBサイト

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる