WANIMAと『刑事ゆがみ』登場人物の重なりーー「ヒューマン」に込められたメッセージを探る
弓神適当(浅野忠信)と羽生虎夫(神木隆之介)のコンビが話題を呼んでいるドラマ『刑事ゆがみ』(フジテレビ系)。『ビッグコミックオリジナル』で連載中の同名人気漫画を実写化した本作には、個性豊かなキャラクターが次々登場。刑事ものでありながら、事件解決までに様々な人間の内面を探っていくヒューマンドラマ的な側面も持ち合わせている。さらに実際に現代社会で起こるような問題を扱うなど、リアリティある描写も魅力だ。
そんな『刑事ゆがみ』の主題歌を担当しているのが、熊本県出身、3ピースロックバンドのWANIMAだ。ユーモア溢れるMCとアップテンポな楽曲でライブを盛り上げるWANIMAは、今やフェスでも欠かせない存在となっている。一方で、時には胸を打つナンバーやMCを披露するなど、熱く感動的な一面も。笑いと感動の2つの顔を持つWANIMAは、漫才のような掛け合いだけでなく、真剣な表情を見せる登場人物の姿とも重なるところがある。WANIMAが歌う主題歌「ヒューマン」は、ドラマの世界観に合わせて書き下ろされた新曲だ。彼らにとって初のドラマ主題歌ということもあり、WANIMAを新たなステージへと引き上げる一曲と言えるだろう。
「ヒューマン」は、タイトルどおり”人間”味に溢れた楽曲だ。歌詞には、『刑事ゆがみ』のストーリーにリンクするような、真実を追い求め、逆境にも屈せず前を向こうとする姿勢が描かれている。普段は”適当”に見える弓神が、犯人に人としての過ちを説いたり、腹黒くも正義感が強い羽生が、時にはスーツを脱いで遺留品を探し出すといった人間らしさを、同曲を通して感じることができるだろう。また、「ヒューマン」の<期待外れの現実に また煽られ / 睨んで目を逸らした / なんで望んだ答えはどこ? / まだ…くたばってたまるか!!>という歌詞は、もがきながら現実に立ち向かっていく弓神や羽生らの姿と重なるとともに、そんな彼らを鼓舞するような、力強いメッセージが込められているように感じる。事件解決後に流れる「ヒューマン」は、次の事件へと立ち向かう二人の背中を押すと同時に、彼らの姿を見守る我々視聴者にも力を与えてくれるかのようだ。